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「美しいか、美しくないか」


2019年9月15日の日曜日、ツイッターで日本時間の22時頃に投稿したこちらのツイートが、人生で初めてバズりました。



3000いいねでバズった、というのは人によっては少ないかもしれませんが、今まで最高でも400いいねくらいだった私にとっては、大変驚きな出来事でした。

しかも、何気ないツイートではなく、作品紹介でバズることは私の悲願でもありました。

ツイッターを始めたのも続けているのも、ひとえにオートクチュールドレス縫製職人として、伝えたいこと・発信したいことがあったからで、
それを一番ダイレクトに伝えることができるのは自分のオートクチュールの技術を駆使して作った渾身の作品であると思っていたからです。




このドレスを製作するきっかけになったのが、2019年5月に開催された「半・分解展 京都」にて、私がゲストで参加をすると同時に、ドレスの展示もさせていただけるというお話をいただいたことによってでした。


その「半・分解展 京都」でトークショーをした折に、『自分にとっての技術とは』という質問を主催者の長谷川彰良氏から受け、その時に答えた話と、今回のツイッターの投稿の反響の結果を踏まえて、改めて自分がドレスを製作するにあたり、考えていること・目指していることを書き残しておこうと思います。



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まず、半・分解展で話した『自分にとっての技術とは』の答え。
(当時緊張して話していたので何を話したか全部は覚えていないので、改めて伝えたかったことをまとめながら書きます)



私にとって〝技術〟とは、ただ単純に物を作るための手段ではなく、作り手の個性が含まれ、人それぞれに違ったものを作り出すことができる力でもあると考えています。



同じ材料、同じやり方で物を作っても、全て機械でやらない限りは必ずと言ってもいいほど個性が出ます。

その個性はいい個性もあれば悪い個性もある。
もちろん作るものにもよって個性の相性はありますが、
私の場合、オートクチュールで、かつ繊細な生地を使用するドレスを作る縫製職人として、
誰が見ても美しいと思っていただけるようなものを作ることが求められます。


それは、個性を殺して一律の美しさにするということではなく(複数人で同じパーツ作りや刺繍をする時はそれも求められますが)、職人の個性ありきで、ドレスが美しく仕上がるということがオートクチュールらしさでもあるため、そのドレスにあった雰囲気の自分の個性を出すことで、職人の技術の技量が試されると思っています。

つまり、美しいドレスが仕上がるかどうかは〝作り手の個性も含めた技術〟次第だと考えています。



そして、その〝個性を含めた技術〟を習得することを、私はずっと今まで何かを作る度に意識してきました。

「この仕事を任せるならまやさんが適任」と思ってもらえるように磨いた〝技術〟もあります。


それは、紛れもなく私にしかできない〝技術〟なのです。





誰が見ても美しいと思っていただけるようなものを作ることが求められる、と話しましたが、
私はもともと、そういうモノづくりが好きということもあったため、必然的に今の仕事をするようになったとも言えますし、それが自分の適性にも合っているように感じます。


なぜなら、そこには必ず〝美しい〟という答えがあるから。


答えがないものを作るのも、見たり判断したりするのも私は苦手です。
好き嫌いで見られたり、答えがないのに批評されたりするのも好きではありません。

デザインするのが苦手、といつも言うのはそれも1つの理由であります。



しかし、縫製には必ず答えがあります。



「見たものが、好きか嫌いかではなく、美しいか美しくないか」

それを問うた時に、プロであろうがなかろうが、誰が見ても〝美しい〟と思う縫製

それが答えです。



だから私が目指す技術というのは、100人に見せて100人に美しいと思ってもらえるもの。



わかる人にだけわかってもらえればいい、じゃだめ。


私は、100人から100点をもらいたいんです。




思い返せば、私がディズニーランドでアルバイトをした理由も、老若男女すべての人が楽しめるディズニーの秘密を知って、
多くの人を感動させることができる人間になりたいと思ったからでした。


〝技術〟は、自分の力次第でそれを可能にすることができると信じています。







さて、ここで、ご好評頂いたドレスの写真の他のカットをご覧ください。


できれば、何も深いことは考えずに直感で。

ただ、「美しいか、美しくないか」




いかがでしょうか?




2019.9.25 まや

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いつもありがとうございます! サポートいただけたら、仕事ではなく、ただ好きなこととして、自由にデザインした個人的な作品ドレスを作るための材料費の一部に当てさせていただきたいと思っております。