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2020/04/11

ある日の津波は対岸の小さな火の一つであった。それがまさか自分の街に燃え移るなど、海を渡ってくるなどといちいち考えもしなかったのだ。なぜなら、人間とは小さなことを気にしないことにあまりに慣れすぎていたから。

ある時海を渡って火がやってきた。人々は「誰からの火だ!」「どこの国の火だ!」優しくないと知りながら犯人を探し始めた。ある党派は「火は思惑によって持ち込まれた」と語り、市民はそれに震えた。

だんだんと人は幸福論を信じなくなり、刺々しくなった精神は怒りを生み始める。ただ、猫だけが大人しく日向で寝ている日だった。ある一人の青年が、住人を刺した。
「ただ、ちょっとおかしくなっただけなんだ。そうだろ?」
その一言に、貧しい人々は踊る準備を始めた。住人たちは外に出ることを恐れ、ただその踊りの罵声音楽を家の中から聞いていた。

恐怖政治のような火は一ヶ月続き、バカらしいとはわかっていながら、たった一ヶ月とわかっていながら、人々は恐怖からサンクチュアリに火をつけた。


五月十三日のことだった。
東京で老人が道端で死んでいた。

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