そういえば「死」って何なんだ???

最近大学でウシガエルの解剖をやりました(東京大学理科二,三類基礎生物実験のメインイベントです)
まず初めに腹部を解剖用のハサミで切開して、消化器系呼吸器系の器官を取り出し、泌尿器系生殖器系の器官が残されたカエル本体含め観察・スケッチしていくのですが
ずっと心臓は動いていました
消化器系呼吸器系の器官を取り除いた後に暴れだすカエルもいました

そこで思ったのが
「この解剖でカエルはいつ死んだのか?」ということです

これは人間の死の基準の問題にもつながっていく重要なテーマだと考えてます

カエルはいつ死んだ?

麻酔された時点で死なのか?大腸と肛門の間を切断した時点で死なのか?消化器系呼吸器系を取り出した時点で死なのか?脊椎を切断したら死なのか?それともまだカエルは死んでいないのか?

一応解剖では脳は傷つけていません
脳を明確に傷つけた瞬間があるなら、その瞬間だよといえたのですが
脳を傷つけていないのならいつ死んだのでしょうか?

そもそも「死」の概念とは

何を持って「死」とみなすのか

「死」の概念を人間以外の動物に当てはめてもいいのか

植物の「死」が意識されないのはなぜか

などなど、死について考えると様々な疑問が浮かびますが

やはり他の東大生も気になっていたみたいで、Twitter上で議論が交わされていました

彼らの議論では

まず1人が「解剖でカエルはいつ死んだのか」という問題提起をしました

「実験のために麻酔にかけられたとき」という答えがありました

死亡するという運命に対して可逆性を失った瞬間ということですね

その次に「消化器系呼吸器系の器官を取り出し別のトレーに入れた時」という答えがありました

私も初めはこの意見に賛同しました

ある特定の器官だけ取り出すならまだ人工器官で生存可能な感じがしますが、消化器系呼吸器系全てを取り出してしまったらさすがに生存維持は無理だろと思ったからです

その次に「心臓を取り外した時」という答えがありました

これは人間の死の基準から考えて自然ですね

そのあと、そもそも人間の「死」の概念を人間以外の動物に適用することは適切なのかという意見が出て、

人間がおこがましくも生物を取り扱っている以上生と死の概念を適用するのは致し方のないことではないか、そもそも適切か不適切かという問題は存在しないんじゃないかという意見が出ました


何やら難しい問題になってきた…私も真剣に考えよう

ということで

そもそも人間の死はどのように定義されるのでしょうか?

https://www.hou-nattoku.com/enq/23-difinition.php

http://www.hhk.jp/gakujyutsu-kenkyu/ika/100915-070000.php

↑これらのサイトによると

日本では、呼吸の停止、脈拍の停止、瞳孔散大の3つの死の兆候から総合的に死亡しているかを医師が判断するそうです

蘇生する可能性がほぼない状態ということです

しかし、心臓が停止すると他の臓器が著しいスピードで退化してしまい、臓器移植をできる新鮮な状態を失ってしまいます

臓器移植を積極的に行うために、心臓が停止する前でも、中枢である脳が停止した時点で蘇生の可能性はほぼないとして「死亡」と判定するべきだという議論がありました

そして、臓器移植法というものが作られます

臓器移植法とは

①本人が死亡もしくは脳死状態にあること

②本人が生存時に臓器移植を認める意思表示を書面上でしていること

③臓器移植に対し家族の同意があること

これらの3つの条件を満たせば臓器移植を行ってもよいという法律です(1997年制定)

2010年には改正臓器移植法が作られ、本人の意思が不明でも家族の同意があれば臓器移植が認められるようになりました。

しかし「脳死」状態(1週間ほど脳死状態が続いた後従来考えられている死になるようです)では死の三徴候が表れているとは限らないため

臓器移植は、従来の判断方法では死んでいない人を「殺す」とみなすこともできます


うーんなるほど。

そういえば授業でこんな話を聞きました

「除脳ネコ」

除脳ネコとは、言葉の通りネコから脳を取り除いたものです

脳といっても全部ではなくて

取り除くのは大脳です

つまり脳幹(中脳、間脳、延髄)と小脳は残します

それでも呼吸と拍動は続くのでしばらくは生きている?とみなせる状態になるそうです

しかもしかるべき電気刺激を与えれば歩いたり走ったりできます

しかし外部からの刺激がない限り運動はしません

自発性は持たないということです


それって生きているというんでしょうか?

呼吸と拍動だけ続いてるけど自ら動けないのは生きているのか…?

と思いましたが、冬眠状態の動物や植物状態の患者と同じようなことなので死んでるとは言えないように思います

つまり大脳がなくても呼吸と拍動さえ続いていれば生きていると


うーん、難しい。

まず「死」とは何かを自分なりに定義してみます

「死」の定義

死とは”生命活動が止まった状態かつ可逆性を持たない(生命活動が再び始まることが不可能)状態”だと思います

問題は

①”生命活動が止まっている”状態の定義

②可逆性を持たないのはどういう状態か

の2点

①”生命活動が止まっている”状態の定義について

そもそも生命活動って何なんだ…?

今ぱっと思いついたのは生命活動をする=ATPを使う

つまり生命活動が止まった状態というのは

「ATPが完全になくなった状態」

と定義できるなと…。

ATPが残っているがATPを新たに産生することはできない状態、はまだ生命活動は続いているのでは?(不可逆的に死に向かってはいるが)

てかそもそもATPが完全にない状態ってどういう状態?????


終わりが見えないのでPart2に続く