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DVD『滝沢歌舞伎ZERO』を鑑賞して

発売が延期になっていた『滝沢歌舞伎ZERO』が、遂に発売されました!この日を待っていました。ずっとずっと見てみたかったんだよ!

舞台で上演されたものが映像作品となって発売されたものを見ると、私はやはり舞台が好きなんだなと気付かされます。映像の分野でお芝居をする役者さんももちろん尊敬していますが、まさに今、目の前で体一つでパフォーマンスし、観客から万雷の拍手をもらっている役者さんを劇場で自分の目で見るのが好きです。

滝沢歌舞伎は2019年に上演されたこの『滝沢歌舞伎ZERO』から、滝沢秀明さんより主演のバトンを引き継いだSnow Manが座長を務め、京都の南座と東京の新橋演舞場で上演されました。京都公演はラウールくんを除いた8人で、東京公演は9人揃って上演され、京都公演の稽古に取り組むカンパニーの様子は、番組「RIDE ON TIME」でも取り上げられました。

上演当時の2019年春はラウールくんは高校受験の真っ最中でしたし、目黒蓮くんはまだ宇宙sixというグループと兼任していました。Snow ManのYouTubeチャンネルに向井康二くん、目黒蓮くん、ラウールくんが登場したばかりだったのもこの頃。

さて、『〜ZERO』が発売され手元に届き、一通り鑑賞した後に滝沢くんが最後に主演を務めた『滝沢歌舞伎2018』も見返してみました。『〜ZERO』の発売が待ちきれなくなって『〜2018』に手を出した私の感想もあるので貼っておきます。

主演が滝沢くんからSnow Manに代わるとはどういうことなのか。直近の2作品を見比べながら、Snow Manの前に立ちはだかる目標とハードルを思い浮かべつつ鑑賞しました。

「RIDE ON TIME」という番組で滝沢くんも語っていますが、Snow Manは主演としてはまだまだ。とはいえ、個々の舞台人としてのスキルはジャニーズ事務所のタレントの中では高く、舞台姿を見ていると真面目な姿勢で丁寧にお稽古を重ねていることが分かります。

Snow Manに必要なのは何なのか。
主演として舞台に立っているオーラだと思う。
滝沢くんや三宅健くんが舞台に立った時に見える、舞台中央にいる人が見せる揺るぎない自信と主演慣れ。
滝沢歌舞伎で主演を張るということがどういうことか学んだSnow Manが、自信をつけて舞台の中央に立つことに慣れていく成長の日々を追うことができるのがこれからの楽しみです。年内に公開が予定されている映画版の『滝沢歌舞伎ZERO 2020 The Movie』も期待しています!

とか何とか偉そうなことを言ってしまいましたが。
ファンがSNSでやるべきことというのは好きな人の良いと思うところを書き連ねて「いいよ!いいよ!」って褒めてあげることだと思うので。今日も私は、いいと思う所をデレデレと書いていくのみです。

別のnoteで書いていますが、私の感想には邪念がついてきますので、ご了承ください。あと、宝塚歌劇が好きなので宝塚ファンらしいツボも混ぜながら書きました。

Snow Man本人たちが選んだベストシーンを紹介するYouTubeの動画も上がっています。


***

DISC1
オープニング 『ひらりと桜』

舞う桜をイメージしたアイドルらしいオープニング。この華やかさは、宝塚の華やかさに似たものがあります。桜色のピンクが好きな色なので、色使いも気に入っています。

Snow Manの衣装は「桜の精S」という感じ。9人もいる時点でS(ソロ)ではないかもしれませんが。白い衣装が主演を任されているという証で、センターに立っているんだという実感を持ちました。オープニングにしてこの作品を象徴する大切な場面。実際にその目で見て確かめてほしいです。羽織っているオーガンジーの長い丈の羽織がおしゃれ。
(※実はこの部分はボーナストラックのインタビューを見る前に書いたのですが、宮舘くんがこの場面のSnow Manを桜の精と表現していたことと羽織のオーガンジーに触れていて、宮舘くんの解釈と私の解釈が一致しているのかなと思うと嬉しかったです)

降ってくる桜の量が、ひらりどころじゃない、どさぁって感じ。その桜の滝をかき分けるように出てくるSnow Manだけど、まともに体で受けたら重力で押しつぶされてしまうんじゃないだろうかという量の桜です。
落ちてきた桜が積もって厚みを出していて、それを手で掬って投げるとまた新たな桜吹雪が生み出されて美しいのですが、これは実際の桜のシーズンに京都の花見スポットとかでやって遊んでみたいな、なんて。

踊った後の岩本くんのご挨拶、立派です。お辞儀の角度が美しい。舞台人の美しいお辞儀ですね。「滝沢歌舞伎ZERO、新たな幕開けです!」で泣けた。

組曲

バレリーナのお二人が美しい…。クラシックバレエを習っていたのでバレエを鑑賞するのも好きで、バレエの踊りが採用されているという点でも滝沢歌舞伎は好きなのです。

どうでもいい話かもしれませんが、「ひらりと桜」の後のご挨拶が終わって上手に捌けた岩本くん、この組曲の場面では下手から出てきてませんか…?気のせいか?見間違いか?この短時間で、メンバーの中で持ち時間が最も短い中で、上手に捌けて着替えて下手に移動して出てきたの?そうだったら凄い。

「RIDE ON TIME」で振付師の先生から「血ヘド吐いてもらおうかな」と言われていた激しいダンスナンバーのシーンです。ダンスに関しては素人ですが、決して真似したいと思わない激しいダンスと、筋肉をギリギリまで酷使しながら体の動きを美しく魅せるダンス場面です。

二場目にしてこんなに動くのか。ジャニーズの男性の体力ってどこまであるの?限界というものはあるの?

殺陣(モノクロ)

白の袴と黒の袴に分かれて戦う殺陣のシーン。
白い影と黒い影で争い、剣を交える世界。

テクノロジーと人間の呼吸が合わさった光の芸術です。

たくさんのメンバーが出ていますが、私が特に注目した人をピックアップすると…

深澤くんは、何かを守ろうと戦う男の目。
佐久間くんは、何かを取り返すために戦う男の目。
阿部くんは、大切な人の所へ帰るために戦う男の目。
それぞれ、目的を持って戦う男の目をしているのではないかと考察しながら見ていました。殺陣にもストーリーがあると思います。

必見なのはやはり、宮舘くんの殺陣。渡辺くんと剣を交える時に笑う瞬間があるのですが、戦うことに喜びを見出す男の笑みに震えました。重心を低く取って体全部を使ってしなやかに斬る姿が美しいです。

あと、忘れてはならない「戸板倒し」という演出。別名「戸板バッタン」なんてメンバーに呼ばれていました。立てた二枚の板の上に、一枚板を乗せてその上に乗り、ゆっくりと横に倒れる演出。深澤くん・阿部くん・宮舘くんが乗っていますが、中央にいる深澤くんの掛け声が男らしくて本当に格好いいのでここだけ何度も繰り返して見ています。普段はふざけキャラで三枚目なのに、こういう時に男を見せるから、深澤くんてたまらない人です…

変面

中国の伝統芸能のひとつである変面。詳しく知らなかったのですが、変面の仕組みは中国の国家機密になっているほど大切に守られているものなんだそうです。

この変面に挑戦したのは、岩本くん、向井くん、目黒くん。
全身が白の衣装で、長いマントを翻しながら、何度見ても仕組みが見抜けない変面を操り、優雅に歩いているだけなのに惹きつけられます。

何度か見ていて気付いたのですが、衣装の装飾と鬘の髪色も三人三様でそれぞれ違うんですね。宝塚でいうスターブーツ(ロングブーツ)を履いても負けないスタイルの三人が羨ましい。

岩本くんのマント捌きが美しくて見惚れます。こういう所ばかり何度もみてしまうのが宝塚ファンあるあるかもしれない。

Maybe

使用曲は、V6のアルバム「Oh! My! Goodness!」に入っているMaybeです。健くんが滝沢歌舞伎に出演していた時代から使われていた曲ということもあって引き続き使ってくれたのだったらV6ファンとして嬉しい。先輩グループの楽曲を使用しているのは唯一この曲のこの場面だけです。

出演メンバーは、深澤くん、ラウールくん、阿部くん、佐久間くん。
歌唱は深澤くんと阿部くんで、ダンスはラウールくんと佐久間くんが担当しています。ステージは盆が回って、椅子が一脚置かれているのみというシンプルな構成。衣装は、ラウールくんだけ白で、他の三人は黒。女性ダンサーも二人います。

私は特にこの場面が好きで、DISC1で最も再生していると思います。というのも、密かに自分の中で温めていた理想のシーンを実現してくれているということと、大好きなV6の大好きな楽曲が使われているというのもあるから。

既にTwitterで書いていました。

もともとMaybeは先輩グループの曲ではありますが、この時だけはラウールくんの曲だしラウールくんの場面だと思って見ています。まだ15歳のラウールくんだったけれど、舞台に立つと年齢なんて関係なくてパフォーマーになれる。ラウールくんが放つ無限大の可能性と熱量をダンスから感じることができました。振付のないフリーダンスだということで、つまり、観る度に新たなラウールくんが観れたということですよね?もし私が2019年にファンとして生きていたら、Maybeを観るためだけに何度も劇場に足を運んでいただろうな。

歌う二人は静かな表情で歌い、躍る二人は泣き叫ぶように狂うように全身を動かす対比が、何をこちらに伝えようとしていたのだろう。

バラード 『My Friend』

Snow Manファンにはお馴染み、渡辺くんと宮舘くんの幼馴染みコンビ「ゆり組」によるシーンです。渡辺くんが歌唱を、宮舘くんがフライングを担当しています。

タイトルが「My Friend」というのがいい。幼少期からお互いを知っているこの二人だからこそ唯一、友という表現を当てることができる関係性です。Snow Manの中にいれば友ではなくアイドルとして一緒に戦うメンバーなのだけれど、この場面に出ている時間は二人は束の間の友人としての時間を共有できるのかな、なんて思いながら見ていました。

最近は特に宮舘くんの方が、渡辺くんとの幼馴染みという関係性について、ファン(+ゆり組担の阿部くん)を喜ばせるかのように「特別だ」と言ってくれるようになっていて、これも一つのアイドルのファンサービスだななんて嬉しく思いながら「ゆり組」というコンビを楽しませてもらっています。

一場面まるまるソロで歌うという主役としての大役をやり切った渡辺くん。歌声に関しては文句なく上手くて、緩急が素晴らしい。それでも公演中にスランプに陥って歌えなくなってしまった時があったということだから、主演として場面を任されるという見えないプレッシャーは渡辺くんにも等しくのしかかっていたということ。舞台袖で向井くんや目黒くんなどが励ましていたエピソードは全ての人に知ってもらいたいし、宮舘くんが一緒にフライングする出演者の人と公演前に声を掛け合っている一場面も見てもらいたい。

太鼓

通称「腹筋太鼓」。腹筋をしながら太鼓を叩く、滝沢歌舞伎の名物ともいえる演目です。さあ、あなたが好きなのは、誰の腹筋?

私はやはり、2018から引き続き、宮舘くんの腹筋が好きです。

この場面は解説も何もいらない。ただただ、彼らが必死に太鼓と向き合う表情、照明を受けて光る汗を眺めて魅了されるのみです。でもこれだけは言っておきたい。回りながら太鼓を叩く光景は、なかなかにシュールである、と。

DANCE 『Make It Hot』

Snow Manのオリジナル曲。

腹筋太鼓をした後にこれを踊っていたのか…ハードすぎる。
振り付けをしてくれたのはA.B.C-Zの五関晃一くんですが、もうちょっと手加減してあげてと思ってしまうくらい、休む暇なく踊り続けるナンバーです。

宮舘くんのお顔から汗が滴り落ちる瞬間を見た時、なんとも言えない色気を感じてしまって画面前で顔を押さえたのは私だけか。

滝沢一座 「時の架け橋」

滝沢くん主演時代から引き継ぎ、この場面でメンバー全員が歌舞伎の場面に向けて白塗りの生化粧を舞台上で披露しています。その前で繰り広げられる、牛若と弁慶の五条大橋での出会いのお芝居。

お芝居の語りはもちろん、滝沢歌舞伎の名番頭、林翔太くん。洋装で語っているのですが、台詞に引っ張られて和装を纏っているように見える林くんのお芝居マジックが見事です。その後すぐに和装で出てくるから、あの洋装はやっぱり幻だったのかも、なんて思っている。

滝沢歌舞伎 五右衛門ZERO

歌舞伎の知識が皆無に等しい自分を恥じているところです。もっともっと歌舞伎のことを知りたくなったし、歌舞伎の世界の美というものを学んでみたくなりました。歌舞伎自体は何度か観たことがあるのですが、今ならきっともっと、興味を持って鑑賞できるだろう。

大きな見せ場はやはり、岩本くんと宮舘くんの刀投げの場面だと思うのですが、舞台上手で二人に合わせる影山くんの大役と頑張りを忘れずに褒めてあげたい。

滝沢歌舞伎 桜の舞

渡辺くんの男役と、阿部くんと佐久間くんの女形で舞う場面です。一人の男を巡る二人の女のお話、という解釈で合っているのでしょうか。

白塗りをした渡辺くんはなかなかに美男子です。お化粧に時間をかけたら目と眉の形と骨格の陰影が美しく描けるようになると思うのです。そしてもう少し鼻筋を入れれば…!渡辺くんは頬骨の範囲が広い顔の骨格をしているので、それが白塗りの男役として合っていたんだなと思います。鼻筋だけ足してあげて〜!

阿部くんと佐久間くんの演じる女性は正反対なのですが、阿部くんはしっとりと落ち着いた女性を、佐久間くんはツンとした怖いもの知らずの女性を演じているという印象でした。やったことがないので分かりませんが、膝を折って踊るのは相当しんどいはず。ましてや阿部くんは特に178センチの高身長でそれをやらなくてはいけないからより大変だったと思う。
リベンジしてもう一度か二度、また女形で踊ってほしいなぁ。女形を演じる楽しさを見出してもっと極めてほしい。もっともっと上手く踊れると思う、その可能性があると思って…!

滝沢歌舞伎 総踊り

出演者全員で踊る、宝塚でいう中詰の総踊り(確かに、舞台の折り返し地点でしたしね)。全ての歌舞伎場面の登場人物が揃っているので、なかなかに目線が忙しい場面です。その上、かなり激しい踊りなので女形の二人(阿部くんと佐久間くん)は動くのが大変だったのではないでしょうか。くるくる回る回る…。

「うーん…」と思う点は、音楽に女性ボーカルは入れなくても良かったのではということ。三味線や琴が良かったなぁ。男性の多いジャニーズの舞台に女性ボーカルが必要ないということではなくて、日本舞踊に歌詞はつけなくても十分にその美しさと世界観は出せると思うのです。と注文したところで、なのですが。


DISC2
『満月に散る鼠小僧 〜望んでいたのは笑いあり、涙なし〜』

二幕のほぼ全てを使った時代劇のお芝居パートです。
これまで江戸の人々の心の拠り所であった鼠小僧(演じていたのは滝沢秀明さん)の亡き後のお話。

まずは、これから書かねば。
深澤辰哉が遂にトップ娘役になったぞ!

(「え、何のこと?」という人は、私が書いた『〜2018』の感想を読んでくださいね、と誘導させていただきます)

何の違和感もなく当たり前のようにお丸さんという女性を演じている深澤くんは、ただのお芝居上手の役者さんと表現していいのか、それとも…?
これまでの滝沢歌舞伎では、主役は滝沢くんだったので深澤くんが演じるお丸さんが主役になることはなかったのですが、Snow Manが主演になった今作から堂々と主演の娘役に昇格したお丸さんの存在感がとても大きくなっていました。

江戸に住う男たちに慕われながらも天真爛漫に生き、そんなお丸さんを当たり前のように女性として演じている深澤辰哉、恐るべし。
立ち姿の時の足がちゃんと内向きになっているし(歩幅が大きい時はあるが)、着物の袖の扱いもちゃんと、娘役でした。素化粧なのにな…なぜか女性に見えてしまったのです。悔しい。モノクロで殺陣をやっていた人と同一人物とは思えないです。
あと、ジュニアの子に後ろからハグされる所があるのですが、ハグされた瞬間だけちょっとだけ女の子の顔になる深澤くんが絶妙で好きです。すぐに振り返ってドスの効いた声で「うるせぇ小僧」って言うから「あぁ男だったよね深澤くん」とスイッチが切り替わるのですが。

リアルの深澤くんは身長175センチのなかなか高身長の男の子なのだけど、隣に立つ岩本くんが更に高身長だから為せる娘役と思うと、岩本深澤シンメコンビに萌えてしまうファンです。

お丸さんに励まされながら、二代目の鼠小僧になろうと立ち上がるのが岩本照くんの役。長身で、ハンサムで、助けを求めたらすぐに来てくれそうな安心感のある岡っ引きです。でも宮舘くんに少し振り回されている時もあったり。
舞台役者としての岩本くんは、普段の話し声とのギャップが堪らなくなる、素敵な発声をしています。身体能力の高さからアクションの動きも美しくて惚れ惚れしてしまうのですが、台詞回しも巧いなぁと思って見ていました。
いつか絶対にアクション俳優として大成してほしい。

宮舘涼太くんは、すっとこどっこいでシュールな同心という役。時代劇に出ることを目標にしているだけあって、発声は素晴らしいし、着物の着こなしが最も上手いです。抜けている役が一人いないと面白くないよね!それを上手く演じているから最高です、舘様。

阿部亮平くんは、この時代劇にはお馴染みの四足歩行役、犬の「あべぞう」を演じています。『〜2018』で犬を演じていたのは岩本くんと渡辺くんで、その時も「犬の演技が巧い…」と感心してしまったのですが、阿部くんの犬の演技も立派な犬でした。Snow Manの演技力の高さは、人類以外にも発揮されるのか。
お丸さん(深澤くん)とミュージカルのように歌い上げる夜のシーンでは、同期ということもあって息ぴったりの歌唱です。
リアルタイムで追っていた舞台ではないのでよく知らないのですが、公演期間中の平成は猫、令和は犬で演じていたんですか…?

物語にいなくても成立しちゃうキャラクターだけど、いないと寂しいなと思わせる”憎めないマスコット脇役”なのが、佐久間大介くん演じる金さんと、渡辺翔太くん演じる銀さんの兄弟。小判を数えることを生きがいにしているお金大好きお坊ちゃんの兄と、ガリ勉くんの弟です。物語に乗ってこなくてもいいのだけど、この二人が割り込んでくるからクスッと笑える。それにしても、耳元で渡辺くんに「愛してるよ」と囁いてもらえる佐久間くんが羨ましすぎる。

悪役ポジションには、向井康二くんと目黒蓮くん。その二人に従いながらも、善悪の間で心揺れている役がラウールくん。
向井くん…なんて人だ。なんて素晴らしいお芝居力だ。悪役を楽しんで演じている。目黒くんの悪役は、自分の手で人の命を奪い刀に血を吸わせることだけを楽しんでいる狂気の悪役でした。ラウールくんは、これが本格的な舞台でのお芝居だったようで、まだ定まっていないお芝居が善悪で揺れる役の心境に重なっていました。この時のお芝居も、あの時のラウールくんだからこそ。颯爽と客席を走って去る姿と、岩本くんと視線を交える瞬間が好きです。

詳しくは語りませんが、Snow Manに加入したあの頃に悪役を演じるということがどれだけのプレッシャーと逆風だったのかと思うと、逆風を追い風に変えるが如くの三人の熱演はもっともっと評価されてもいいと思う。

『WITH LOVE』

出演者全員でのフィナーレ。
Snow Manが一人一人舞台袖から出てきてソロで歌い、最後に出演者が揃う。お芝居で使った大量の水が舞台上に残り水面を作り反射しているのが美しい。出演者みんなずぶ濡れで髪の毛からは水が滴っている人もいるけど、それも全てひっくるめて公演の達成感を演出しているように感じられて美しい。

滝沢歌舞伎歴はまだまだ浅い人間ですが、最後にこのWITH LOVEで全員が揃って歌うことが、滝沢歌舞伎だし滝沢くんが継承したかった舞台だし、ジャニーズらしさなのではないかと思いました。
繰り返し見ていると、自然と涙が浮かんでくる場面です。


***

それぞれの出演者の好きなシーンを挙げてみます。

Snow Man

岩本くん:岡っ引のお芝居
深澤くん:殺陣(モノクロ)の戸板倒し、WITH LOVEのソロ
ラウールくん:Maybeのダンス、ひらりと桜のソロ
渡辺くん:My Friend
向井くん:逆風を追い風に変えるほどの力がある悪役
阿部くん:モノクロの白の袴姿
目黒くん:WITH LOVEのソロ
宮舘くん:お芝居の和装と、殺陣
佐久間くん:女形、Maybeのダンス

林翔太くん

この公演で遂に、完璧なまでの専科ポジションに上り詰めた林くん。(専科って何?という方は、「宝塚歌劇団 専科」で検索してくださいね)

林くんが出てきて、呼吸して、言葉を発して。そうすると、劇場の空気が引き締まるのを感じました。舞台に欠かせないのが、こういった場を引き締める役者さんだと思っているので、これまでの滝沢歌舞伎に出演し続け少しずつそのポジションを上げていった林くんが満を辞してSnow Manを支えるベテラン格に成長したと思うと、私と同い年の役者さんということもあり嬉しくなってしまうのです。

Snow Manからもきっと心強い先輩として頼られていたのではないでしょうか。ドキュメントでSnow Manに対して見せる表情がとても優しい印象だった、まさに包み込んでくれるお兄ちゃんでした。

影山拓也くん

オープニングで二階席の下手に現れて桜吹雪と共に登場する影山くんに「なんてカッコいいの!」と撃ち抜かれました。舞台度胸もあるし、舞台映えするくっきりとしたお顔立ちが好みでした。笑顔も素敵。この影山くんを見るためだけに二階席最下手に座りたいな。

モノクロのシーンでは、せり上がってから長い台詞を任されていますし、お芝居のパートでも要所要所で大切な台詞を任されていました。
この滝沢歌舞伎で注目度が上がった役者さんNo.1でしょう!


***

とても長く語ってしまいました。
ここまで書き上げるのに約一週間という時間をかけ、文字数約9,300文字に到達しました。まだまだ書けていないこともあるだろうし、これからも鑑賞を続けていけば更に書きたいことが増えていくような気がするのですが、ひとまずここで畳みます。(うっかり下書きを消して泣きたくもなかったですし)


Snow Manが、Snow Manという名をもらった舞台。
Snow Manが、9人で初めて立った舞台。
それぞれが、それぞれの課題と向き合って青春を賭けて取り組んだ舞台。そして、ファンもそれに応えて追いかけた舞台。
私はそう思いました。
リアルタイムで追いかけたかったなぁ。

これから長い年月をかけて9人にはSnow Manという名で活躍を続けていてほしいし、節目を迎える度にこの『滝沢歌舞伎ZERO』が自分たちの根底にある作品だったんだと思い出して、更に上を行くエンターテイナーになっていってほしいな。

新たな幕は、開いたばかり。

その船出となる作品に映像で出会えて、本当によかった。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます!