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それは過ぎ去った青春を思い起こす漫画

お久しぶりです。どうも、翔太郎です。

面白い作品のインプットが多く、アレもコレもと気づけば1ヶ月以上経っていました。

こんな漫画が読みたかった!というものが出てきたので思わず紹介したくなりました。

読み切りの頃はあまりに純度の高い恋愛漫画に胸焼けでも起こしたのか、「まあ面白かったな」くらいに思っていた作品でした。

改めて連載になった今、わずか数話で自分の中でトップに躍り出た週刊少年ジャンプで連載中の三浦糀先生の『アオのハコ』です。

・まるで少女漫画のよう

まず言っておきたいことが、これは最近よくある学園ラブコメディではなく少女漫画より少女漫画らしいといっても過言ではない恋愛漫画です。主観が女子から男子に変わっただけで、雰囲気は少女漫画そのもの。

・ラブコメは願望なら、アオのハコは共感

中高一貫校に通う中学3年生の男子バドミントン部の猪股大喜は、朝早くから同じ体育館で自主練習をする高校1年生の女子バスケ部の先輩 鹿野千夏に恋をした。というのがあらすじです。読み切りの頃と設定はほぼ同じですが、読み切りでは1話にまとめなければならないため告白までを描いていますが連載になって雰囲気が変わったように思います。
まず連載になってからは、非常に丁寧な恋愛模様が描かれています。現実的に恋愛を考えると、一方的に好きになった相手と実は両想い・こういう行動がかっこよくて私も好きになりました、なんて都合の良い漫画的なことが起きないのは、大抵の人の人生に当てはまると思います。なので「どうにかして接点を増やそう」とか「今会話するチャンス!話題は何かないかな」など、気持ち悪く思われないよう不快感を与えないように少しずつ距離感を詰める方法を模索した人は多いのではないでしょうか。そのため本編でも、朝1番に体育館で自主練習する2人きりの空間、部活が終わった後の自主練習に遭遇と、1日で特定の人物と出会えるタイミングをかなりリアルに寄せています。ちなみに2人きりであっても、体育倉庫に閉じ込められて…みたいな急接近イベントやアクシデントをかっこよく解決!ということはありません。本当に「まだ体育館の鍵が開いてないから外で待つ2人」とか「忘れ物取りに戻ったら千夏先輩がまだ練習してた」とか、会話のきっかけになるようなことしか起きないんです。こういうポイントに私は、ラブコメでは絶対に起きなかった『共感』を主人公に覚えました。だからこそ「千夏先輩が可愛い、好き!」という大喜と同じ感情にさせてくれるわけです。

・ラッキースケベはありません

正しくは"ほぼ"なのですが、ないと言っても過言ではないレベルです。なぜなら、千夏先輩の親が海外転勤で千夏自身は日本に残るために親同士のよしみで大喜の家に居候することになったにも関わらず、ハプニングは起きないのですから。
意中の相手に『お風呂上がったよ次どうぞ』と特に意識するでもなく言われて、自分は先輩のアレやコレを想像してしまって悶々とするという、非常に等身大の男子高校生らしい描写が、非現実設定の中のリアル描写でものすごい構想力だと思いました。後は、「体操服を間違えて持ってきてしまったのでコッソリ屋上で落ち合うも体育の授業にギリギリのため誰か来ないか扉の前で大喜が見張りで待っている中着替える千夏先輩」が、強いて言うならラッキースケベに入る部類というレベルです。

・現実の青春と遜色のないほどの丁寧な心情描写

同居ならではの、たまたま読んでいた漫画を覗きに来るシチュエーション、インターハイという目標の応援にミサンガを貰う、などなど物理的に距離感の近さに一方的にドキドキさせられる感情。自分には告白するほどの準備は出来ていないけれど加速する「好き」を止められない想いは、もしかしたら年齢問わずに当てはまるのではないかと思います。相手は自分のことをどう思ってくれているのかわからないまま少しずつ進んでいるようなそうでないような丁寧さは、決して蛇足ではなくフィクションの中に限りなくリアルを求めた結果の面白さに繋がっています。

・恋愛と部活の絶妙なバランス

最近の作品の恋愛ジャンルで学校や仕事に行っている設定でも勉強・部活や仕事を要素程度でなく、しっかりと描いている漫画はそんなに多くはないように感じます。しかし、アオのハコはバドミントンの練習や試合風景を恋愛の心情描写を交えながらもしっかりと描かれています。なぜなら1話1話が呪術廻戦のようにずっと続いていて、いわゆる臨海学校編、文化祭編や単発話構成のような時間の流れ方ではないからです。「続きが気になる」を読者へ与えるための最適解を、きちんと取り入れることが出来ている証拠だと思います。
大喜がインターハイ出場のために練習を頑張る→自宅や学校での日常的な描写や部活も恋もライバルかもしれない先輩の登場など→試合といった、何度も読み返しても始めから楽しめる流れになっており、私も5回以上は電子のジャンプで読みました。

・最後にひと推し

僕はもう学生という青春の時間を過ぎ去ってしまった人間です。今学生の人も学生の時間を終えた人にも、きっと何か響く出来る部分があると思うから読んで欲しいと思いました。主人公の大喜に共感出来る恋の心情、だからこそ応援したくなるリアルに近いフィクション性がとにかく面白い!今までの説明だけだとすごく地味に思うかもしれませんが、今どきの作品に覚えのなかった名作の風を確かに感じています。
特別感はあまりないはずなのに、ものすごく特別感のあるシーンに仕上がっているコマに感情が止まらなくなります、オススメです!

第1巻は2021年8月4日発売!

※画像は少年ジャンプ公式サイトから引用




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