見出し画像

私の英語多読遍歴111: The Book Charmer

よさげな本がセールでしたので。

不思議な能力を持つDove家の祖先が作った小さな町Dove Pond。孤児だったGraceは痴呆の症状を見せつつある養母Mama-G、死んだ妹が遺した娘Daisyの世話をするために忙しい金融機関でのフルタイム職をやめ、この町の市役所職員として引っ越してきた。向かいに住むDove家の末裔Sarahは”本の声が聞こえる”能力を持つ図書館司書。かつての賑わいをなくした町に必要なのはGraceであるということを本から伝えられ、町の復興のために奔走する。

一家に伝わる魔法のような能力とか、ちょいちょいファンタジー味があるのですが思ったよりそういう要素の活躍の場はない感じ。Grace自身にも「怒りのオーラが見える」みたいな描写が最初の方にあったものの、後半その話はまったくなく。いろいろ匂わせはあるのですがそこらへんはあまり盛り上がらないまま、友情とえらいピュアなロマンスと「町の人たちがみんなで盛り上がって問題を解決する」ジブリの映画みたいな展開でした。

痴呆になった親の介護と親の死に傷つき反抗的な子供の世話をしながら新しい職場で無能な上司の元低賃金で働かざるを得ない、そんないっぱいいっぱいの状況にも関わらず話しかけたらいつまでも自分のことを話し続けるとか、家の前で待ち構えて「お話したいから一緒に職場に行きましょう♪」とか頭にお花畑が咲いているSarahに対してそりゃイライラするよなあ…などGraceに同情してしまう前半部。SarahはSarahで、町を救うキーとなるGraceに町を出て行かれては困る!という理由があるのですが、いくら本のお告げとはいえあまりに自分本位じゃないかと。

後半は痴呆の養母の徘徊をきっかけに近所の人や町の人との交流が深まるのですが、あまり驚くような展開はありません。ありませんが、ちょいちょい不思議な現象が挟まってきます。痴呆の女性が突然相手の心を読んだりとか。なんの説明もなくそしてその後にそれがなにか重要な意味をなすかと思えばなさないw

結構肩透かしが多いストーリーだと思いました。話自体はいい話なんですが、孤独な女性が周りの優しさに触れて愛を見つける話、というよくあるもの。せっかくの背景があまり生かされていないのが残念でした。悪くはないけどすごくよくもない、といった具合です。

英語も特に難しいところはなく、情景も理解しやすいです。ページターナーとはいかないもののつまらなくて投げるというほどでもないです。
小さな町が新しい住人によって蘇るハートウォーミングな話に興味があればぜひ。

以上「The Book Charmer」でした。

もしよろしければサポートいただけると励みになります。いただいたサポートは学習の糧として使わせていただきます。