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ようやく引越挨拶のお返しができた話

春頃に、おとなりのご夫婦から引越のご挨拶にと柳月の菓子折りをいただきました。もう半年も前のことです。お返しをしなくてはとずっと思っていたのが、今日ようやく貰いもののラ・フランスを持っていくことができました。

お隣といっても触れ合う機会はそうそうないので、お返しも一つのツールとして使えます。少し話してみればお互い気にしていることも口から出てきます。
「うるさくないですか?」
「全く聞こえませんよ。うちはどうですか?」
これだけのやりとりでも、「いまのところ問題ないみたいだな…」と安心できます。

なぜ、お返しがこんなに遅くなってしまったのかですが…。
ご挨拶いただいてすぐにお返しするのはかえって失礼ですよね。何かよさそうなものが手に入ったときにおすそ分けするのが自然でいいなと思っていました。

ある涼しい夏の日、両手で桃の箱を抱えた母が涼しい顔をして現れました。母と私は同じマンションの別フロアに住んでいます。私はというと40肩・50肩の傷みで頭がとっちらかっていた頃。作業はできるけれどややこしい話はムリという状態。

「いま、友達が下の玄関にきたから、貰いものの桃をあげてきた」と母。
「なんで箱もってるの?」
「桃を直に持ったら傷んじゃうからさ」
ピンクと黄色の立派な桃が4個ずつ入っていたようです。2個はすでに友達にあげて、桃が入っていた場所は凹っています。残りは6個。

「あんた、2つ選んでいいよ。好きなのあげる」
私はピンクと黄色と一つずつありがたく頂戴し、思いつきで言ってみました。
「あ!お母さん、これまだ誰かにあげるの?もし、よかったらお隣さんに上げたいんだけどだめ?引越のご挨拶をいただいたっきりだからさ」
「いいねぇ!そうしなさい」こういうときの母は気風のいい女性です。

「じゃ、ピンクと…黄色と…」
「なにやってんの、箱ごと持っていきなさい!」

へ? いや、そんなに親しくないし…
すでに4つの凹ができている箱(残りは4個)を持って行って、この中から2個選んでください…なんて私は言えない。母なら言えるかもしれませんが。

「じゃ、私が持っていく!」と母は早速桃の箱を抱えて玄関に向かいます。
母が一緒に行くならお隣に択2をお願いするのももいいなと思って、私もついていこうとしたら、したら、…

「2人で行ってどうするのっ!」母の雷がドスンと落ちました。

「いや、お母さんが一人で行っても誰だかわからないよ」
「エレベーターで何度もあってるからわかるよ」
「じゃなくて、私からのお返しだということがわからないよ」

母はすでに面倒になってきたようで、「もういい」と言って戻ってきてしまいました。50肩の私も速攻であきらめました。これ以上のややこしい話はムリなので。

でもなんで?
桃2つをお隣に持っていくだけなのに、なぜ、すんなり進まない?

今回の桃は見送ろう。
お隣さんには後日…。

そして、後日、
「あんた、あのときお隣さんに桃をあげればよかったね、あんたが強情はって持って行かないから…」と母が言うわけですよ。

(。´・ω・)ん? 私が嫌がって止めたことになっている。まいいが。
(私、あのとき肩が痛くて、母さんとのやり取りを上手く整理できなかったからね…)

私が強情張ったわけではありませんが、今更説明しても母のおかしな「辻褄合わせ」には勝てない気がします。
いつも明朗闊達な母ですが、ときどきトンチンカン。

そして、今日ようやく貰いもののラ・フランスをお隣にお届けできました。年内におさめられてよかった。お隣さんと顔を合わせるたびに気になっていたんです。


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