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16歳と過ごした、ある週末

16歳…それはずっと昔の話。「箸が転がっても楽しい年頃」とは本当にその通りだったように思う。

先日、パートナー家族の友達がトロントに遊びに来る、という話を夕飯時に聞いた。(友達?)と思った私は、「友達?」と口をついていた。

パートナー家族はカナダに引っ越して来たばかりの時は、オンタリオ州の小さな町に住んでいて、その頃に仲良くしていた女性が遊びに来る、との事だった。「会うのはこちらに引っ越して来た以来」というもあってか、家族みんなワクワクしていた。

そんなにワクワクする女性ってどんな方なんだろう!と私も勝手にワクワク。

彼らが車でやって来るのは金曜日の夕方だというので、仕事が夕方まである私は駅でピックアップしてもらい彼らの待つレストランへ向かった。

運転していたパートナーは「彼女の娘も一緒だったんだけれど、前はまだ小学生だった娘ちゃんがティーネージャーになっていて、全く知らない女性が二人、うちの玄関の前に立ってて思わず”How can I help you? ”どうしました?(何か私に出来る事は?みたいな感じ)って聞いちゃいそうになった」と笑っていた。

「あの小さかった女の子が…と、おじさんになった気分」とも言っていて(それな)感。大人になるって、そういう事の繰り返しである。友人の子どもや教え子など、ええええーーー!もうそんなに大きくなったの?というのはよくある。

私は更に「16歳の多感なお年頃の女性が、男ばかりのこの家に訪ねてくるなんて珍しい…」とも思ってしまった。

パートナーの父親は普段、ボロボロのTシャツとか平気で着るカナダ人、という感じの方なんだが、女性が「なんでこんな、みすぼらしい恰好してるのよ、もっと良い服着なさいよ」みたいに言って、アロハシャツに白いショーツ、サングラスを掛けてくるから笑わないであげて、とパートナーに言われた。

え~そういう女性、大好き。

レストランには我々が先に着いてしまい、パートナーのお父さんと女性らは後から到着。軽く自己紹介をして食事となった。

話しているうちに知った色々。「女性の家族は娘ちゃんが小学生の頃にカナダに引っ越して来た」「女性には息子もいて、パートナーと年が近い。彼は今はカナダのとある都市にいるが、もうすぐアメリカで仕事をする予定」「女性と娘ちゃんは現在オタワに住んでいる」などなど。

女性は聞いていた通りのチャッキチャキさがあって、すぐに好きになった。

みんなマンダリンを話すので、時々こっそりパートナーの解説が入った。私は結構慣れているっちゃ慣れている事なので別になんとも思っていなかったが、そんな様子を見て娘ちゃんが「みんなが分かる英語で話そうよ」と提案。そういう所が多様性国家で育った市民らしい。

そんな会話の後にカナダのフランス語(オンタリオ州では大体、小学校から第二言語として学ぶ)の話に。

(ご興味がありましたら、こちらをどうぞ)

娘ちゃんは、ちょうどG4の時にカナダに引っ越して来たよう。当時ESLと呼ばれる英語が母国語ではない生徒の為のクラス(一般的な国語の授業の際に、ESLの子だけ集められレベルに応じて国語を学ぶ)にいたらしく、他の子らがフランス語を学び始めたのを見て「英語だけかと思っていたらフランス語もあるのか~い」と衝撃的だったらしい。

今となってはそれは笑い話のようだが、相当苦労したんだろうな、と思う。彼女は今はマンダリン、英語、フランス語を話すマルチリンガル。ワオ。

そしてうちのパートナーも負けじと己のフランス語エピソードを披露。「俺は高校の途中で引っ越して来たから、もうフランス語の授業はアドバンスレベルだった。隣の席の友達が呟く答えを丸っきりコピーして、1単位取った思い出。それ以来はもう受講しなかった」

移民の子どもを悩ませるフランス語。タイヘンダネ(他人事でごめん)

ところで、うちの小学生は去年は1年、フレンチスクールに通っていた。私はてっきり授業の一科目としてフランス語を学んでいたと思っていたが、授業の約半分がフランス語、という学校だったらしい。「え、今更?知らなかったの?」と小学生に怒られた。(なんかオンライン授業の音声とかたまに聞こえてきてたけど、いつも英語喋っていたように感じたよ…)

学年末に引っ越したので、9月からの新学期はどこの学校にしようかまだ話し合い中らしいが、父親は引き続きフランス語に力を入れて欲しいようだ。

みんな沢山言葉が喋れてすごいね。って、あ、私も一応二か国語喋れるんだった。日本で英語教育を受けた人達は「私は英語、全然喋れません」って言いがちだけれど、英単語を読める、文法を知っている、というスキルがあるからもっと「英語分かります」を前面に出していいと思う。私もそうだったが「英語を話す」という事に慣れていないのと、肌の色が違う人を目の前にして英語を話す、という行為に慣れていないだけってある。偉そうだけど。そこだけなのにな、勿体ないな、もっと強気でいいんだよ!と思う。

よく日本人の方と結婚された他の国の出身者が、履歴書に「日本語喋れます」と書くけど、実は「おはよう・ご飯・ありがとう」位しか喋れない、っていうの、よく笑い話で聞く。そんな感じでいいと思う。

話が脱線したが、娘ちゃんとは夜、小学生と4人でボードゲームをしたり、私にとってもなんだか夏休みに親戚と過ごす感満載でとても楽しかった。娘ちゃんはとても良い子だった。(偉そう)いや、でもちょっとビビるじゃない、普段34歳として暮らしていて16歳と交流する機会って滅多にないからね。娘ちゃんは趣味でイラストを描いていて、友達とそれでビジネスもしたりしているという。さすが、現代っ子、やる事がかっこいい。

将来はイラストレーターとして働きたいそう。いや、もう働いてるやん、と言えるけど。アニメーションも興味があるけれど、持っているパソコンが古いんだよね~、とも話していた。

彼女、鬼滅の漫画(英語版)も読み終わったそうで、パートナーとオタク談義に花を咲かせていた。パートナーは「漫画、中国語で読んだ?英語で読んだ?」と聞いていた。彼曰く、日本の漫画やアニメは中国語の方が忠実に訳されているイメージらしい。娘ちゃんは「私、英語の方が読むの早いんだよね、だから読み物はいつも英語」と話していた。色んな意見があって面白い。

小学生はネットフリックスで観られるシーズン1だけを観終わっているのだけれど、彼女に「がっかりだよ」(君がそんなニワカファンだったなんて)みたいに反応されていた。いや、小学生、大分ハマっていたけれどね。横からそんなやり取りを見ていて笑えた。「Mayは全然観ないの?日本人なのに勿体ないね…」とアニメ、漫画好きの人によく言われるあるあるを言われるオチ。す、すいません。

彼女は「ニキビも出来るし、友人関係や勉強も忙しいし、将来の事も悩むし、16歳が素晴らしいなんて嘘だよ」と話していた。

また数年後に会えたらいいな、と思う。



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