見出し画像

特撮ヴィラン語り ~その233 ノリシロン12~

シュール――それは誰しもが「そうはならんやろ」と思ってしまう展開を強引にでも押し通してしまう不条理。「そうはならんやろ」に対して「なっとるやろがい!」と強気で返す力技中の力技。
そんな力技を1年間ずーっとやってきた怪作として未だに語り継がれているのが、スーパー戦隊20作目として1996年に放映された「激走戦隊カーレンジャー」。宇宙中を制覇しようとするならず者集団ボーゾックの魔の手から地球を守るため、5人の会社員がカーレンジャーになって戦うという物語です。

なんせこのボーゾック、「芋長」という店の芋ようかんを食べて巨大化するんですから
違う店の芋ようかんだと逆に体縮むんですから
マジでそうはならんやろですよこれ

まあそんな感じで平時からシュールが当たり前の話なんですが、中でも問題だったのがこのノリシロン12。
ボーゾックが定期購読している情報誌「宇宙ランド」の付録でついて来たペーパークラフトの巨大ロボです

そんな物騒なもの雑誌で売ってんじゃねえよ宇宙

せっせと付録から組み立てが完了すると、地球征服兵器として早速ボーゾックは実戦に投入。ペーパークラフトを切って畳んで作ったとは思えない超高性能ぶりを発揮し、カーレンジャーの巨大ロボ相手にも圧倒的な展開を見せます。マジで発行元が頭おかしいよ
しかし、何と土壇場で右腕のピンをしっかりはめてなかったことが判明し突然腕がもげる羽目に。修復して再出撃すると、ボーゾックの仲間の攻撃が誤射して元の付録の台紙に戻るという憂き目にあい、最期は呆気ない敗北を迎えてしまいました。

やられた理由までシュールかい

しかしこのノリシロン、何とその後2度にわたってパワーアップ版が登場。
「最終」と名付けられた強化態は対カーレンジャーの最終兵器としてボーゾックの総長ガイナモたちが操縦して参戦。
さらにその後「カーレンジャーVSオーレンジャー」と銘打ったコラボ作品では、オートパイロットで動く「増刊」が出現し、2大戦隊を相手に大暴れを繰り広げました。

さて、そんなイカれた付録付き雑誌を発行していたバカはどこのどいつだという話ですよね。そうなりますよね当然。
その正体は、悪の星座伝説の力を持つ闇の支配者である暴走皇帝エグゾス。スピード違反も交通事故もやりたい放題の大宇宙を股にかけた無法地帯「大宇宙ハイウェイ」を作るため、その建造予定地である惑星を次々に滅ぼそうと企む宇宙の地上げ屋でした。

皇帝なのにやることがヤクザだよ

しかし自分が直接的に手を下すのは嫌なので、都合よく宇宙を荒らしまわっていたボーゾックを隠れ蓑にして利用しようと画策。
その結果、素性を隠して占い師のふりをして年賀状を送り「この惑星を滅ぼすといいことがあるよ」とボーゾックを騙して攻めさせたのでした。

付録雑誌といいやべえよこの皇帝手口が庶民的過ぎるよ
確かに発行元の頭も大概おかしかったよ

ボーゾックは基本的に頭が悪いバカの集まりだったんで簡単に騙され、その後直接エグゾスが顔を見せて直接的に支援を申し出て来ても、「俺たちボーゾックのファンの気前のいいオッサン」程度にしか認識しない始末。このノリシロンシリーズもそういうプレゼントだと思ってたそうです。
皇帝が賢かったのかボーゾックがおバカ過ぎたのかは何とも言えませんが、それにしてもペーパークラフトでお手軽に作れる地球侵略ロボって…ねぇ…

matthew

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?