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【お題:非情怪談】赤い封筒

 ある日男が歩いていると、赤い封筒が落ちていた。
 何だろうと思って拾った瞬間、背後から視線を感じた。
 振り返ると、誰もいない。
 気味が悪いなと思った男は近くの店に寄る事にした。
 買い物をして出ようとしたら、入り口前に誰かが立っていた。
 髪の長い女性だったが、誰も彼女に気づいていなかった。
 男はあの女性が幽霊で、自分が出てくるのを待ち伏せていると直感した。
 男はここで籠城をする事を決めた。

 店内に『蛍の光』が流れていた。
 女性はまだ立っていた。
 店員に早くでろと催促されてしまうが、男は籠城を続けた。
 しかし、無理やり追い出されてしまった。
 襲われるかと思いきや、女性は姿を消していた。
 何だ幻かと安心したのも束の間、目の前にトラックが迫ってきた。
 男はそのまま轢かれてしまった。
 薄れゆく意識の中、男の視界にあの幽霊が現れてこう言った。
「これでまた一緒に暮らせるね」
 女性は死んだ妻だった。

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