厚生年金・国民年金のお財布のなかみと今の年金状況#0140/1000
2022年8月5日、「厚生年金・国民年金の令和3年度収支決算の概要」として、令和3年の厚生年金・国民年金のお財布のなかみが発表されました。
厚生年金は、会社員や公務員、勤務して給与をもらっている人が入る制度。
国民年金は、フリーランス・自営業の人や無職の人、学生、厚生年金に入る条件を満たさない会社勤めの人が入る制度です。
1.複雑なお財布のなかみ
いきなり大きい話ですが、人の一生を考えると、会社勤めの時期もあり、無職の時期もあり、専業主婦の時代もあり…といったように、人により、さまざまな期間があります。
ということは、加入していた年金制度もひとつではないということ。
したがって、厚生年金・国民年金は、保険料を納める人や年金をもらう人が複雑に入り乱れているため、それぞれにお金を出しあっています。
お財布のなかみも出して貰ってがあるため、なかなか複雑な資料となっています。
収支決算を見ると、「基礎年金勘定」から受入もあるし、「基礎年金給付費等基礎年金勘定」からの繰入もある、というかたちです。
ここがお財布の複雑な複雑な点です。
2.これからの年金はさらに厚生年金が中心に
収支表を見ると、厚生年金は48兆円規模、4兆円規模と、10倍近くの差があることがわかります。
その違いの理由は、それぞれの制度の規模をみるとわかります。
厚生年金と国民年金は、加入者で
・人数規模で約2.8倍
・金額規模で約4倍 ※
の違いがあるのです。
10倍も納得です。
※計算の内容
厚生年金:月額315,000円✕14.1ヶ月(12ヶ月+賞与2.1ヶ月)✕18.3%(厚生年金保険料率)=812,794円
国民年金:16,610円✕12ヶ月=199,320円
そして、もうひとつ大事なのは、今年金を貰っている人=受給者数。
厚生年金は約3,500万人に対して、国民年金は約66万人。
こちらは、国民年金の53倍の人が厚生年金をもらっている計算になります。
しかも、厚生年金を貰っている人は増加の一方、国民年金は減少しています。
そのうえ、この10月からは、「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」がはじまり、さらに厚生年金に加入する人が増えることになっています。
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html
とはいえ、現在、フリーランスの人や個人事業主の人も増えています。
そうすると、国民年金の対象になる人が増えそうな人がします。
ですが、個人事業主にも、法人になって(「マイクロ法人」という名前もよく聞きます)、厚生年金に入るというルートがあるのです。
そういった動向を見ると、この厚生年金と国民年金の差はますます広がっていきそうです。
今複雑な年金のおさいふも、厚生年金が圧倒的に増えることで、もっと整理されるかも知れません。
「年金制度はもう終わり」という話もよく聞きますが、そういった話に耳を傾ける前に、毎年、こういうお財布の中身をきちんと確認していきたいものです。
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