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食の世界にもネーミングトレンドがあって

「うん間違いないっ!」

という名の高級食パン専門店の噂を初めて聞いた時、
なんかの間違いではないかと思いました。
フワッフワの超高級食パンを展開していて、
行列ができるすさまじい人気店です。
個人的にはハードブレッドや素朴系食パン派なんですが、
それでも、「うん間違いないっ!」のパンを初めて食べた時は
なるほどなるほどなるほどなるほど、
隅々にまで凝らされた工夫とセンスに驚きました。

このほかにも「考えた人すごいわ」「どんだけ自己中」など、
最近の人気食パン店はいったいどんなベクトルに向かってるの⁈ と思わせる店名、花盛り。
余計なお世話かもしれませんが、
店のスタッフさんは電話が鳴ったら毎度、

「どんだけ自己中です!」

「うん間違いないっ!です!」

と、開口一番言うんでしょうか。
余計なお世話かもしれませんが……。

しかし、考えてみれば、

店名やメニュー名にもトレンドがあります。

「シェフの気まぐれ○○サラダ」
「○○さんちの○○○(たいがいスイーツ名称)」
……と聞くと、なんとなく80〜90年代的な懐かしさを感じますし、

「有機ぽんかんを使ったグラッセ、柚子の香りを添えて。〜大地からの贈り物〜」
……的なメニュー名が全盛だった頃は、店紹介記事を書く際、文字数がことごとくオーバーして苦労した記憶があります。

最近のガストロノミーのメニュー名トレンドといえば、

素材羅列スタイル

です、たぶん。
「あさり、シブースト、アーモンドオイル、ミント、フランボワーズパウダー」

とメニューにあれば、そのワードから想像しうる限りの美味を思い浮かべつつ料理が来るのを待ち、
出された一皿をためつすがめつしながら恐る恐る味わう。
……という新たな料理の楽しみ方があることを、昨今のフーディーは知りつつあります。

食のトレンドは移りゆく。

ネーミングトレンドもね。

でもその一方で、トレンドとは関係のない旬を感じさせる、独自の世界観を持つネーミングもあると思います。

東京・青山にあるハイエンドガストロノミー、「レフェルヴェソンス」。
スペシャリテのひとつに「定点」という一皿があるんですが、
初めてこのメニュー名を耳にした時は

やられたー!!

という気持ちになりました。

同じ食材(かぶ)を、季節やシチュエーションによって調理法を変えて出し続けるのは、
業界きっての頭脳派、生江史伸シェフ。

私の勝手な解釈かもしれないけれど、
この短いメニュー名には
季節に敏感であり続ける作り手の意志
・常に“考えて”料理に向かう姿勢表明
・ガストロノミーとしての冒険心

など、さまざまな深い意図を感じます。

料理とコトバは、
まったく異なるもののようで
実は密接につながっています。
ワードセンスに長けたシェフが増えて、
さらなるワクワクを食べ手に与えてくれるのが未来なんだろうなぁと感じるこの頃です。

#レストラン #言葉 #プレゼンテーション #REIWORD

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フードトレンドのエディター・ディレクター。 「美味しいもの」の裏や周りにくっついているストーリーや“事情”を読み解き、お伝えしたいと思っています。

感謝、感謝、感謝です。明日も美味しい1日を!
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【食の編集&ディレクション】『婦人画報』『ELLEグルメ』(ハースト婦人画報社)編集部を経て独立。明日食べるもの、行くべきレストラン、味わう酒について伝えたいことがあります。https://www.instagram.com/mayukoyamaguchi_tokyo/

コメント5件

片岡さん、はじめまして!そんな風に言っていただき、すごくうれしいです。食の世界ってネーミング以外にも、「noma盛り」とか「ストリートフードへのオマージュ風前菜」とか、同時多発的にいろんなトレンドが巻き起こるの、面白いですよね。ワクワクします!
時々、開けてビックリ玉手箱で完全にネーミング負けしちゃっているのもあるんですが、それはそれで刺激的ですもんね。笑
おっしゃるとおりです!「定点」は、料理と名前とのバランス、というか、相互にフォローし合う感じがまた、よくできているなぁもう!と思わずにはいられないひと皿かも。メニューは絶対、持ち帰ってコレクションすべきですね。
個人的には、例えば、隠れ男前が、シンプルな装いなのに「おっ!」と思わせるような、ちょっと洒落た見せ方をしているのがいいです。絶対に持ち帰ります。

あ、料理ですよ。笑
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