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特撮ヴィラン語り ~その15 超合成獣人 ゼルガノイド~

ヒーローの偽物が出てくるエピソードって色々なパターンがあるんですが、その中でも自分的にすごく印象的だったのがこのゼルガノイド。
「ウルトラマンダイナ」の終盤に登場したコイツを見た時は割と絶望感があったなあという記憶があります。

「あーつるの剛士さんがやってたヤツだよね」くらいは大体知ってる人が多いと思うんですが、ちゃんと「ウルトラマンダイナ」の物語をおさらいすると、科学が発展して火星や月といった宇宙開発が進み、人類も遂に宇宙で暮らせるようになったという未来の話。
そんな中で「スフィア」という宇宙生命体がそれをよく思わないのか色々な妨害を働くようになり、人類を守るためにどこからかやってきた光と一体化したスーパーGUTSの隊員:アスカ・シンがウルトラマンダイナとして戦うというのが大筋です。

メインの悪役として要所要所で登場するこのスフィアは、岩石や機械といった物体と合体することで様々な怪獣の姿をとりますが、最終決戦のストーリーはなんと巨大なスフィアが太陽系の様々な惑星を吸収しながら地球に迫るという、宇宙規模のピンチ。
そんな中で、ゴンドウという防衛軍幹部がなんと「ウルトラマンを地球防衛の兵器にする」という計画を立て、マジでウルトラマンを人工的に作っちゃいます。

「あっウルトラマンって作れるのまず?」ってのがそもそも衝撃ですよね分かる

その人工ウルトラマン:テラノイドを動かすべく、秘密裏にダイナの正体がアスカだと突き止めていたゴンドウはアスカを捕獲。彼に宿っていた光のエネルギーを吸収してテラノイドに与えます。

お前マジで防衛軍の人なの?
そこらの宇宙人よりよっぽど悪人だよ今のところ?

かくして起動するテラノイド。
迫り来るスフィアの大群相手にバンバン必殺光線を撃ちまくって迎撃するんですが、特撮ヲタからしたらめっちゃ不安しかないんですよ。
そんなに必殺光線撃っちゃっていいのかと。ウルトラマンにはカラータイマーというのがあってだね、基本的に燃費そんなによくないからね、数分しか持たないのにガンガンエネルギー使いすぎたら

ピコンピコンピコンピコン(タイマー点滅)

ほらー

あっという間にエネルギー切れを起こすテラノイド。
するとその隙を突いた大量のスフィアが一斉にテラノイドに襲いかかり、あろうことかテラノイドと融合したことでゼルガノイドとして最悪の敵になります。

人類防衛のために作られた兵器が、
人類の味方になるはずのウルトラマンが、
敵に乗っ取られて人類に牙を向くこの絶望感。

そんでまたゼルガノイドに変化した後のこの醜悪さね……顔やカラータイマーは残ってるけど、全身に何かの腫瘍がびっしり出来たようなアシンメトリーな体。
聞き慣れた「ジュワッ!」っていう感じの声もくぐもって獣みたいになってしまって。
数ある偽物ヒーローの怪獣怪人の中でもこんなに醜い姿に成り果てるのはなかなかないですよ。

そしてスフィアとの融合によってエネルギー切れを起こす欠点がなくなるというこの皮肉
やめてそんなに必殺光線撃ちまくらないで死ぬから本当死ぬから

「ダイナ」は最終3話に渡ってスフィアとの最後の戦いを描くんですが、ゼルガノイドはその序章に現れます。
このとんでもない敵の登場から太陽系の運命を左右するエピソードに突入していくんですから……まぁ熱い最終決戦でしたよ本当に。

えっ最後の敵じゃないのコイツ?

……うん。
だからヤバいのよスフィアって。

matthew

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