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人を書いて、人を知る

会社員としての編集者を卒業したら
その先にはどんな仕事が待っているんだろうと思っていました。

フリー、3ヶ月。

まだまだ、ふわふわ過ごしております。
書く仕事あり、ディレクション仕事あり、こないだは初めてインタビューを「受ける」という経験をさせていただき、
めちゃくちゃ緊張しました。
だって、20年以上もの間、インタビューは私が聞いて書かせていただくという立場しか経験していなかったんですもん。

受ける立場も、難しいものですね。
私が選ぶ美味しい逸品についてインタビューしてくださったのは、
とても感じのいい、これまた美味しいモノに目がないという男性のライターさんで、
私の拙い話をどんな風にまとめてくださるのか、
通知簿を待つ小学生みたいな気持ちでワクワクしています。

ところで、私自身も現在いろんなお仕事をいただいている中で2件ほど、
同じ方に何十時間もインタビューさせていただき、記事や本にまとめるというプロジェクトが進行中です。
お仕事をくださった方は2人とも、旧知の親しい方なんですが、
ギャランティーをいただき書かせていただく以上、これは仕事。
先方だって、

ただ褒めそやす文章なんて求めちゃいません。

私としては、これまでお付き合いしてきた大切な方が
それぞれ、どんな素敵な仕事にどんな思いで取り組んでいるかを
当のご本人も思いもよらない角度から描き出してみたいなという、

書く表現者としての思惑

も一応あるにはあるんですが、
それ以上に、

この文章を読んだ赤の他人が、この方々に興味を持ってくださったら。
「この人に会ってみたい」と思ってくれたら。
その方が断然、本望です。

文章を書くって難しくて、
インタビューでも料理取材でもそうですが
インタビューされた人、あるいは料理を作った人の希望と
書き手の思惑が一致するとは限りません。

書いた立場で「我ながら最高!」と思える出来に仕上がっても、
相手からいっぱい修正依頼をいただいちゃうことだって多々あります。

ただ、好き勝手に自分について書ける自由さ(noteとかね)も素敵ですが、
他人と何度もやりとりを重ねつつ、
まるで一回一回のインタビューが「カウンセリングみたいだね」とお互いに笑ってしまうような、
そんな結果を経て生まれる、難産の果ての文章というのも、
自分という書き手に、多様性を与えてくれるように思います。
それに、意外なことに、他人を考察して書き進めていくうちに、

自分だったらどう考える?

とふとキーを叩く手を止める瞬間も多々あります。
結局、たとえ人のことを書いていても、
文章を生むって、とても内省的な作業なのかもしれませんね。

昨年の早春よりnoteを書き始めたのですが、
今年、新たに取り組むとしたら

勝手にインタビュー

もいいかもなぁと考えています。
友人とか親とか、旅先で出会う人とか、
アーティストの卵がスケッチブックにデッサンするような感じで、
いろんな人の内面を少しだけ切り取るような、
そんなインタビューを時折はさんでいけたらな。

人を書いて人を知り、

人を書いて自分を発見する。

そんなところを少し意識して、インタビューに取り組んでいけたらと思います。

#COMEMO #料理 #インタビュー

フードトレンドのエディター・ディレクター。 「美味しいもの」の裏や周りにくっついているストーリーや“事情”を読み解き、お伝えしたいと思っています。