鬼薪白

世迷い言のようななにか。

鬼薪白

世迷い言のようななにか。

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At Terra, at Tokyo, in 2021––Canticle from the World

 東京オリンピックの開会式を見た。開催自体に懐疑論があり、開会式も直前に問題が続発していた。ネガティブな先入観もあったのだろう、式典の演出には脈絡のなさやメッセージ性の弱さを感じずにいられなかった。医療、社会インフラに関わる人々にもスポットを当てていたが、どこかぎこちなさがあったように思う。マスクをしていない選手もいたし、にぎやかな雰囲気には違和感が残った。  だが、巨額の予算が投じられた(推定)だけのことはあったように思う。とくに印象に残ったのは、会場での聖火リレーと点火

    • 二世皇帝はなぜ殺されたのか

      はじめに 司馬遷『史記』は、古来広く読まれ、日本語にも多くの故事成語が取られたことで有名です。最近は『キングダム』で知られる秦の始皇帝も、基本的には『史記』の伝える情報が基礎になっています。 その始皇帝は、「皇帝」という称号を定めた際に 朕を始皇帝とし、後継者は代数を数えて二世、三世とし、万世にいたるまで限りなく伝えよ。(朕為始皇帝、後世以計數、二世三世至于萬世、傳之無窮。) と述べました。これも『史記』(秦始皇本紀)の伝えるところです。 しかし、始皇帝の跡継ぎ・胡亥

      • 「経済」は回すものなのか

        COVID-19の流行によって様々な社会的影響が生じて以来、「経済を回す」という表現を耳にする機会が増えました。時として、感染症対策と二者択一であるかのように用いられることもありますが、ここではさしあたりその当否には立ち入りません。 「経済を回す」とは「物流(モノ)を回す」とか「貨幣(カネ)を回す」といった表現からなんとなく意味を類推できる表現です。しかし、この例のように「回す」ということばを「流通」のような意味にとると、「経済」という抽象的概念とはなじみません。そこで、こ

        • 「三国志」本の研究(1)

          歴史コンテンツとしての「三国志」の受容についてかねて関心を持っていました。一般向けにどういったメディアがあって、どう受け取られているか、というくらいの意味です。 まずは、比較的集めやすい媒体・本に絞り、どのような「三国志」本があるのかみてみたいと思います。 国会図書館サーチ(https://iss.ndl.go.jp/)を使って、タイトルに「三国志」・資料種別「本」・国会図書館所蔵・出版地「日本」(とりあえず国内での受容を考えたいので)でざっと検索すると、3010件ヒット

        At Terra, at Tokyo, in 2021––Canticle from the World