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GOOD WAR 4.稲妻ストライキ

夕方から、ひさしぶりの稽古。
綾子さんが、沖縄の帰省土産でじーまーみ豆腐をくれた。初めて食べたけどなんだこれおいしい。生麩に近い食感。

稽古はじまり、さっそく休み期間に出されていた宿題を見せ合う。
「あの日」のモニュメント、ロゴマーク、イメージをイラストにする、というもの。

伊奈さんの宿題は文章が多い。小さなノートに小さく描かれている。絵日記形式。味のある絵だ。伊奈さんは、なにか思っても「黙っている」。
諸江さんは、コピー用紙一枚に一つ、油性マジックで一発書き。しゃべりが上手。

綾子さんは、小さくてバラバラの媒体に描かれている。「あんまり記憶の記憶みたいなんは入れへんかった」。
残さんは、すべて一ページに小さくまとまっている。関係ない絵もある。
わたしは「河川敷でお酒を飲みながら花火をして朝まで過ごした日」「台湾の日」「空き巣が入った日」「ペットが死んだのを見て見ぬ振りした日」「学校帰りに制服のままBIG CATにライブを見に行った日」「初恋を自覚した日」「ひっくり返って頭を打った日」「観月橋の河川敷で椅子を撮った日」「夜行バスで武道館に行った日」「愛岐トンネル群の日」を描いた。

あの日なあ、たくさん出てくると思ったのだが、いざと思うと思いの外出てこなかったのだった。
ところが人の話を聞いていると次々と「あの日」が湧いてくる。
窓を見ながら、お母さんって帰ってこないのかもしれないと思った日。
軽音楽部に入ることを決めた日、あの一歩。
地球にそっくりの別の星で一人きり置いてけぼりの夢。
中学校の教室の床に座って、そこに日が差していて妙に暖かくて穏やかで、なんだかぜんぶどうでもいいなと思った日。
終わってから、綾子さんが小さな声で「あの日と言ったらわたしの人生の話になる」と言っていた。

最近の記憶は少なくて、古い記憶の方が多いのは「消化しきれていないから?」「まだ乾燥してないから」。

次に、綾子さんと、それ以外のみんなとで別れて作業。
綾子さんは、「沖縄リサーチの記憶を語る・説明する」。
他のみんなは「争うゲームを作る」。

朗くんが今気になるのは「なぜ争うのか」「なにを求めて争うのか」「争いが起こるときにはそこになにがあるのか」らしい。
「イメージトレーニング」というシーンを作りたいと言っていた。しきりに刃牙の話をしている。

終盤、古川さんが持ってきてくれた本に載っていた「非暴力行動198の方法」で盛り上がった。

この本の言う「非暴力」、確かに人を殴っちゃいないが、「暴力」の幅が狭くないか? と思う。ものすごく直接的な暴力のみを指しているように見える。
「言語は人を殺さない」と言う。
そうだろうか。「話し合いは、」と言い換えた。それも、そうだろうか。
「言語を獲得したときに人は話し合いというものを獲得した」それはそうだな。
でも言語が、また、話し合いが人を殺すこともきっとある。話し合いによって決定的に分かってしまうことがある。それを分からせることは暴力ではないのか?(わからない)
直接手を下すことと、間接的に殺すこと、その違いはなんだろう。違いってあるんだろうか。
人は人を殺すと言うことはいつも念頭に置いておくべきだと思った。

今のところ、争いのない世界をわたしは想像できない。それがいい世界だという気もしない。
古川さんが言っていた(気がする)争いが起こると「それ以前と以後が断絶されてしまう」「システムが変わる」、という言葉が印象的な稽古だった。

以上。

出席:河井、伊奈、諸江、山下、渡辺、古川、田中
日時:12月15日(火)17:00-22:00
場所:京都芸術センター

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ルサンチカ 『GOOD WAR』

 「GOOD WAR」には、私たちが「戦争」と聞いて想像する争いと、社会に実際に存在する争いの両方が含まれています。争いに勝った人、争うことをやめた人、これから争う人、争いから逃げる人が剣闘士として登場し、「よい争い」と「わるい争い」の区別がないことを実感しながらも、自分(や自分の周囲)の生活のために争いを行います。
 私たちは生きている限り、これからも誰か(または環境)と戦い続けなければいけません。現時点で戦っていなくても、生きている限りいずれ争いに巻き込まれます。『GOOD WAR』ではそのいずれ行われる争いと、過去にあった争いとの向き合い方を鑑賞者と共に考えるべく演劇作品を上演します。

日時:
2021年2月5日(金)、2月6日(土)
2月5日(金) 19:00
2月6日(土) 11:00/15:00

会場:京都府立文化芸術会館

チケット(発売中)
一般 予約:2,500円 当日:3,000円
U30 予約:2,000円 当日:2,500円
高校生以下:500円
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料
発売方法:パスマーケット、当日販売のみ

チケット取り扱い:
オンラインチケット(パスマーケット)→https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/012t5m11b5x68.html#detail

構成・演出:河井朗
ドラマトゥルク:田中愛美
出演:伊奈昌宏、諸江翔大朗、山下残、渡辺綾子
美術:辻梨絵子
音響・照明・舞台監督:京都府立文化芸術会館
制作:沢大洋
企画・製作:ルサンチカ
協力:古川雄大、台風クラブ、ARCHIVES PAY
主催:京都府、指定管理者 創、Kyoto演劇フェスティバル実行委員会、ルサンチカ
助成:公益財団法人全国税理士共栄会文化財団、公益財団法人パブリックソース財団、京都府文化活動継続支援補助金

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