無色透明  【詩】

琥珀の時間(トキ)
削られた硝子の杯に
満たされたその液体
私を取り戻す時間(トキ)

スマホやTVで流れる
 知らなければならない情報の鎧を脱ぎませう
馴染みの喫茶店で
 取り繕った優しい鎧を脱ぎませう
白山キャンパスで
 友と話した楽しい鎧を脱ぎませう
電話で父と話した
 わが子に寄せた期待の鎧を脱ぎませう

在る私

泣いています
怒っています
私に何も無い憂節が
私に何も無い激情が
次々とのしかかる
何度も何度も
その度に琥珀が硝子に満たされ
そして
終に疲れ果てる

そうして、
ただ、

素直に貴方



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