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DX系SaaS企業のセールスに必要なスキルとそのキャリアパス

こんにちは、株式会社空の松村です!

私たちは大企業向けのダイナミックプライシング運用SaaS「MagicPrice」を提供しているスタートアップです。自分がCEO兼セールス(事業開発)として取り組むなかで、その面白さと可能性、求められるスキルが見えてきたので書いてみます。

最近注目を高めつつある、レガシー産業の大企業との変革プロジェクトを主体としたいわゆるDX系SaaSですが、まだまだ事例やプラクティスが足りていないなと感じています。セールスの切り口で自分なりの考えを書いてみますので、これを機に多くの人や企業が自身の可能性に気付いてくれたらと思っています。

DX系SaaSの定義と特徴

先にまとめると、ここで言うDX系SaaSとは「コンサルティングや個別開発といったProfessional Serviceも積極的に提供しながら顧客の課題解決に深く入り込むSaaS企業」のことを指しています。

もっと簡単に言えば、共通プロダクトを多くのユーザー企業が使うSaaSはその思想もビジネスモデルも美しいけれど、それだけでは解決しきれない顧客課題があるよね。そこを個別カスタマイズや、有償のコンサルティングも提供することによって解決していこう、という志向を持ったSaaS企業のことです。

※より細かい定義や分析は、ジェネシア・ベンチャーズの相良さんのnoteや、GLOBIS CAPITAL PARTNERSの野本さんのnoteに詳しいので興味を持った方は見てみてください。

その魅力はなんと言っても課題解決の大きさ✕深さの可能性だと思います

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図は上記の相良さんのnoteからの引用ですが、企業が活用するITサービス市場全体の大きさに対して、SaaS化されている領域はごく僅かです。まだまだ解決の余地は大きい企業向けシステムの大部分に踏み込んでいかないのはあまりにもったいないですよね。

私が知るところでは、現時点でこのようなサービス形態を積極的に進めているのは、ヤプリさん、LayerXさん、センシンロボティクスさん。海外勢だとDatarobotさんあたりでしょうか。

「MagicPrice」も以前は純SaaSだったところからピボットがあり、今はACVも死の谷を大きく越えた規模のプロジェクトに取り組むDX系SaaSに仲間入りしました。SaaSからDX系SaaSへ、SMBからEnterpriseへと事業の変化を経験したことでその共通点や違いが見えてきました。

DX系SaaSセールスに求められること

DX系SaaSのビジネスは、その誕生の背景やサービス特性上、コンサルティング、SIer、SaaSという3つの既存領域が重なり合うところに位置しています。

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コンサルティング企業の強みは、経営戦略のレイヤーから入り込めるところと、その個別性の高い課題をスクラッチで解決できる力です。

SIer企業の強みは、顧客の要望に合わせたカスタムメイドの力と、導入支援やアフターサポートも含めて役務提供できることで得られる長期の信頼です。

SaaS企業の強みは、共通プロダクトの提供によって実現するスケーラビリティと、人月ではなく価値ベースのビジネスモデルによって行える積極的なカスタマーサクセスです。

DX系SaaSのセールスとしては、3者それぞれの強みを重ね合わせたサービスを提供することを意識しつつ、以下のようなスキルが求められると思います。

スキル1:クライアントの経営層と「戦略」で合意できる力

DXの本来的な意味である事業のデジタル化、トランスフォーメーションに取り組んでいくと、必然的に対話相手はクライアントの経営に近いレイヤーへと高くなっていきます。深い課題解決であればあるほど、大きなコストやリスクを伴う意思決定が必要になり、少なくとも事業責任者と、場合によっては社長との対話が求められます。

このようなレイヤーの方々の場合、「ツール」から協業先を選ぶことはほとんどないので、まず「戦略」で合意を得られることが重要です。

・自分たちのツールのことを上手に話せるセールス

・クライアントの課題と戦略を上手に話せるセールス
へのシフトがDX系SaaS企業では求められるでしょう。

解決する課題が、原因→結果がはっきりしたシンプルなものから、様々な要因や部門が絡み合った複雑系のものに変わるということでもあります。長くなるので割愛しますが「システム思考」という考え方やアプローチを学ぶことも一つの助けになると思います。

スキル2:深い個別解決と標準化のベストバランスを見極める力

DX系SaaS企業は、クライアントの課題を特定できた際、それをどう解決するかというアプローチに常に2つの選択肢があります。ひとつは個別に最適化した開発やコンサルティングで解決する方法。もうひとつは共通プロダクトの仕様範囲内でできる機能で解決する方法です。

SIerの場合は多くの場合に前者を選び、SaaSの場合は後者を選ぶというのが一般的でしょう。DX系SaaSは、場合によって適切なミックスを選択する必要があります。そして、事業が成長するにつれてどこまでを共通プロダクトに乗せるかという判断も変わっていきます。

また、自分たちがどのようにソリューションを提供するかだけでなく、クライアントにどこまで組織やオペレーションの変革を求めるかという観点も重要です。クライアントの要望や状況に合わせるべきところと、プロダクトとして標準化した方法にクライアントに合わせていただくところのバランス感が必要になります。言われたまま作ってもダメだし、SaaSの美学ですべてを標準化で押し付けてもダメだよね、ということです。

深い戦略思考と、プロダクトとしての標準化/スケーラビリティ思考のハイブリッドが求められる。ここがDX系SaaS企業のセールスの肝であり、最大のやりがいでもあると思います。

DX系SaaSセールスのキャリアパス

なかなか複雑かつ、希少なハイブリッドスキルが求められるDX系SaaSのセールスですが、多くの人にその可能性は開けていると考えています。

ビジネス特性の話と同じように、コンサルティング、SIer、SaaSそれぞれの企業で活躍するセールスの方がすでに持ち合わせている素質を生かした上で、次のようなキャリアパスがあると思います。

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コンサルティングからDX系SaaSへ

活かす素質
・経営戦略のレイヤーから入り込めるところ
・個別性の高い課題をスクラッチで解決できる力

加える素質
・人の手を離れても長期の価値提供が行えるプロダクトドリブンな思考
・標準化させてスケーラビリティを実現するためのプラットフォーム的思考

実際に、MagicPriceでもPwCの戦略部門出身のメンバーが活躍してくれています。その本人も成長課題として感じているのがこのプロダクト的な思考力で、そこはTechチームとよく会話し協働を繰り返すことで急速に学べているようです。

SIerからDX系SaaSへ

活かす素質
・顧客の要望に合わせたカスタムメイドの力
・導入支援やアフターサポートも含めた長期のアカウントマネジメントや追加提案力

加える素質
・人月から価値ベースに思考を切り替え、積極的にカスタマーサクセスに踏み込むマインドセット
・標準化させてスケーラビリティを実現するためのプラットフォーム的思考

SIerで大手企業のアカウントマネジメントを担っていた経験は、DX系SaaSにおいて重宝されるはずです。特にエンタープライズ案件の数億円〜数十億円 ✕ 数年間という予算規模や伴走期間の経験はSaaS出身者にはないことが多く、それぞれの強みを活かしあったチームが組めるでしょう。

SaaSからDX系SaaSへ

活かす素質
・標準化させてスケーラビリティを実現するためのプラットフォーム的思考
・価値ベースのビジネスモデルによって行える積極的なカスタマーサクセス

加える素質
・経営戦略のレイヤーから入り込み、個別性の高い課題の解決策を構想する力
・導入支援やアフターサポートも含めた長期のアカウントマネジメントや追加提案力

自分自身がこの変化を経験したため、ここの面白さと難しさは痛感しています。より深く顧客の課題解決に踏み込めることはとてもやりがいがありますし、それによってより大きな社会の負にタッチできることへの責任と可能性を感じられます。

特にSMB向けや比較的シンプルなコスト削減系SaaSからの転向の場合は感じるギャップも大きいかもしれませんが、そのプロダクトへの還元力やロータッチも交えたスケール志向は十分にDX系SaaSに活かせるはずです。

私たちと一緒に深い企業課題解決に取り組みませんか?

私たちも、上のような素質・経験を持った皆さんでチームを組み、ダイナミックプライシング運用SaaS「MagicPrice」を手段とした課題解決をより広く企業に届けていきたいと考えています!

・スキル1:クライアントの経営層と「戦略」で合意できる力
・スキル2:深い個別解決と標準化のベストバランスを見極める力
に自信のある方、伸ばしたい方。

コンサルティング、SIer、SaaSそれぞれの企業で活躍するセールスの方。あるいは今回は触れませんでしたが「大企業内のイノベーターとしてDXを主導してきた方」も。

DX系SaaS企業でぜひその凄腕を活かしてください。

最後に、私たちの募集情報も貼っておきます。ご応募やご連絡、お待ちしております!

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※追記
本noteの解説Podcastを公開しました。収録してくれたコミュニティマネージャーのハルに感謝!


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