【小説】夏のスリーアウト(2)
(1)からつづく
観客席では応援合戦が始まっていた。観音堂の応援席では、チアリーダーたちが、吹奏楽の演奏に合わせて飛び跳ねている。人気の女性アイドルグループのヒット曲メドレーだ。本家アイドルのダンスよりもダイナミックだった。今は、共学で野球部もあるが、四年前まで観音堂学園は女子校だった。チアや音楽系の部活動は、伝統も実力もある。地区大会決勝戦の応援は、晴れ舞台だった。
賑やかな応援席の端で、初老の男が二人、額を寄せて話をしていた。校長と教頭である。
「決勝まで来ちゃった