男性育休取得率の勢いがすごい~上場1,522社の「男性の育児休業取得率」52.2%
東京商工リサーチが、2023年3月期決算の上場2,456社のうち、有価証券報告書に「男性の育児休業取得率」を記載した1,522社の平均取得率が52.2%であったことを公表しました。
男性育児休業の取得率とは、「男性社員が育児休業や育児目的休暇を利用した人数」÷「配偶者が出産した人数」で計算したもの。
かならずしも育児休業だけではなく休暇も入るため、高めの数字となりますが、平均52.2%と半数を超える結果になりました。
取得率「20%以上30%未満」が196社(構成比12.8%)ともっとも多く、「10%未満」が189社(同12.4%)、「30.0%以上40.0%未満」が183社(同12.0%)で、50%超えとはいっても、5人に1人から4人に1人が取得している会社が多そうです。また、該当者なしを含む取得率ゼロは142社(同9.3%)という結果です。
育休取得率は業種でもかなりばらつきがあり、金融・保険業の82.7%が最高で、最低が卸売業の42.1%となっています。
金融・保険業は、「男女共同参画白書 令和5年版」をみても、もともと以前から男性の育児休業取得率が高い業種です。一方、卸売業、サービス業は、女性の取得率もあまり高いほうとはいえません。
人手不足等の原因があるのか、そもそも休みにくい業種であるようです。
また、厚生労働省が7月31日に公表した従業員数1,000人超の企業への調査結果による男性育休取得率は、育児目的休暇を「含まない」数値で、46.2%となっています。
よって、従業員1,000人以上の企業については、ほぼ半数は育児休業を取得する環境にある、ということは、ほぼ固まってきたようです。
政府は男性の育休取得率の目標を2025年までに50%に設定しているため、まず当面の課題は、上で確認した業種別の取得率の差と、企業規模による取得率の差の解消となりそうです。
「令和4年度雇用均等基本調査」では、男性育休取得率は17.13%だったため、従業員1,000人以上と未満ではまだまだ大きなひらきがあるからです。
上場企業ではない会社、中小企業の場合は育休取得率などの開示もまだ義務付けられていないため、実態がつかみにくい現状があります。
このあたりは、単に取得させればいい、ということを超えて、社会保険労務士がしっかり草の根を張っていきたいところではあります。