見出し画像

「藁を手に旅に出よう」を読んで

読んでから少し時間が経ってしまったものの、「素晴らしい本だ」と感じたので、「何を素晴らしいと感じたか?」この本の魅力について書いてみようと思います。

この本が素晴らしいのは、主人公サカモトくんの成長物語と、
皆が知る12の童話からの学びを自分に引き寄せ、
「学び」として読者全員に還元してくれるところにあると思います。

しかも舞台は新人研修と3年目研修という、
ビジネスマンなら誰もが経験したことのあるシチュエーション。

テーマも「働くこと」という抽象度の高いテーマであるにも関わらず、
「あぁ、あるある!」と、とても共感を呼ぶ問いが設定されており、
読者は大いに自分事化して物語を読み進めることができる構成となっています。

これは、グロービスおよび学びデザインという会社で、「教育」を中心に据えてビジネスに取り組んできた荒木さんだからこそ思いついたシチュエーションなのだろう、と推察します。

①話が分かりやすく
②自分事化できて
③答えは自分自身で出さないといけない問いを残す

上記条件を備えているから、本書は自分の中にとても響く部分があったのだと思います。それは恐らく、本書を読んだ多くの読者も同じことを感じたのではないでしょうか。

魅力的なキャラクター

本書には、中心的なキャラクターが二人登場します。

主人公として描かれるサカモトくんと、
人事部長として教訓にあふれた言葉を投げかけてくれる石川さんです。

あとがきで著者が触れている通り、石川さんは今の荒木さんで、
サカモトくんは過去の荒木さんがモデルだそうです。

読者である我々は今の荒木さんしか知りません。
石川さんが触れる様々な書籍の情報や考えていることから、
Voicyで知っている荒木さんが容易に想像され「さもありなん」と感じます。

対してサカモトくんは、何者でもない、どこにでもいる若者として描かれます。ただ、荒木さん自身が若き日に感じたことをサカモトくんに語らせているからこそ、等身大の悩みがリアルに感じられ、それが読者である我々に深く共感を生む理由になっているのだと思います。

やはり、過去の経験に裏打ちされた率直な感想というのは、シンパシーを感じやすいものだと、サカモトくんのキャラクターから改めて実感しました。

新人の時に感じている「自分は何がやりたいのか?」という気持ちも、
3年目で少し仕事を覚えてきて、日々に不満を募らせながら「転職しようか」と考えている自分に「本当に転職が唯一の道なのか?」と問いかけられ、ハッとするシーンにも既視感を感じました。

そんな人いないよね?

シンパシーを感じるサカモトくんに対し、人事部長の石川さんというキャラクターは「そんな人が近くにいればなぁ」と誰もが憧れる、そして羨む理想の上司像だと思います。

確かに、こんな人が若き日の自分にアドバイスをくれていれば、
と悔やむ想いもありました。

ただ、本書を読んだ私たちは、もう石川さんの考え方を知りました。
サカモトくんの様な若手の悩みも知りました。
つまり、我々一人ひとりも石川さんになれるのだと思います。

悔やむ前に行動してみる。
自分の周囲をより良い世界に変える為に行動してみる。
そんなことも示唆してくれている様に感じました。

私も誰かの石川さんになれる様に、日々学習しながら、利他の精神で行動していこうと思います。

荒木さん、素敵な気づき、ありがとうございました。

読者モニター

本書は、facebookのコミュニティーを通して、希望者向けに読者モニターを募っていました。

著者が書き上げたばかりの原稿を読んで著者にフィードバックする、
という面白い試みです。

私もこれに参加させて頂き、完成前の原稿を読ませて頂いたのですが、
その時の正直な感想は「あんまり好きじゃないかも・・・」でした。

本の骨子は変わっていないものの、話し言葉が不自然だったり、サカモトくんの感情吐露が唐突過ぎて不自然だったり、本筋のストーリーを楽しめない自分がいました。

しかし製本されて来たものを読んでみて、大変驚きました。
上述したとおり、とても楽しく学び多く読ませて頂いたからです。

これも一重に、読者モニターと編集さん、そして何より著者である荒木さんの「この作品をより良くしたい」という想いが結実した結果として、素晴らしい作品に仕上がったのだと思います。

「表現」や「見た目」は本質ではない、という様な言説も聞きますが、
メッセージを伝える上では、それも重要なファクターなのだと改めて感じた次第です。

まとめ

後半、少し蛇足になってしまいましたが、キャリアに悩んでいたり、日々の仕事をより良くしたいと課題を抱える方には本当にオススメな本です。

ぜひお手にとって、自分自身で石川さんの言葉から学びを紡ぎとってください。

この読書の時間が、より学び多きものとなります様に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?