脂質について

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脂質はどんな栄養素でどれぐらい摂れば良いのか

この記事では、三大栄養素である脂質について解説していきます。

脂質はどんな食品に含まれている?

脂質が含まれる食品

脂質は主に油脂、肉、魚、種実、豆類、卵などに含まれています。油やマヨネーズなどのわかりやすいものから、ナッツ類やお肉などにも脂質が含まれています。バラ肉などの脂身(お肉の白い部分)の多いお肉はたんぱく質を摂っているつもりで実はほとんど脂質だったという事もあります。

脂質の役割

  • エネルギー源(1gあたり9kcal)

  • 細胞膜などの材料

  • 脂溶性ビタミン(A.D.K.E)の吸収を助ける

  • 性ホルモン、副腎皮質ホルモンなどのステロイドホルモン、ビタミンDの前駆体

脂質は炭水化物やたんぱく質と共に身体を動かすエネルギー源になる栄養素です。他の栄養素に比べ、倍以上のエネルギーを持つため、摂り過ぎには注意したい栄養素ですが、エネルギー源になる以外にも様々な働きがある為、不足にも注意が必要です。

脂質は1日にどれくらい必要?


「日本人の食事摂取基準(2020)」では、1日の総エネルギーの20〜30%が脂質摂取量の目安とされています。※妊婦も同様

摂取カロリー毎の脂質摂取量の目安

1日総摂取が2,000kcalだと考えると、約400〜600kcal(約44〜67g)を脂質から摂る計算です。※小数点以下は切り上げ

これを一食当たりの食事で見るとこれぐらいの量になります。

一食あたりの目安

※画像変える?(卵、納豆、豆腐、油、肉などの脂質がわかるもの)

よしっ!これで脂質は問題ないぞ!

となる方はごく少数…

実際には細かい数値はあまり気にせず、はじめのうちは「脂質を摂る」という意識よりも「出来るだけ抑える」事を意識していきましょう!

多くの方は脂質を摂り過ぎているので、その方が結果的にバランスが良くなることが多いです。

脂質はどんな食品から摂るのがよい?

ある程度脂質をコントロール出来る様になったら、少しずつ何から脂質を摂っているかに意識を向けていきましょう。

基本的には加工肉や揚げ物、スナック菓子など人の手が加わった食品ではなく、出来るだけ自然な形を残した食品から摂るように意識していきましょう。

ソーセージやベーコンなどの加工肉、スナック菓子や洋菓子などの加工食品に含まれる脂質(飽和脂肪酸)は中性脂肪やコレステロール、循環器系疾患のリスクを高める為、摂取量に注意しましょう。自然な食品の中でも飽和脂肪酸を多く含む、牛脂や豚脂も同様に摂取量に注意が必要です。

白い部分(脂身)が多いお肉はたんぱく質よりも脂質が多い。

脂質についてより詳しく知りたい方向けに

ここからはより細かく脂質について解説していきます。ダイエットやボディメイクにおいては、ここまの内容を把握しておけば問題ないので、詳しく知りたい方のみ読み進めてください。

「油」「脂」「脂質」「脂肪」の違いについて


あぶらを表す言葉はいくつかありますが、それらの違いはわかりますか?
グリセロール分子に3個の脂肪酸が結合したものを「トリアシルグリセロール」もしくは「(中性)脂肪」と呼びます。この「トリアシルグリセロール」が常温で液体か固体かによって、「油」と「脂」に分類されます。

常温で液体であるキャノーラ油やごま油などは文字通り「油」と呼ばれ、常温で固体である牛脂や豚脂などは「脂」と呼ばれます。

「油」「脂」「脂肪」の違い

最後に脂質は栄養学で使われる用語であり、正式には「有機溶媒に溶ける物質」と定義され、トリアシルグリセロールやリン脂質、ステロールなども含まれます。

脂肪酸の種類

脂肪酸の分類

中性脂肪を構成する脂肪酸はその構造により、2種類に分類されます。

  1. 飽和脂肪酸

  2. 不飽和脂肪酸

脂肪酸は、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の3種類の原子で構成され、炭素と炭素の間に二重結合が全くない脂肪酸を「飽和脂肪酸」、二重結合がある脂肪酸を不飽和脂肪酸と言います。この構造の違いにより、体内での働きも異なります。

不飽和脂肪酸のうち炭素の二重結合が一つのものを「一価不飽和脂肪酸」、2つ以上あるものを「多価不飽和脂肪酸」といい、二重結合の位置によってさらに2種類に分類されます。

飽和脂肪酸


飽和脂肪酸は、体内で合成が可能であり、必須栄養素ではありません。

飽和脂肪酸の過剰摂取は、

  • 脂質異常症

  • 動脈硬化

  • 心筋梗塞

  • 高LDL血症

などのリスク要因となります。
その為、飽和脂肪酸は全体の7%以下にすると良いとされています。1日の総摂取が2,000kcalだと考えると、約140kcal(約15g)程度が目安となります。※妊婦も同様

飽和脂肪酸の目安量

不飽和脂肪酸

n-6系
n-6系脂肪酸には、リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸などがあり、γ-リノレン酸やアラキドン酸はリノール酸の代謝産物です。生体内では、リノール酸をアセチル CoAから合成することができないので、経口摂取する必要があります。(必須脂肪酸)


n-6系の目安量

効果

  • リノール酸の摂取が冠動脈疾患の予防

  • 飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置き換えた結果、冠動脈疾患や心筋梗塞発症率(死亡率)の低下

※過剰摂取はHDL-コレステロールが低下し、動脈硬化やアレルギー疾患を悪化させる。

n-3系
必須脂肪酸であり、α-リノレン酸、EPA、DPA、DHAに大別される。

n-3系の目安量

アラキドン酸やDHAは神経組織の重要な構成要素であり、DHAは神経シナプスや網膜の光受容体に多く存在します。妊婦の場合、胎児の器官生成の為、より多くのn-3系脂肪酸の摂取が必要とされています。

n-3系の効果

  • 循環器系疾患の予防に有効(特にEPA及びDHA)

※これはn-3系脂肪酸の摂取量を増やせば良いと言うことではなく、脂肪摂取量の内、飽和脂肪酸の摂取量を減らし、多価不飽和脂肪酸へ置き換えた事による効果だとも考えられています。

一価不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸には、ミリストオレイン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エルカ酸などがあります。一価不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸から生体内でも合成できるため目安量は定められていません。

一価不飽和脂肪酸はHDLコレステロールを下げず、総コレステロールを下げるとし、動脈硬化を予防する効果があると言われています。

トランス脂肪酸


トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸であり、一つ以上の不飽和結合がトランス型である脂肪酸です。

トランス脂肪酸は大きく2種類に大別されます。

  1. 工業由来のもの

  2. 反芻動物によるもの

このうち工業由来のものは、冠動脈疾患の危険因子となります。その為、できる限り摂取量を抑えることが推奨されています。(総エネルギー摂取量の1% 未満)

トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングなどに多く含まれています。

※反芻動物の胃で微生物により生成され、乳製品、肉の中に含まれる脂肪酸の中にもトランス脂肪酸が存在します。

食事性コレステロール


コレステロールは体内でも合成できるため、必須脂肪酸ではない。食事からコレステロールを多く摂取した場合は肝臓でのコレステロール合成は減少し、末梢への補給が一定に保たれるようにフィードバック機構が働く。

とはいえ、脂質異常症を有する場合やそのリスクがある場合は摂取量に注意が必要である。

脂質は美味しく食べ過ぎてしまう?

美味しいものは脂質が多いと言われる事もありますが、実は本当に人には脂質を美味しい、また食べたいと思わせる機能があります。

人は「甘味」、「酸味」、「塩見」、「苦味」、「旨味」を舌で感知していますが、最近これに加え味覚として脂質を感知する機能があると言われています。

脂質は舌リパーゼと呼ばれる酵素で、その一部が遊離脂肪酸に分解されます。その脂肪酸が味蕾細胞から細胞内に取り込まれるとそれが引き金となり、快感物質であるβエンドルフィンを分泌します。これにより生み出される心地よさが脂質の美味しさの正体であり、同時にドーパミンも分泌される為、また食べたいと思うようになっています。

最後に

これまで多くの方にお食事のアドバイスをさせて頂きましたが、脂質が過剰となっている方が多い印象を持っています。実際に厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」の通りに食事をしようとすると、嗜好品や外食は食べられるものがかなり限られる印象です。

現代においてこれらを一切食べないというのはかなり大変な事なので、それぞれの目的に応じてバランスを取ることが大切だなと感じています。時にはジャンクフードを食べても長い目で見てバランスを取れれば良いと個人的には考えています。それぞれの重視することによって正解は変わるのでないでしょうか。

参考文献
日本人の食事摂取基準(2020).厚生労働省.https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf.(参照2022年4月6日)
NEXTFIT Kento(2021年).『忖度なしの栄養学』.ベースボールマガジン社.中村丁次(2015).『栄養の基本がわかる図解辞典』.成美堂出版.
寺田新(2017).『スポーツ栄養学科学の基礎から「なぜ?」にこたえる』.東京大学出版会.


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パーソナルトレーナーの備忘録的note。 食事だけでなく、トレーニング的な事も載せていく予定です。