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お父さん、会社を登記したんだけど経理見てくれんかな?

私のお父さんは税理士で、地元で会計事務所を経営している。
お父さんは、私が高校生くらいの頃から「仕事は、社会貢献だよ。あと、大切なのは自己実現。しっかり考えてキャリアパスを選んで。」と常々言ってくれていて、それは私の仕事観の礎になっている。好きな仕事をやってる今、そうやって刷り込みしてくれてありがとうお父さん、と思っている。社会人になってから転職する時も相談に乗ってくれて、都度そうアドバイスをくれた。
でも、私が好きだったその話をすることはなくなった。私の出産を機に。

真弓は嫁に行ったんだから...

出産を機に、親と話が合わないと感じることが増えた。専業主婦家庭の実家は、私が1人目の子どもを0歳児から預けて仕事をするというのに猛反対だった。特にお母さんには全く受け入れてもらえなかった。地元で子育てする友人が多い中、初産の産後1ヶ月で東京に行ってしまった娘が保育園を探していると聞いて、あきれ返ってるように見えた。

5年前。まだ保育園が今より整備されていなかった頃、待機児童になった息子を抱えて仕事ができないことに絶望し、更に両親にも認めてもらえなかった私は、本当に本当に八方塞がりという言葉がピッタリで、次第に親に心を閉ざした。
親は親で、娘が0歳児を預けて働きたいという意味が分からない。母親は子どもが未就学児の間はべったり一緒にいないといけないだろう。
そうまでしてやりたい仕事は何かと言えば、クリエイティブディレクター?インスタグラム?コンテンツマーケティング?何なんだそれは?
実家に帰省しても、孫と私の夫のことしか話さない。「子ども産んだくせに自分のことばっかり考えてる娘」のことは何も聞かない。お前は嫁に行ったんだから、子育てと旦那さんのケアをちゃんとやりなさい。の一点張り。(っていうか普通に家事も子育てもしてるし!)めちゃくちゃショックだった。

仕事は自己実現と社会貢献、ってお父さん言ってたじゃん。それって結婚したら無効?私の想いはどうなるの?

もうこの老人たちに何話しても無駄だな。と思っていた。というよりか、子どもっていうものは、何歳になっても親に認められないとヘソを曲げるものだ。いつしか、親切もけむたく感じ、必要最低限のことくらいしか話せなくなっていた。

お父さん、会社を登記したんだけど経理見てくれん?

そんな時期が実は結構長くあり、その後更に2回の出産を東京でやり、何とかかんとか周りの人の支えもあって、フリーランスでマーケティングやクリエイティブを5年続けられた私は、去年会社を登記した。3人目の出産後1ヶ月のことだった。

税理士を誰かにお願いするくらいならまずは実家に聞いてみようかな、と聞いてみたら、いいよ、と二つ返事だった。
お父さんにあれこれと手続きのことを聞かれて、必要な書類を追加で税務署に出した。
次はお母さんが領収書のファイルを整えてくれた。入出金の入力をやってくれるらしい。簿記2級のお母さんは、お父さんの仕事の手伝いを私が大学入る時からやっているから、その作業はお手の物らしい。

税金の支払いの仕方、役員報酬のこと、分からないことが出てきたら全部お父さんにLINEで聞く。親切丁寧に、すぐ返ってくる。こうして、最低限だった両親との会話がひょんな形で増えたのだ。

仕事がつくってくれた、家族の会話

「どんなお客さんがいてどんな仕事してるの?へえ、そんな仕事があるんやね。そのお客さんはどうやって事業化しているのかな。また教えて。で、真弓はバーチャルオフィス?に登記して家で働いてるの?今はそんな働き方もできるんやね。」

「そう、私ね、自分の企画とかディレクション...ああ、制作の進行で社会貢献したくて、子育てあるから仕事できる時間こそ少ないけど、自分らしく働いてんねんで!」

「そうか...、頑張ってるんやな。」

自分と両親のそれぞれの仕事が、家族との大切な時間を取り戻してくれたんじゃないかな。と最近思う。
私が仕事することに1番反対していたお母さんも、何も言わないけど、やっと最近、認めてくれたように思う。それが本当に嬉しい。
LINEで来る「こないだの●月●日の領収書は、誰との会食ですか。」さっきまで、孫と通話して笑っていたのに、ちょっと面白い。

理想通りの娘じゃなくてゴメンねとたまに思うけど、便利なツールも増えて、はたらくことがより自由になってきた今の時代は、ママになったからって好きな仕事を諦めなくてもいいと思ってる...と少しずつ価値観に触れた会話もしていきたい。

もちろん、価値観だからどっちが正しいとかはない。私だって両親の生き方を否定するつもりはない。けど産後に感じていたモヤモヤやすれ違いは、お互い笑い合える日が来るといいな、もうすぐ来るよね。と思っている。

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1984年兵庫県西宮市生まれ。 都内在住、3児の母(5歳・3歳・0歳)フリーのプランナー・クリエイティブディレクター・コピーライター。ビジネスと子育てを心地良く行ったり来たりする生活。noteではエッセイを。ありふれた日常の中での気持ちの動きを残しておきたくて。
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