【デザイナ×弁護士】事例から学ぶトラブル解決法と予防策【初心者向け】 に参加して来ました

フリーランス歴20年くらいなのに、トラブル回避能力が弱い私(汗)。
過去には「お友だちが経営してる会社なので」ということで契約書なしでお仕事していたら、その会社が買収されてしまい、新たな経営陣に勝手に自分のデザインが改悪されて使用されたことなんかもありました……。遠・い・目。

そこで今回、Twitterでフォローしていた知的財産権に明るい弁護士さんたちが運営されている「デザイナー法務小僧」さんが開催されているセミナーに参加して来ました。

二部構成で、一部は現役デザイナー有柚まさきさんによる実体験に基づいたトラブル解決法と予防策をお話しいただきました。

現役のデザイナーだけあって列挙されたトラブル例も「生データを渡してほしい」「納品した制作物を無断で他の媒体に使用された」など、自分の身に降りかかりそうなことばかりで身につまされます。

解決策として、自分でなんとかする、弁護士に依頼する以外に「公正取引委員会」を利用する、ということも教えていただきました。
公正取引委員会は、親事業者の資格を有する会社との取引しか扱ってもらえないし、民事的な紛争の仲介(例えば、未払いの報酬を取り立ててくれる)などもしてくれないのですが行政調査をしてもらえるので、これから先に他のヒトが同じような被害にあうのを防ぐための抑止力になり得るなと思いました。

予防策として、すごく頷いたことは、以下の3点。(それ以外にも大切なことがあるのですが二部の項に譲ります。)
(1)見積は、例えばカタログなら「込み込みで全部で◯◯円」と出すより、「写真撮影費◯◯円、表紙デザイン◯◯円、デザイン費1ページにつき◯◯円」と細かく出したほうが、後から増ページになった時にも、出した見積を根拠に値上げの交渉をしやすくなる。
(2)電話でやり取りしたことは証拠が残らないので、後で議事録的にまとめたものを相手にメールしておくと良い。
(3)スクリーンショットは、Mac(or PC)の「画面全体」をすると制作の過程とともに日付も一緒に写るので良い。

これらのお話以外に、「著作財産権、著作人格権の双方を譲渡してしまうと、作品を公表する、自分の名前をクレジットする、著作物を勝手に改変されない……と言った権利を持つことはなくなるので、どのように著作物を使用されても一切、異議申し立てが出来なくなる。」「ただしブランドイメージの保持のためには譲渡が必要な側面もある」「著作財産権を譲渡していても著作人格権を放棄していなければ、訴訟できる可能性がある」といったことも教えていただきました。

有柚さん、私よりかなり年下だと思うのですが「お姉サマ」と呼びたくなるほどチャキチャキされていて、お話も上手だし、要所要所で解っているかの確認もしてもらえて和やかな雰囲気のなか第一部が終了しました。


続いて第二部は、田島佑規弁護士と宇根駿人弁護士が登壇。
田島先生は、ご表情の約6割は笑顔[当社調べ(笑)]で柔らかい物腰で、久しぶりに「王子」という言葉を想い出しました。
宇根先生は、「抑制の利いた静かでもちの良い情熱」という言葉が相応しい、相談するヒトに安心感を与える雰囲気をお持ちです。
お二人ともクリエイティブ分野に特化したリーガル・サービスにお詳しいです。弁護士さんもお医者さんと一緒で得意分野があるのでクリエイターは、何かあった時には知財に特化した弁護士さんに頼みたいものですね。

<弁護士が関与するトラブルの解決の仕方>という項では
「民事訴訟の代理人をすることばかりが弁護士のすることではなく、任意交渉(裁判所が関わらない話し合い)でアドバイスをしたり代理人として相手方と交渉をしたりする、民事調停での代理人をする、などケース バイ ケースで色々なトラブル解決方法がある」との説明を受けました。

費用も「1回頼めば必ず数十万円する」ということはなくトラブルの種類や予算によってご提案頂けるとのこと。安心ですね。

<トラブル解決法>の項目は、支払い関係と著作権の侵害にまつわるお話。「どんな証拠が弁護士としてありがたいか」ということを具体的に挙げてくださいました。

支払い関係のトラブルでは、以下のものが有用。
(1)証拠能力が一番あるのは、やはり「契約書」。その他「見積書」「制作内容を約束したメール」も証拠になる。
(2)納品か、納品したことを示すメール
(3)請求書、納期を約束したことを示すメール
とりあえず、お仕事のメールは絶対、捨ててはダメということですね。証言も証拠にならないことはないが証拠能力は弱いとのこと。

著作権関係のトラブルでは、以下のものが有用。
制作ノート、ラフスケッチ
契約書、見積書、権利関係を約束したメール
スクリーンショット、現物の確保、侵害を認めるメール

「証拠がある程、基本的に弁護費用も安くなっていく」「弁護士さんに相談する際には資料をなるべく多く持って相談しに行くと良い」ということでした。


「初心者向け」と銘打ってありましたが、上級者のかた以外は、参加するとタメになるお話が聞けるのでオススメです。
なんと質疑応答の時間が30分も設けてあり、バンバン質問もできます。太っ腹!
次回6月はいよいよ「著作権」についてのセミナーが開催されます。もちろん、参加するつもりです。



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