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【コミックエッセイ】カルマティックあげるよ(時系列まとめ)

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くだらない話・不思議な話・ホラーな話を集めたコミックエッセイ。みょうちきりんな話が多いのでたぶん閲覧注意!
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#ホラー

『カルマティックあげるよ』のはじめに

『カルマティックあげるよ』のはじめに

私たちは、この狭い島国の中でぼちぼち日々を過ごす、ごくごく一般的なカーストに属する人畜無害で牧歌的な人間です。
しかし今までの自身の半生を振り返ってみると、常識では考えられないような、不思議で奇っ怪で、因果な出来事がたくさんありました。自分の身から出たハプニングもあれば、他人が起こしたトラブルに巻き込まれることもあったし、移動の最中に意図せず不可思議な光景を見かけたりなど、そのケースは様々です。い

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ヤバいおじさんからの頼みごと(カルマティックあげるよ ♯154)

ヤバいおじさんからの頼みごと(カルマティックあげるよ ♯154)

夏休みの序盤の朝だった。

プルルルルルル!プルルルルルル!プルルルルルル…

携帯が鳴り響いている。
着信音に叩き起こされた私の低血圧の身体は気だるく、布団の中で無視を決め込んだ。
しかしながら、どうやら相手は諦める気配はないようだ。
切れては鳴りを繰り返す。
それも30分以上続けば別の話だ。
尋常じゃない雰囲気を感じた。
これはもしかしたらなにかの緊急連絡かもしれない。
ベッドからテーブルへと

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線香にまつわる不思議な話(カルマティックあげるよ ♯127)

線香にまつわる不思議な話(カルマティックあげるよ ♯127)

まだしんしんと雪が降る大学2年の1月はじめのことだった。
私は日常生活のなかで、ある違和感を覚えていた。
部屋の中はもちろん、外の廊下でも、つまりはアパートの敷地内で四六時中、線香の臭いがしていることに気が付いたのである。
それは古着屋などで焚かれているお洒落な香りとは程遠く、まぎれもなく仏壇仏具のソレであった。
そうまるで、お寺にいるみたいな。
最初は正月休みで、周辺のどこかの民家では親戚が集い

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ナイト・オブ・シンクロニシティ:前編(カルマティックあげるよ ♯148)

ナイト・オブ・シンクロニシティ:前編(カルマティックあげるよ ♯148)

これから記すことは、僕とエツとトシが共に遭遇した、ある不思議な一夜についての記録である。

学生生活の終わりを目前に迎えた、大学4年生の3月。卒業制作展という美術系大学特有の一大イベントも終わり、学生達はみな新たな環境での生活に向け各自準備に追われつつも、残り少ない学生生活を謳歌していた。自分の周辺はどうだったかと言うと、エツは大学院への進学、トシは半年間の留年が決まっていた。そして僕はのらりくら

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ナイト・オブ・シンクロニシティ:後編(カルマティックあげるよ ♯150)

ナイト・オブ・シンクロニシティ:後編(カルマティックあげるよ ♯150)

不思議な一夜の記録、後編。

前編はこちら

真夜中の田舎道を、僕ら3人を乗せたジムニーは進んでいった。先ほどまで走っていた車通りの激しいバイパスとは打って変わって、周囲を走る車はほとんど見当たらない。時折対向車がビームライトに照らされながらすれ違っていくだけだ。あたりは田舎によくある敷地の広い民家ばかりで、すでに灯りを消している家も多く、点灯している家も広い庭ゆえ光は遠くに見えたのだった。植木が

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