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DAZNのおかげで観戦が楽しくなった。斬新的な映像の秘密について調べてみた

こんにちは。
ダゾーン大好き松嶋俊です。プロのチームのコーチをしていて大好きなマンチェスター・シティなどについてインスタで解説しています。よければどうぞ。


激動のJリーグ2020年シーズンも幕を閉じました。スタジアムで観戦できずにDAZN(ダゾーン)中継で応援した方も多かったのではないでしょうか。


DAZNではJリーグ全試合生中継をしてくれます。J1だけではなく、J2・J3まで。今では58チームにまで増えた全チームの全試合を中継してくれるだけでもファンにはたまらない、ありがたいのですが、ここ数年で中継の質も劇的に進化したことにお気づきでしょうか。


その背景には、Jリーグそのものと、オフィシャルブロードキャスティングパートナーであるDAZNとの協力による、撮影品質の管理、カメラ配置の工夫がありました。


J1では最大20台中継!

ロッカールームやゴール内にもカメラが


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DAZNでのJリーグ中継が始まったのは2017年。毎年のように中継体制の改良を加えていて、現在のJ1では最低12台、最大で20台という国際大会並みの撮影体制が採用されています。


DAZNの責任者がインタビューに答えた際に、



「それ以前の中継は平均して5~6台だった」


と語っていることから、実に倍以上に増えたことになります。なおJ2では5台、J3は4台の体制となっています。


DAZNが「プレミアム」として指定した重要な試合には、MAXとなる20台が設置されます。


DAZN中継を見慣れている方なら、試合前にロッカールームで円陣を組む両チームの様子を見たことがあるでしょう。


またスタジアムで、試合前に技術スタッフが脚立を使ってゴールネットの中に小型カメラを取り付ける様子を見た方もいるかもしれません。


ゴールが生まれた直後に、スロー再生される映像が様々な角度から見られるのも、DAZNならではの工夫です。


またビッグマッチになるとワイヤーカメラが採用され、上空からピッチを見下ろすような角度の映像が使用されることもあります。


これも迫力満点のすばらしい演出ですね。


Jリーグが取り組んできた撮影改革も実を結ぶ



もともとは、台数が少なかったことに加えて、とくに決められた撮影方法があるわけではありませんでした。


「各放送局にお任せ」ということは、それだけ完成される内容にバラツキが出てもやむをえないことになります。


そこでJリーグは改革に乗り出しました。


Jリーグの試合映像の制作や管理を行う関連会社に、その名も「株式会社Jリーグ」というそのまんまのネーミングの組織があります。


この組織に、カメラを置く場所など中継のルール作りを行わせ、全スタジアム、全試合に同じルールを広めたのです。


また人材面でも、英国のスポーツ専門チャンネルで長年プレミアリーグの制作にかかわってきたプロフェッショナルを招へいし、ノウハウやテクニックが日本の現場にも注入されたことが大きかったと言われています。


「Jリーグ中継の内容がヨーロッパっぽくなった」


という感想を持つ方がいるならば、こうした影の努力と、本当に細かな変化の積み重ねを感じ取られたのかもしれません。


新時代「VAR制度」の導入でより映像にかかる期待と責任は大きく


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2020年、審判にかかわる大きな変更がありました。J1全試合におけるVAR制度の導入です。VAR=ビデオ・アシスタント・レフェリーは、いわゆるビデオ判定のことで、審判員4名のリアルタイムでの眼を補うためのもの。


国際大会やヨーロッパの主要リーグではすでに運用されていて、2020年からJ1リーグでも導入が始まったものです。


リーグ戦の場合、公平性を守るためには全試合での一括採用しかありません。


それには莫大な機材のコストと、VAR専門の審判員の育成が求められますが、可能にしたのはDAZNがJリーグに支払った2,000億円を超える放映権料、いわゆる「DAZNマネー」の存在だったと言われています。


VARによってスロー映像で多角的に検証されることにより、オフサイドが認定されてゴールが取り消されたり、見逃されていたPK(ペナルティキック)が与えられたりと勝敗に直結する判定が様々出てきました。


今年はコロナの影響でJリーグが4か月以上中断されましたが、結果的に開幕戦のみでVARは適用され、その後は様々な事情から見送りとなりました。


すでにJリーグは、2021年のJ1全試合でのVAR再導入を発表しています。実質的なVAR元年と言っていいでしょう。この判定のために使用される映像も当然のことながら、DAZNや制作会社の協力によるものです。


また判定に使用された映像は、スタジアムのビジョンでも再生されることになっています。


試合の運営にも映像が欠かせなくなった時代ですので、ますます映像制作にかかる責任も増していると言えるでしょう。


DAZNで視聴できる「Bリーグ」にも

サッカー中継のノウハウが生かされる


プロバスケットボールのBリーグが、2020年8月からJリーグとの業務提携をスタートしました。内容はBリーグで制作する公式映像についての協力です。


バスケ界もまた観客の制限という課題に直面しており、より迫力がある公式映像を効果的に配信してファンの関心をひくことは重要な課題です。


そこに、DAZNとJリーグがサッカーで培ってきたノウハウが生かされるというのは、スポーツ中継の発展という意味で大きなことと言えるのではないでしょうか。


またDAZNにまつわる調査によると、競技の垣根を越えて複数のスポーツ視聴を楽しむ人が増えているようです。


Jリーグのシーズンも一区切りしたところですし、バスケやラグビーなど冬シーズンのスポーツもDAZNで見て迫力ある映像を楽しんでみてはどうでしょう。


参考資料:スポーツ・サブスクリプションユーザーは スポーツビジネス活性化に向けた存在となりうるか?



今回は、DAZNでの配信が始まってからの中継映像の充実の秘密、カメラの台数、とっておきの中継映像や、来季から再導入されるVAR制度についてもご紹介しました。


普段、中継を見ているだけでは気づかない制作の裏側を知ることで、皆さんの映像の楽しみ方も変わったらうれしいです。


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