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Patient Experience(患者経験価値)Vol.04

クリーブランド・クリニックから学ぶPX

さて、クリーブランド・クリニックをご存知でしょうか。


PXを学ぶときに必ず登場するアメリカ、オハイオ州に位置する病院です。
この病院の医療における功績は実に高く、循環器内科は10年連続で全米ランキング1位を獲得しています。
また、輸血、心臓冠動脈バイパス手術、腎臓の人工透析、血管造影検査を世界で初めて行った病院です。
高度な医療レベルと質の高い患者サービスの両面において評価されているのです!


病院全体で患者の経験価値を把握・マネジメントすることをPXM(Patient eXperience Management)と呼び、患者とのあらゆるタッチポイントにおいてPXを把握することを指します。
PXMを構築するアプロ―チは以下の3つに分けられます。

① 可視化
② 改善
③ 構造改革


まずは、「可視化」についてご紹介したいと思います!
同病院では、院内にPX専門部署を設置し、アメリカのCMS(Centers for Medicare and Medicaid Services)が
実施するPXサーベイ”HCAHPS”の傾向を地域別ににモニタリングし、トップ病院が何をしているか調査しています。
また、患者ニーズを把握するために外部のコンサルティングファームに量的・質的調査を依頼しているそうです。
患者が病院や医療者に求めていることは以下の3つでした。


 ① 患者への敬意
 →個人レベルで関わりを持つことは医療ミスの防止にもつながる。
 ② スタッフ間のコミュニケーション
 →違う医療スタッフから重複した説明をされることは患者の不満足に繋がりやすいそう。
 ③ 職員がオープンマインドで働いているか
 →スタッフへの話しかけやすさが大事。


次に、「改善」についてご紹介してみます!
クリーブランド・クリニックでは、患者による評価から、救急部門に課題があることが分かりました。
救急部門の管理部は、患者の満足度が低い理由は「待ち時間」と答えたのに対し、実際は最も優先度の低い項目でした。


では最も求められていることは何だったのでしょうか。
それは「スタッフが気にかけてケアすること」でした。
また、「医師の十分な説明」や「継続的な情報提供」も高くランク付けされていました。
この結果を受けたクリーブランド・クリニックは患者とのコミュニケーションや気にかけている姿勢を強化しました。
清掃員が順番待ちの患者に対して「必要なモノはありますか?長い間待たれていますが大丈夫ですか?」と声を掛けました。
医療スタッフだけでなく清掃員の方まで巻き込んだ「全体的な取り組み」というのがポイントですね!
この結果、患者経験価値のスコアは上がったそうです!


クリーブランド・クリニックでは、診療科や年次横断的なワークショップを開催、グループに分かれてロールプレイングやケーススタディなど積極的に導入しているそうです。
病院独自のコーチングプログラムでは職員が自発的に考え、気づける参加型の内容になっています。

最後に、「構造改革」についてご紹介したいと思います。
構造の改革とは何か。
前回の「改善」が業務改善やコーチング、人材育成などを指していたのに対し、「構造改革」は職員側の経験価値向上や病院のマーケティングなど、より組織的に取り組み、PXを向上させる機能を内政化することを指します。


職員の生産性を創出することや、評価の上がった病院の利益を職員に還元するなど、福利厚生の要素も含めて、全体的な好循環(サービスプロフィットチェーン)を構築しなければなりません。


クリーブランド・クリニックでは、「食べログ」のように、患者による医師の評価を公開しています。6つの設問項目に対して、それぞれ5つ星の評価と医師へのコメントが公開されているそうです。
少し残酷な気もしますが、その患者にとって最適な医師を見つけたり、病院の透明性を担保しています。
PXの向上には理事長や院長など、経営・運営の決定権を持つ人物が関与し、リーダーシップを発揮することが非常に大事なポイントのようです。


アメリカの医療制度や職員あたりの仕事量が根本的に日本とは異なること、PXサーベイの高い病院へインセンティブが付与されることを考えば、PXMに取り組みやすい土壌が整っていることは事実です。
しかし「おもてなし」の文化が根付いた日本でPXMを導入することは最も親和性が高く、これまで以上に質の高い医療サービスを提供できるのではないでしょうか。