【すぐに曲練をするな、耳を鍛えなさい】
「音楽家に最も必要なことは、基礎練習でも曲練でもない。聴くことだ。耳を鍛えることが全てだ。良い音を聴きなさい。管楽器は、音を作るんだよ、どんな音色を目指していくか、良い音を聴いて耳を鍛える中で、見つけていきなさい。」
私は中学三年間、吹奏楽部の顧問に繰り返しこう告げられた。
記憶は不確かですが…こんなことも教えてくださりました。
「曲の練習なんてするな!一つの音を極めろ。
ロングトーンこそ一番大切だ。
大きなホールで演奏をしている事を常にイメージして。箱全体、ホール全体に響かせるんだよ。
良い音ってね、広い空間でこそ美しい倍音が響いたり、近くで音を聴いていてもうるさくないよ。決して音が小さいわけではない。
でもね、空間全体をものにしてるんだよ。
腹筋、筋力で音をしっかり支えて、体全体、姿勢、全部意識してホール全体を鳴らすんだよ。」
顧問は音楽にとても情熱のある方だった。心底ブラスバンドを愛していた。
私の卒業した年、後輩達は全国大会に出場したようだ。(その年は、顧問が変わったと聞いた。だか間違いなく彼の精神を引き継ぎ全国大会出場したのだと思う。)
私は、マーチング含め吹奏楽部が大の苦手ながらも、3年間やり抜いた。そして今私は決して、音楽のプロではない。
音楽は大好きだけど、才能が全くない事は自覚している。
ところで、ふと音楽と絵画の関係を考える時がある。藝術には音楽と絵画、現代アートともかく様々な概念が含まれている。藝術に属するならば、実は音楽と絵画などは、共通項があるのではないだろうか?
私は、音楽も美術も基本は一緒だと思う。
音楽は、耳を鍛えること。
絵画は、目を鍛えること。
眼を鍛えるって、ボクサーのように動体視力を鍛えるわけではないよ笑
私は、審美眼、気づきの力を深めることだと思う。
目を鍛えること、つまり審美眼や気づきの力を鍛えるにはどうすればいいか?
名画をみることだろうか?
私は、「みること」を伸ばすとは、独自の体験を増やす事だと思っている。視点、視野を広げる事、物事を多面的に見ることができるようになるか。それこそが、「みる力」ではないだろうか。
極端な話だが、私はリスクを取った経験こそが絵画に強く活きてくるのではないかと考えている。要はどれだけ新しい道を発見し、その過程で得たインスピレーションを組み合わせて作品として昇華できるかだと思う。
そのために、空を飛んだ。スカイダイビングもした。深海にも潜った。免許を取得してまで。
熊に襲われる危険があるのに、24kgのリュックを背負い山を登り続けた。
この経験が活きてくるかは、まだ先かもしれない。
ただ、人と違った経験こそが、作品に活きる。
藝術のために、リスクをどこまで取れるかではないだろうか。
新しい表現方法、人が思いつかないアイデアを形にできるようになるには。
だから、私は冒険者であり続けたい。芸術のためなら、時に命知らずなリスクテイカーでありたい。
インスピレーションを湧くための、過程を大切にしたい。
話は戻る。
描く事は全てではない。私が吹奏楽部で、いきなり曲練を始めたら、顧問にどれだけ叱られたか笑 3年間基礎練がない日はない。感覚が鈍るから、テスト週間前の僅かな休みすら、基礎練のために各々自宅に楽器を持って帰って練習していた。ほぼ全員が。
修学旅行にすら、管楽器のマウスピースを持っていった先輩達を見てきた。それくらい、基礎練は継続するものだ。音楽家は耳を鈍らせてはいけない。
他方で画家、いや芸術家もいきなり描くことが始まるわけではない。どれだけインプットできたかだ。
良い音を。
「描かなければならない、
書かなければならない。」
どうか、自分を追い込みすぎないでほしい。
「今描かねば!書きたい!」って常軌を逸したモードになる日が来るから。使命感が生まれるの。
その時に、描くの!!
描きたくない時、書きたくない時は、
インスピレーションをためる時期なの。
とてもとても大切な時間!
大丈夫。
きっとインスピレーションは、いつか出さずにはいられなくなるから!
今は見渡して!
ずっと描かなくていいからね。
スランプがきたら、ひたすらインスピレーションをためる時期なの!
描くことが全てではない。
つらつらと書いたけど、
描く時がしんどい時はありますよね。
私は思うんだ。いまは
無理して描かなくていい。と…
描く事より、みる方が大事。
ほら、いつもあなたの歩いている道が違って見えてみえない?
そして、インスピレーションが湧いたら、ものにするんだよ。
画家の方達は日々プレッシャーに苛まれやすいのではないかと思う。
でも、最後にこれだけは伝えたいッ!!
描くことが全てじゃない。
「芸術家に最も必要なことは、基礎練習でも技術を高める事でもない。視ることだ。眼を鍛えることが全てだ。良い景色をみにいきなさい。芸術家は、新しい世界を作るんだよ、どんな世界観を目指していくか、良い景色をみて眼を鍛える中で、見つけていくんだ。」
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