MatsuT

考え、想うことを 制限無く 書き綴っています。

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記事一覧

あの頃  【詩】

台風が過ぎ去って 夕方が 異常なほど朱い あれはいつだったか 今でも思い出す 夕暮れの夏の広場で 稚気とした愛しい目をした あの娘は今頃 風が冷やした砂を裸足で踏んで …

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2年前
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無色透明  【詩】

琥珀の時間(トキ) 削られた硝子の杯に 満たされたその液体 私を取り戻す時間(トキ) スマホやTVで流れる  知らなければならない情報の鎧を脱ぎませう 馴染みの喫茶店…

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2年前
3

たしかめる  【詩】

鏡をみて 確かめる 「あぁ いる」 友に電話して 確かめる 「あぁ 自分だ」 コーヒーを淹れて 確かめる 「あぁ 僕だ」 琥珀の液体を飲んで 確かめる 「あぁ 私だ」 …

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2年前
5

阿呆の覬覦  【詩】

明後日 奴と会う 近頃 熱に犯され 私をも犯す それども私の心は 冷えきった閉ざされた堅い扉は 隙間もない。 独りで居ることは 私を正直にするが 私を圧殺させもする。 …

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2年前
3

夕暮れの長椅子で  【詩】

太陽が少しずつ力を失い 夜が労わる様に昇ってくると 西の空は 素晴らしく 色がとけていく 恋人たちは おしゃべりを止めて とけていく色を 愛しげにみつめる 激戦を駆け…

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2年前
2

春  【詩】

桜は散る 音も無くこの麗らかに 新緑の蕾 ━━━ それは薫風 こんな時季こそ 君を連れ 夕暮れ間近の公園を歩きたい 今こそ私は 恋愛博士 他の誰よりもその時間 優しき想…

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2年前
3

雨の日  【詩】

静かな雨 この街が唯一 綺麗に見えてくる 風が呼べば 若葉は青青と応え 人々の声も 少し 密やかで在る 道急く車の轟音も 水音の行き来 傘のない私は 浴びて歩く 朝の雨の…

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2年前
3

雨に貴女  【詩】

灰一色に見えた空に 案外早い雲が過ぎてゆきます へんに明るいあの空から 落っこちてきた雨が 坂道を転がって波打ちます 人々は皆下向き歩く  だからなのでしょうか 春の…

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2年前
5

慈  【詩】

深い憂いが愛となり 強き怒りが悲しみとなる時 純白の白百合が 濁ったそらから落ちてくる 鋭い六角形は 次々と楔を打ちつけ 堅い壁は崩れ逝く 深閑に落つ白の 優しさ

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2年前
1

帰り道  【詩】

帰り道 雨が落ちてきた 近くの道は 水溜りをつくり 冷たい冷気は 静寂に憂いを加えた 時間の夜長を生き 眠りは 東陽に誘われる 開いた目は 霞んだ蒼穹を知る  何かに悲し…

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2年前
2

無題  【詩】

頭が痛い 風邪か? そうか、戒めか? 空が飛びたい 体を流れる血を 出して了おう 邪悪な紅い河 私の思い通りにはゆかない 真赤な血 空が飛びたい 私を考える脳を 出して…

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2年前
2

ある男、人間

「もう7時過ぎてるよっ、早く用意しなよぅ・・・ったく」 下の子は発達障害があり、ふとしたことで他に気を取られてしまう。今朝も着替えをしていたものの、兄がYoutubeの…

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2年前

雪 月 貴方 【詩】

君は聞いたのだろうか 天から来る美しい結晶 真白き静寂を 君は知っているのだろうか 暗闇に浮かぶ神宿る宮 銀の月華 私は遠くこの街 聞こえなければ   見ることもでき…

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2年前
1

乞巧奠 【詩】

アルタイルよ 君はどれ程の想いで 彼を待ったのか そのやさしさは その悲しみは ベガよ 貴方はどれ程の想いで 彼を待ったのか その愛の深きは その淋しさは 乞巧奠 二人…

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2年前
3

無題 【詩】

弛み無き歩みの友は 遠方にて進む 西日に暮れる青空は涼しく 彼方に靄が在る そしてそれは流れている 此の辺りに鳥の声 友は帰路をはしり 道沿いの店で談笑する いつもの…

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2年前
1

清流の乙女 【詩】

はらはらと流れゆく泉の冷水に浸し 君の白き手 萌え出でたばかりの若葉に縁取られ 海へと続くその路すがら 細く柔らかき乙女の祈りをのせてゆけ 悲しみも淋しさも 刹那の…

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2年前
1

あの頃  【詩】

台風が過ぎ去って
夕方が
異常なほど朱い
あれはいつだったか

今でも思い出す
夕暮れの夏の広場で
稚気とした愛しい目をした
あの娘は今頃
風が冷やした砂を裸足で踏んで
決して知られぬよう嬉しさを隠して
腰の高さの餅草を飛び越えてみせた
恥ずかしそうに目が合い
微笑んでくれた

恋もましてや愛も
知らない無垢に 純真に
好いていることに気付いた自身の想いは
今も私を密かに喜ばせる

引っ越してしま

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無色透明  【詩】

琥珀の時間(トキ)
削られた硝子の杯に
満たされたその液体
私を取り戻す時間(トキ)

スマホやTVで流れる
 知らなければならない情報の鎧を脱ぎませう
馴染みの喫茶店で
 取り繕った優しい鎧を脱ぎませう
白山キャンパスで
 友と話した楽しい鎧を脱ぎませう
電話で父と話した
 わが子に寄せた期待の鎧を脱ぎませう

在る私

泣いています
怒っています
私に何も無い憂節が
私に何も無い激情が
次々と

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たしかめる  【詩】

鏡をみて
確かめる
「あぁ いる」

友に電話して
確かめる
「あぁ 自分だ」

コーヒーを淹れて
確かめる
「あぁ 僕だ」

琥珀の液体を飲んで
確かめる
「あぁ 私だ」

そのまま飲み続け
「自分を」「僕を」「私を」
確かめていくと、
吹き荒ぶ風に削られるように
そうして
音も無く舞う霧粒に吸い取られるように
轟轟と
そうして
深深と
消えていく

残ったものは
純真で真白で眩しいほどの
小さ

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阿呆の覬覦  【詩】

明後日 奴と会う
近頃 熱に犯され
私をも犯す
それども私の心は
冷えきった閉ざされた堅い扉は
隙間もない。

独りで居ることは
私を正直にするが
私を圧殺させもする。
友人と居ることは
私を楽しくするが
私を窮屈にもする。

誰が私を心安くさせてくれるか?
彼方の女(ヒト)?
一時 私を忘れさせるが
その後 永く
私を愚かにする。

”思慮深く生きる”ことは
私にとって困難だ。
判断よりも誤った

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夕暮れの長椅子で  【詩】

太陽が少しずつ力を失い
夜が労わる様に昇ってくると
西の空は 素晴らしく
色がとけていく

恋人たちは
おしゃべりを止めて
とけていく色を
愛しげにみつめる

激戦を駆け抜けてきた者たちも
故郷を愛しみ
家族の情景は
西の赤色

全ての愛しみを
包んだその色が
とけていく

春  【詩】

桜は散る
音も無くこの麗らかに
新緑の蕾 ━━━ それは薫風

こんな時季こそ
君を連れ
夕暮れ間近の公園を歩きたい
今こそ私は
恋愛博士
他の誰よりもその時間
優しき想いを説こう

雨の日  【詩】

静かな雨
この街が唯一 綺麗に見えてくる
風が呼べば
若葉は青青と応え
人々の声も 少し
密やかで在る
道急く車の轟音も
水音の行き来
傘のない私は
浴びて歩く
朝の雨の日

雨に貴女  【詩】

灰一色に見えた空に
案外早い雲が過ぎてゆきます
へんに明るいあの空から
落っこちてきた雨が
坂道を転がって波打ちます
人々は皆下向き歩く
 だからなのでしょうか
春の夕刻の雨
 だからなのでしょうか
この街は驚くほど
水靄と静寂を纏っています

貴女のの2度目の声に
私は淋しかったのです
貴女の初めての涙に
私は嬉しかったのです
この街に雫が落ちている今
貴女は何を想っているのでしょう

その一滴

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慈  【詩】

慈  【詩】

深い憂いが愛となり
強き怒りが悲しみとなる時
純白の白百合が
濁ったそらから落ちてくる
鋭い六角形は
次々と楔を打ちつけ
堅い壁は崩れ逝く

深閑に落つ白の
優しさ

帰り道  【詩】

帰り道  【詩】

帰り道
雨が落ちてきた
近くの道は
水溜りをつくり
冷たい冷気は
静寂に憂いを加えた
時間の夜長を生き
眠りは
東陽に誘われる
開いた目は
霞んだ蒼穹を知る

 何かに悲しむより
 何故か悲しい方が
 優しい私の存在に
 気付くのだろうか

誰かの帰り道に
雨が落ちている

無題  【詩】

頭が痛い
風邪か?
そうか、戒めか?

空が飛びたい
体を流れる血を
出して了おう
邪悪な紅い河
私の思い通りにはゆかない
真赤な血

空が飛びたい
私を考える脳を
出して了おう
苦しみへの回路
私の思い通りにはゆかない
偉大な脳

血は常に欲を持ち
脳は全てを企てる
血を捨て
脳を投げ
真白な火の玉となり
昇天す

ああ血が重い
ああ脳が重い
成長すれば 地に囚われ
私を逝けば 空を飛ぶ

治ら

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ある男、人間

「もう7時過ぎてるよっ、早く用意しなよぅ・・・ったく」
下の子は発達障害があり、ふとしたことで他に気を取られてしまう。今朝も着替えをしていたものの、兄がYoutubeの話題をふったが故に、途中で手が止まり母から怒られてしまった。
「今、やってるじゃんっ!」右足で床を強く踏む。
母親はテーブル上の請求書を見て「どうしよう」と、私に聞こえるように呟く。

 私は東京の大学で教員免許を取得し、教員とな

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雪 月 貴方 【詩】

雪 月 貴方 【詩】

君は聞いたのだろうか
天から来る美しい結晶
真白き静寂を

君は知っているのだろうか
暗闇に浮かぶ神宿る宮
銀の月華

私は遠くこの街
聞こえなければ
  見ることもできない
それらも
愛おしい貴方の姿も

乞巧奠 【詩】

乞巧奠 【詩】

アルタイルよ
君はどれ程の想いで
彼を待ったのか
そのやさしさは
その悲しみは

ベガよ
貴方はどれ程の想いで
彼を待ったのか
その愛の深きは
その淋しさは

乞巧奠
二人の計り知れなく美しい
喜び溢れる再会は

生憎私はこの街に居て
君が渡った大河も
貴方が待ち合わせた星も
二人の足元照らす月華も
なにも見ること能わず

今こそ
より多くの祝歌を贈ろう
二人のために
そして彼の女(ヒト)のため

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無題 【詩】

無題 【詩】

弛み無き歩みの友は
遠方にて進む
西日に暮れる青空は涼しく
彼方に靄が在る
そしてそれは流れている
此の辺りに鳥の声

友は帰路をはしり
道沿いの店で談笑する
いつもの川に
ライズを、ハッチを見知り
揺れる紅陽を識る
山は青青と彩濃く
静寂の香風

夕食は笑みが溢れ
悠然の時間に
夜空は輝き始める
素早く湯を浴びて
一服、そして樽の香り
恍惚の時間を見る

君は在る
昼は木陰
夜は星の下
私は帰り

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清流の乙女 【詩】

清流の乙女 【詩】

はらはらと流れゆく泉の冷水に浸し
君の白き手

萌え出でたばかりの若葉に縁取られ
海へと続くその路すがら
細く柔らかき乙女の祈りをのせてゆけ

悲しみも淋しさも
刹那の留まるを許さず
流れていく水に
雪解ける喜びを満たせ

春に知る御空の光を吸い込んで
そこなる乙女を照らせ

我知る故に