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大人にならないあの子を追い越して。


小さい頃に見ていた「ちびまる子ちゃん」。
ちびまる子ちゃんは小学校3年生の設定らしいけれど、
小学生の頃の私にとって、ちびまる子ちゃんはずいぶん大人で、
ちょっと憧れの存在だった。

結構鋭いことを言うし、ブラックユーモアの笑いもある。
見た目に反してクールな女の子だなぁなんて、中学生の頃の私は思った。

その頃くらいから「ちびまる子ちゃん」を見なくなり、私はあっという間におとなになった。

おとなになって、なんとなく1、2回くらいは見ただろうか。
ちびまる子ちゃんは、素直でかわいい女の子になっていた。
台所で料理を作るお母さんの横に立ち、おしゃべりしている。
ちびまる子ちゃんに、ちょっと憧れていた自分がすごく懐かしくなった。


私には、とても尊敬している元上司がいる。
結構鋭いことを言うし、ブラックユーモアの笑いが好き。
70代らしい優しいおじいちゃん的な見た目に反して、実はクールだ。
年齢も性別も違うけれど、ちょっと「ちびまる子ちゃん」と似ている。

その上司にかけてもらった言葉や研究姿勢から、ずいぶん多くのことを学ばせてもらった。退職後もアドバイスを請いに、会いに行ったことがある。
もしかしたら、尊敬というより崇拝って感じだったのかもしれない。

先日、元同僚の結婚式で数年ぶりにその上司に会った。
今は仕事を引退して、のんびりしているらしい。
上司は、素直でかわいいおじいちゃんになっていた。
日々の何気ないことを話し、ゆっくりと美味しそうにご飯を食べている。
ちょっと寂しくなって、あの頃の自分がすごく懐かしくなった。

変わったのは、彼らだろうか。それとも、私。
私も、元上司のおじいちゃんも、アニメの彼女でさえも、
ちょっとずつ変わっているのだろう。

憧れの背中を追いかけていたのに、いつの間にか違う所へ進んでいる。
きっともう、それがひとり立ちってことなのかもしれない。


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