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「好きだ」というだけじゃ伝わらない。

誰が見てるかわからないけど、せっかくなのでnoteぽく仕事のことを書いてみる。

一年かそれ以上前からか、経理の仕事が「好きだ」と敢えて口にするようにしていた。それは自分の中のちょっとしたもやもやとか引っかかりとか、そういうものを晴らそうとする少しばかりの抵抗のようなもので、そうせずにはいられなかったのは確かなんだけど、どうしてそうしたかったのか、今でも明確にはわからないのである。本人がそんな風にしか捉えられないのだから、周りに伝わるはずもなく、私が「経理の仕事が好き」だと主張するのは、どことなくずっと上滑りしていた。

昨年末に、新卒で入社してから約8年勤めた職場を退職した。辞めるタイミングは運でしかなく、新卒一括採用で第一志望だった会社にたまたま内定が出たように、たまにスカウトをもらうだけの転職活動の中で、良いなと思った会社から有難くオファーをもらったという、ここぞというときの自分の幸運さが1番の理由ではあるけれど、しいていうならば、ここ数年の自分の自信のなさをどうにかして脱却したいという気持ちは強かった。自信のなさを「経理が好き」だという言葉で誤魔化しているのは明らかで、それは私自身にとって、あまりに惨めで情けないことだったのである。

そんな私が転職して2ヶ月で、いちばん思うのは「やっぱり経理が好き」だということだ。それも、だいぶ解像度は高めに。

なにより驚いたのは、前職での経験がびっくりするほど活きている。いやいや転職だし、専門職だから当たり前というか、そうでなかったら採用されてませんよという話ではあるのだけど、なにしろ私はずっと自信がなかった。今この仕事ができているのは「この職場だから」「このキャラクターだから」「この関係性があるから」だと自分自身を認められなかった呪いから解放されて、正しく知識と経験と個性を認識できるようになった私には、手持ちのカードがたくさんあった。これは本当に想定外で、本当に嬉しかった。なんで今まで気付かなかったのだろうと思うけど、まぁ眼鏡が曇ってたんだろうね。

曇った眼鏡をピカピカに拭けた私には、自分がなぜ経理の仕事が好きなのかだってわかる。私はコーポレートやバックオフィスの肝は「会社が思いっきりアクセルを踏むための良いブレーキである」ことだと考えている。…という良い例えを自分の中で思いついたなぁ〜とワクワクしていたら、まさかのキンコン西野さんがほぼ同じことを言っていて笑った。サロンメンバーではないですが、昔から好きです。話を戻すと、私は、これからガンガンアクセルを踏んで社会に影響を与えていくべき会社の『良いブレーキ』であることに何より喜びを感じるので、特に経理や内部統制の仕事にやりがいを感じるのだ。昔、学生から「ミッションに共感して入社したのにバックオフィスになって、どう折り合いをつけてるんですか?」と聞かれたことがあるのだけど、ミッションに共感できない会社で、ときにはメンバーに煙たがられながらも規定やルールの周知や定着に奮闘することは、私はできる気がしない。

「経理が好き」とか「会計の仕事がしたい」とか、ふわふわ言って、うまく説明できなかったうちは、仕訳オペレーターになりたいのかと聞かれることもあったけど、そういうことではないという自覚だけはあった。仕訳は好きだけど、仕訳だけが経理の仕事ではないと思っている。経理の仕事=仕訳=自動化するとなくなる仕事=経理の人は自動化を恐れている、みたいな方程式は、割と簡単に浮かぶのだろう。私も「経理の仕事」が好きだから、なんでもかんでも自動化するのはちょっと…と思っている時期があった。若い。いまは転職したての会社にシステムを導入して、自動化される数字たちを眺めてニヤニヤしている。まさかこんなことになるとは。もちろんニヤニヤしているだけが仕事ではないので、その先に、人間の自分がやるべき仕事を見つけていくのだ。それは誰がなんといおうと、私が「好き」なことなのだ。

たくさん回り道をしたけど、「この道が正しい」という直感だけは譲らないのが、私の良いところだと思う。なんだかんだいって自分の選択に後悔をしたことはないので、この道程だって、正しいものにしていくのだ。今の私なら「経理が好きだ」という言葉も、上滑りしない。

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