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寧静、わたしにとっての #旅する日本語

寧静、わたしにとっての
それをもたらしてくれるのは
きみ、
かすかな寝息、毛布にくるまった
ちいさな背中を暗がりで、見つめていた

東京、夢も努力も運も才能も
すべてを呑みこむこの街でふたり、生きることを選んだ
途方に暮れ、明日を憂いて
使い古されないように
消費されてしまわないように、
守りあって、生きてきたんだ


今日もきみは傷を負って帰ってきて
その
ちいさな身体を丸くして
もっとちいさくうずくまって
沈む 深く、深く
朝になれば
また笑顔で赴くのだろう、戦場へ

今日もわたしは傷を負って帰ってきた
その
ちいさな背中に手を添えて
今日もお疲れさまでしたって
零す、合言葉のように
横になって
明日が迎えに来るまで、夢を見るんだ

寧静、ほんとうは
それとはほど遠いのかもしれないけれど
この
深い夜に、祈りの寝息をたてる
きみ、そのとなりに
わたしにとってのそんな場所が、あるから


使い古されないように
消費されて、しまわないように
守りあって、生きていこうよ







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