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辛い思いをしている当事者に配慮を

大阪府吹田市で警察官が刺され拳銃を奪われた事件。逮捕された容疑者が精神障害者保健福祉手帳を所持していたことで、今回は「精神障害者」が世間の注目を集めている。

「今回は」と表現するのは、「前回」があるからである。
5月末におきた川崎の児童殺傷事件と、6月頭におきた元農林水産事務次官による長男刺殺事件では「ひきこもり」に世間の注目が集まった。

その際も、事件が起こる度に、犯人、容疑者、被害者といった当事者の特定の属性と事件とが、あまりに短絡的に結び付けられて報道されてしまうことの危険性についてnoteを書いた。

同容疑者が精神障害者保健福祉手帳を所持していたことで、今回は精神障害者や家族らが動揺している。

記事中にでてくるNPO法人「地域精神保健福祉機構・コンボ」によるメッセージ全文はこちら。

これから、また私たちが地域で生きづらくなったらどうしよう。今、外に出たら、何か言われるのかもしれない。精神科の病院やクリニックに行かなければならないけど、交通機関で何か言われたり、ジッと見られたりしないだろうか。仕事に行くのに、何か言われたりしないだろうか。などと、そんなことをつい考えてしまう程に私たちは、世の中が怖いと思ってしまいます。

精神障害をオープンにして働いている人たちも、職場では周囲の人に理解があったとしても、辛い、傷ついた、自分は大丈夫だろうか、と感じている人もいると思います。また職場によっては、上司だけが障害のことを知っていて、周りの人は知らないこともあり、その中で今回の事件のあと、肩身の狭い思いをしているのではないかと心配しています。

私たちはストレスで、傷ついてもそこから回復することがあるということを体験から、知っています。それには時間がかかることがあることも知っています。

色々な立場の人が世の中にはいるのはわかっています。でも、今辛い思いをしている私たちの思いは知ってほしいと考えています。
(同メッセージから一部抜粋)


このメッセージに関して、精神科医のさくら先生が専門家としての思いを発信している。さくら先生は、有益な情報や励ましを毎日発信している、ツイッタ―精神疾患界隈(笑)の希望の星!私を含め、さくらセンセイのツイートやブログで日々勇気づけられている精神疾患患者は多いと思う。

さくら先生のツイートに対して当事者からはこんな反応が。

報道に影響を受けたのか、元からなのか、もちろんこういう考え方の人もいる。


視聴率、PV数、売上等、メディアにはメディアの都合があるのはわかる。けれども、報道に携わる方々に知っておいてほしい。ひとつのニュースが及ぼす多大なる影響というものを。

「ひきこもり」や「精神障害者」は、当事者もその家族も、普段から世間の偏見にさらされ、近所の目におびえながら生きている(人が多い)。そうした社会的弱者を不必要に追い詰めることのないよう、報道には十分な配慮を払って欲しい。

何かをきっかけに、社会的強者がいとも簡単に社会的弱者に転じる。私達はそんな社会に生きている。だからこそ、社会的弱者の存在は、もはや他人ごとではなく「自分ごと」なのだ。

犯罪と特定の属性を過度に結び付けることのない抑制的な報道を。

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