勇気の貯金
落ち込んでます。
仕事が遅れているのです。
テレワーク生活にすっかり慣れてしまった家族が、
仕事中でもお構いなしに話しかけたり頼んだりしてくるので、
その度に私の作業時間は中断されたり続行不能になったりして、
いつのまにか、それが当たり前になってしまいました。
打ち合わせの中座や会話の離脱も増え、議論に参加できなくなりました。
そんなことの積み重ねで、集中力とやる気は削がれ、作業は遅れる一方。
コロナ前の、家で1人のテレワークは最高に生産性が高かったのに、
これでは会社で仕事するほうが、よほど集中できます。
自分の時間やルール、ペースを守るのが、本当に苦手。
介入され放題の振り回され放題になってしまいます。
安請け合いで色々やってしまっていることも、日常になって…。
落ち込みました。
落ち込んだけど、ふと気づきました。
こんなに遅れている私に、なぜかみんな優しい。
誰も冷たくしない。
私は人間関係に悲観的で、自分など好かれるわけがないという意識に囚われ、
いつも身を硬くしている。体が痛くなるほどに。
なのに、みんな優しい。そう感じられる。
実際、今もずっと、励ましや感謝の言葉を送ってくれる。
そう、感謝だ…。
最近、メンバーの感謝のDMをどれほど受け取っただろう。
思い返すと、特にコロナ以降、私は彼らにたくさん声をかけていた。
愚痴を聞いてくれてありがとう、
もう辞めたくなってしまっていたので救われました、
あなたがこのチームに来てくれて良かったです、
そんなDMを山のようにもらった。
みんな、ストレスがたまっている。
私はなんとなくそれを感じ、なんとなく声をかけている。
気の小さい、対人関係に臆病な私が、
こういうことは自然にできているのだ。
仕事ぶりや仕事の状況を見ていて、
声をかけるタイミングが、なんとなくわかる。
迷惑かなとかそういうことは、あまり考えない。
チームだもの。仲間だもの。
でも、これは勇気だ。
自分にないと思っている勇気は、ちゃんとここにある。
少し前に娘が突然、「ママ!ママの良いところはね、」と言い出した。
「優しくて、勇気があるところだよ」
「勇気?お母さんが?勇気あるの?」
「うん、だってね、ウチがパパに怒られてる時、
ママは怖くても庇ってくれるでしょう?」
ああ、それは意識的にやっていることだ。
彼との協定でもある。1人が怒ったら、もう1人は庇う。
それにもう一つ、ブライアン・ウィルソンという人の存在。
あるドキュメンタリーでブライアンは、
父の暴力から自分を庇ってくれなかった母を許すことができないと語っていた。
母親を許せないことは、苦しいだろうと思う。
怖さにも立ち向かってあなたを守る、その姿勢に愛を感じてほしい。
あなたは愛されてる。そう信じられるように。
大丈夫。私には、勇気がある。
そのことが今、失敗している私を優しく包んでくれた。
少し前、精神状態がどん底だった頃。
私には何もない、空っぽな自分がただ惨めに思えて…。
そんなときに思いとどまらせてくれたのもまた、
過去の自分の勇気だった。
貯金しよう。勇気。
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セクハラの話が続いたので、今日はパワハラについて。
同年代の常駐さんで気丈な人だった。
協力会社の方でもリーダーを務める技量があった。
業務上の関係が深まるにつれ、YMOの話で盛り上がったりするようになった。
いつもファッショナブルなカフスをしていることに気づき、
その度に見せてもらったりしていた。
当時の課長は、パワハラ傾向のあるタイプだった。
ある時、何か乱暴な口調と、それに続く沈黙のギクシャクした空気が、
座席の距離を超えてギリギリ伝わってきた。
心配になってメールしたら、 打ち合わせスペースでばったり会って。
「僕、会社に入ってあんなひどいこと言われたの初めてです。
泣いてしまいました。」
ちょうどその時期、彼は人員配置の変更で煽りを食らって、
仕事が回らなくなっていた。
私も残業できない勤務状態で立場は弱かったので、
ハラスメントに関してはあまり適切に動けなかった。
せめて助けになればと、回っていない業務のサポートを申し出て、
自分でもよく頑張ったと言えるほど、
絶望的に見えた状況をどうにか間に合わせた。
あの頃の私にはそれができた。
あの頃には、それができてた。
私は空っぽじゃない。