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私っていうお肉、ご褒美

今日は退院後初めて外出しました。
家の近くのショッピングセンターまで行き、少し買物をして帰ってきました。

15cmくらい切った腹の傷はもうくっついた(らしい)けど、咳やくしゃみをするとめちゃくちゃ痛いです。そんなわけで用心して、ペンギン歩きで過ごしています。

以下、断片的ですが、入院の感想です。

手術は眠って起きたら終わっていました。左の卵巣ごと腫瘍を取りました。
※調査の結果、良性でした!
術後から翌々日くらいまでは正直に申し上げて地獄で、何がって体の各所から管が伸びていて、痛み止めの点滴はあるけどそれでも痛くて、寝返りしたくてもできないことがつらかったです。初日の夜は両足にも着圧?の機器が巻かれていました。今まで生きてきた中で一番しんどかった。苦痛のあまり頭の中から時間軸が消えるという初めての体験をしました。「いつか治るから頑張って耐えよう」とか皆無で、ただただ絶望。喜怒哀楽も消えました。

※全ての処置は生命維持のためやから今では感謝しています。現代医学はほんまにすごいです。翌日から歩かせるスパルタリハビリも含めて。

3日後くらい、拘束や管が減っていくにつれ、情緒らしきものが戻ってきました。すると何を見ても泣くという謎現象が起こりました。何を言ってるかわからんかもですが、物が素材で見えるのです。雲が雲じゃない。水蒸気があんなところであんなふうになってる!地球すげー!みたいな。あと、病棟の端まで歩いたら新生児のピギャーていう声が聞こえてきて、このご時世にうまれてくるなんてどんだけ勇者やねん…てなりました。

4日後、念願の久々のシャワー。気持ち良すぎた。ここに至るまで、私のあずかり知らぬところで全細胞が結束して回復してくれたんやと思うと、感動が止まりませんでした。平凡な言い方ですが「生かされている」と思いました。体が動くことってありえないくらいありがたいことだと感じました(だから語源なのか)。あと、おしっこが出るということが奇跡すぎて神秘すぎて、肉体すげー!あるだけで嬉しい!ってなりました。

5日後、退院。コロナの関係で面会禁止だったため、久しぶりに夫と会いました。久しぶりに家用の野蛮な性格に変わった自分がいて、完全に虚無の時間帯があったのにも関わらず再び私っぽい人格が立ち上がるのは何故だろう?という疑問がわきました。私っていう存在が新鮮で仕方ない、不思議な感覚でした。でもこれは問うても果てしない気がして、それ以上は考えるのをやめました。

そんな感じで、人生初の手術→入院は、いろんな認識の崩壊を含む、貴重な体験となりました。日常に戻った今、また物事をあたりまえのように捉えてしまう自分がいますが、いくらでも違う見方はできるのだということを、胸に刻みたいと思いました。




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