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短編小説12「バリアを張る男」

《バーリア!って遊び嫌だったよね》


青年は面倒ごとを極端に嫌っている。もちろん好きな人なんていないだろうが、大抵の人は仕方なく面倒でもやるものだ。

ただ、この釜奴(かまやつ)に至っては違った。彼は嫌だと思ったらバリアを張る。

心の中で『バリア』と唱えるのだ。

だからなんだというのだ。そう、唱えたからといって何も起こらない。

周りは、無反応の彼に対し諦めの姿勢を持ち、まるでバリアに跳ね返されたように離れていく。

しかしだ。そんな彼でも恋をした。

美人というには表現が過度になるが、決して悪い見た目はしていない。性格も優しくお淑やかで、およそこんな釜奴みたいな男とは不釣り合いな女性に。

「食事に行きませんか」

それは釜奴の人生で初めてのデートの誘いだった。

釜奴にとって、女性をデートに誘うなんてことは、考えることが多過ぎて面倒ごとの代表格なはずなのに。

頑張ったのだ。釜奴は、初めて『バリア』を唱えずに頑張ったのだ。

「バリア」

女性は、声に出して唱えた。
そしてバリアに跳ね返されるように面倒ごとから離れて行ったのだった。


おわり

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