見出し画像

夏休み

自転車のかごに朝顔を乗せ、後ろにはこどもを乗せて、爆速で走るお母さんを近所で見かけてから約1ヶ月。

もうすぐ夏休みが終わろうとしている、のだと思うけれど、わたしの毎日はきっと何も変わらないのだろう。

近ごろは、ご近所の玄関先に朝顔の鉢が置いてあるのをたまに見る。
わたしも朝顔の観察をしていたような気がするけれど、家に持って帰っていたっけ、よく思い出せない。
小学生のころに、母が「小学校のクラスメイトの名前なんて、今はあんまり覚えてないよ」と言ったとき、心から驚いて信じられなかったけれど、今のわたしは全員の名前は覚えていない。というか、正直結構忘れてる。
あんなに自分の世界のすべてだと思っていた景色も時間が経てば過ぎ去っていくのだ、という事実は、淋しさもあるけれど、こどものころのわたしには救いになったはずだから、はやく知りたかった。

時は流れ続けて、悲しかったことも失敗も、無かったことにはならないけれど少しずつぼんやりして、人生の時間にはちゃんと次があるのだということに、こどものころは気づけない。
一度苦しい気持ちになってしまったら、抜け出すのがむずかしいことがある。
でも、大丈夫。
自分も他人も時代も、変わっていくから。

ここから先は

2,020字

ひそひそ話

¥500 / 月
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?