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露天風呂でぼーとする幸せ。

夜中の露天風呂は、わたし1人だった。お湯から白い湯気がゆらゆらとたちこめ、お湯の音だけが響く。

山奥のホテルで、周りは森。お湯に浸かった目線の先に、木々が見える。ぴりりと冷えた空気に熱めのお湯。木の香りと、枯葉の香り。リラックス効果は絶大。

「森の中に行きたい」

そう唐突に思って、結婚記念日に那須高原にやってきた。珍しく森を選んだのだ。キリッとした空気感と、しんとした静かな空間に行きたかった。「無」になりたかったんだとおもう。

ひとりぽつんと露天風呂に入っていると、ゆるゆると心身ともに緩んできて、「日本人でよかったなあ」なんてしみじみ思った。

海が好きだから、普段は海辺の温泉街ばかり行く。お風呂から海が見えるのが何より好きで。特に心に残っているのは半年前に沖縄の小浜島で入った露天風呂。ぬるい潮風に、椰子の木が生えていて遠くに海が見える。南国の空気感なのに温泉に入っているのがひたすら不思議だった。お湯もぬるめで、まったり、ゆったり、溶けてしまうようだった。

はあ、いま思い出してもリラックスできる。ふだんはカメラでパシャパシャと好き勝手撮っているのだけど、もちろんお風呂はどんなに綺麗でも撮れなくて。その分、「忘れないぞ!」とその時の気持ちや空気感を必死に頭の中で言葉にして、目に焼き付けているからすぐに思い出せる。

冬の森の中の温泉は正反対で、痛いくらいの寒さと、顔の冷たさと、体に染み渡るお湯の温かさ。染み渡る、その言葉に尽きる。やっぱり温泉は冬なんだよねえ。

那須の露天風呂で考えていたことは、人生についてという壮大なもの。昔から「人生迷子」が口癖のわたしだけど、それは30を目前にしても変わってなくて。でもどれだけ考えても答えはでなくて、「とりあえずやってみる」がわたしの最大の課題だな、とこれまた同じ考えにいたる。

また懲りずにぐるぐると考えはじめていたのだけど、「無」になりたくて来たんだから、やめておこう。


きょうのごはん美味しかったな。
旦那と温泉旅行に来れるなんて、それだけで幸せな人生だな。
温泉って、最高だな。日本人っていいな。
普段は海に行きがちだけど、山もいいな。これは大人になったのかな。

そう簡単に「無」にはなれないけれど、難しく考えることだけは意識的にやめられる。小学生みたいな感想を述べていって、いいところをたくさん並べていく。ふわふわ、体は温かいけれど頭はクリアだ。難しく考えなくてもいいか、そんな気持ちにさせてくれる。

ゆるゆる。日常の疲れは、非日常でしか癒せないらしい。行き詰まったら、温泉に行こう。非日常を楽しもう。日常の、ちょっと特別な非日常。



気持ちが嬉しいです!ゆるゆるスローライフを楽しんでいきましょう♡