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カナダのサニタリー事情②

先日アップした、を男性の方にも読んで頂けたようで嬉しいです。

生理を持つ側の人間として、もしかしたら、アクシデントがあって、いつか見知らぬ誰かに助けてもらうことがあるかもしれない。生理を持たない方は、自分には関係ない、と思いつつも、大切な人が苦しんだり悩まれている時に「大変だね、少し休んだらいいよ」だとか、思いやりとして共感を示せたり、知識として備えて置くことは悪いことではない、と思います。

「恥ずかしいから隠したいという人は隠してもいいと思う。色んなことを選べる中で『私、生理だからしんどいねん』と言える環境になってきたことはいいこと」

これは、ハイヒール・モモコさんがおしゃった言葉だそう。この価値観、すごく、好きだ。

上の記事は、様々なバックグラウンドから、まだまだ生理自体がタブーな事と捉えれている人々もいる、という事も伝えている。

生理用品の無料支給

先日、報道されていた、こちらのニュースを見て私は大変驚いた。

今年2月、スコットランド議会はすべての女性にナプキン、タンポンなどの生理用品を無料で提供する法案を、賛成112、反対0、棄権1のほぼ全会一致という形で可決した。

画期的な勝利。

ちなみに、この背景には「Period Poverty(生理の貧困)」という社会問題がある。

私はこの問題を全く知る事なく、最近まで生きて来た。ある日、メディアで、カナダ国内の若年層、学生らが生理用品を買えずに、学校や会社を休むしかない、という選択を迫られている、と読んだ。なんという事だろう。

私のこれまでは、生理が来れば、買っておいた生理用品を心置きなく使用。時に鎮痛剤等も使うことがあったが、生理と共に生活をしていた。だが、誰かにとっては、それは普通の事ではなかったのだ。生理の為に、勉学や労働の機会を逃しているという事実。そして、生理は毎月やって来る。

これは、2018年の記事だが、とても分かりやすくこれらの問題がまとめてあるので是非。

現在、私の住むトロント市の公立小中学校では、無料の生理用品が生徒に支給されている。

私は市内にあるトロント大学を訪れた事があるのだが、そのキャンパスのトイレ内にタンポンが置かれていた。よく、ショッピングセンターなんかで見る、トイレ内に設置されている硬貨を入れて生理用品を買える機械のようなものだ。その、コインなしバージョン。

市内の多くの大学、専門学校では現在、同じように無料提供されているという。

日本でも、このような運動があるようだ。

サニタリーショーツ

最近、話題のサニタリーショーツ。下着を履くだけで、吸収性のある生地が経血を受け止めてくれるというもの。私はまだ未使用なのですが、月経カップを利用しながら、「そろそろ来るかも、今日かな明日かな」と、そわそわする日に是非取り入れたいと思っている。

低用量ピル

サニタリーではないが、折角の機会なので触れておきたい。

私はカナダに来てから服用を始めた。元々、避妊の為だったが生理痛の緩和等、もっと早くに手にとれば良かった、と今は思っている。

カナダでピルを手に入れる方法としては、病院に行き、「ピルが欲しい」と言うと、問診、尿による妊娠の有無チェックの後、処方箋を発行してもらえる方法が一般的だと思う。

実はこのピル、このパンデミック宣言が出てから、病院に行く事が憚れ、(オンライン診療など行わていたのですが)更に、市内ではあるが引っ越しした事もありストックが切れてからは服用していません。

ピルの中断による症状等を調べようと、Google Canadaで検索すると、「長年服用していたが、私はピルの服用を止める事を選択しました」みたいな記事が多く、興味深かった。

そもそも日本語で、ピルに関する信頼出来る記事は少なく、ピルを中断した際についてのサイトは特に見つけられなかった。こんな所で、各国のピルに関する関心、普及の違いを実感する事となった。

今は服用していないので、強くは言えないが、

ピルを飲む事で、女性の私が自分で妊娠、避妊の責任を持つ事が可能になったことを喜ばしく思っている。

(追記:現在、また服用を始めました)

緊急避妊薬(アフターピル、モーニングアフターピル)

今、日本でも話題になっているこの薬、カナダでは薬局で購入する事が出来ます。その際、薬剤師からの説明が必須とのこと。商品名はPlan Bなどという。ネーミングがいい。猛烈な吐き気などの副作用もあるらしいが。

学校での性教育

州ごとのガイドラインに沿って行われる性教育について、私は詳しい訳ではありません。ただ、オンタリオ州ではカリキュラムへの是非が社会問題として取り上げられています。

参考までに、私の渡加前後の2015年に、このような議論が起こったようです。

ウィン首相がオンタリオ州初の同性愛者の首相だったということもあり、2015年に州の性教育カリキュラムは大きく変化。小学生低学年より性教育が始まり、同性愛者に関する学習も取り入れられてきた。しかし、フォード新首相は現在の性教育カリキュラムが子供達にふさわしくないと指摘。新しいのを作るまでは変更以前のカリキュラムに戻す、と断言した。

2018年、オンタリオ州新Doug Ford首相が就任後に行なった様々な改革、特に性教育のカリキュラム変更について学生を中心に反対運動が行われました。その、フォードの言う変更前のカリキュラムとは、なんと1998年版

この時、日々、地元紙を騒がせていたので、私もそれを追っていました。個人的に、学生自身が「私達の性教育を奪うな」といったように声高らかにマーチしていたのが印象的でした。

"Some adults, such as (Premier) Doug Ford, may have grown up in a different time," said Luca Lichner, a 16-year-old who walked out of one Toronto school. "With times changing and everything updating, we should also update our sex education instead of going back in time."

マーチに参加していたルカ、16歳「フォードを含む大人達は、違う時代を生きていた。時代が変わっていくのと共に、色々とアップデートされている。性教育も、更新すべきだ。古い時代の教育に戻るなんて、もってのほかだ。」*筆者訳

1998年と言えば、そもそもカナダで同性婚が合法化される前。ジェンダーアイデンティティ、LGBTQへの理解やSNSの問題についても欠けている、という指摘。

"We find it appalling that we don't have a curriculum that is up to date," said Frank Hong, a Grade 12 student who helped organize the rallies. "For some vulnerable teens, these are issues of life or death."

グレード12年生のフランクは、ジェンダーアイデンティティの無教育について「あるティーンにとって、これらは生きるか死ぬかの問題だ」と語った。*筆者訳

⇩このリンクをクリックすると、マーチに参加していた学生達のインタビューを観る事が出来ます。かっこいいです。

この大々的な反対運動もあり、約一年に渡って新案が練られ、2019年夏にもまたオンタリオ州を騒がせていた。(オンラインのアンケート等で多額な税金を使ったにも関わらず、大々的な改善が無かったことも反感を買った)

グレード1から8まで(小学校1年から中学生まで)2019年にアップデートされたのが以下。大麻、VAPINGの影響と危険性も含む。学年ごとにしっかりと学ぶべきことが定められていて、これだけ見ただけでも、こういった教育を受けたかったな、と思ってしまう

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そして、最後にこのエピソード。この性教育の是非が騒がれていた時期に、トロントで生まれ育った同年代の友人と性教育について話す機会がありました。

日本の性教育は?どんなだった?

え…そんなの覚えてないな。唯一思い出すのが、まだ生理について教育を受ける前、友達の一人が生理になり「ナプキンある?」と聞いて来たこと。当時は「生理?ナプキン?何それ見せて」と無知でした。その数か月後に自分も初潮を迎え、また、授業で習った。

それから麻薬の恐ろしさについても学んだな。それは道徳の時間だったような気もするが…

そう、私の時代の小学校の性教育はそんな程度でした。

私がそんな思い出を語ると、友人は「ふーん。」と納得いかない様子。そして、彼女に「カナダの性教育で印象に残っている授業はある?」と聞いてみると

やっぱり、バナナにコンドーム付けるのは盛り上がるよね

とのこと。それ、聞いたことあるけど、ほんとにやるんだな、羨ましいな、と私は思いました。(バナナは脇役として、木製の標本の様なものもあるらしいです)

小学一年生から、体の部位の名前や役割をちゃんと教わり、学年ごとに段階的に学ぶ仕組み、素晴らしいと思いませんか?性教育は生理や、性交渉、妊娠の事だけでないのです。

体の仕組みから始まって、ジェンダー、性的指向、オンラインいじめ、アルコールや煙草、ドラッグ、マスターベーション、sexting(セクスティング), homophobia(同性愛嫌悪、拒絶), sex trafficking(性的な人身売買、これは最近よく聞く犯罪の一つ。若い世代が被害を被っている事が多い)など。

時代に応じたアップデートで子どもたちを守っていきたい。さらに「自分達の学びの場を脅かすな」と声を上げる子ども達を育てていきたいな、と思います。

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最近、日本に住む幼児の母でもある友人が「育休中に、母校で行われた性教育の授業の一環で、子どもを連れて妊娠時や出産時の話をして来た」と教えてくれた。今どきはそんな授業もあるのですね。

何か、心に残る項目はありましたでしょうか。性教育については、私もまだまだ勉強中です。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


引用、参考:

https://www.cbc.ca/news/canada/toronto/campuses-offer-free-menstrual-products-in-the-name-of-educational-equality-1.4641642


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