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ワーケーションの先:「送り出し」のデザインができているか?

バリ島でのデジタルノマドを調査した『Digital Nomads』、日本でのワーケーション研究にも応用できそうな示唆が得られて面白いです。

この本ではデジタルノマドたちの次のような類型を提示しています。

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この類型は観光ビザの日数を基準にしたものです。国際移動が徐々に回復していけばデジタルノマドたちに興味持って日本でのワーケーションを見てもらうためにどう展開するかは次の焦点になりそうですね。

また日本国内ワーケーションでそれぞれ考えると

ハネムーン = モニターや興味でまず来てみる人
ビザ・ランナー = 繰り返し来る人
レジデント・ノマド = 移住に近く長期間滞在する人

となるでしょうか。

もちろん割合や人数ではハネムーンからレジデント・ノマドにかけて徐々に少なくなっていくのですが、ハネムーンが増えるような施策を集中的に、というよりもそれぞれ次の段階がイメージできるように、規模は小さくとも3つ同時にそれぞれモデルや逆にそれを一緒につくっていく「関わりしろ」が必要なのかなと思います。おそらくそれぞれの層で必要だったり、きっかけになるポイントは少しづつ違いそうですし。それがなければハネムーン層だけが増えて次につながらないものとなってしまいそうです。

また本での指摘でなるほどなぁと思ったのはレジデント・ノマドでもそこに移住するのではなくあくまで自分は「ノマド」だという意識が強いということです。日本のワーケーションの場合、地域側からすると移住・定住してもらうことを最終的な目標にしているところもあるかも知れません。もちろん、それが悪いわけではないとは思いますが、「え?そこまでのつもりじゃないけど...」と認識のズレが生じる可能性もありますよね。

そうなってくるとポイントは「送り出し」にあるのかなと思います。

つまり、レジデント・ノマドにはその地域に定住してもらうことを支援するのではなく、むしろ他の地域へのハネムーンになるような支援が必要で、それをそれぞれの地域で行うことでひとつの生態系ができる、という方が持続的なのではないでしょうか。ADDressやHafHさんは定額住み放題というよりもこうした「送り出し」をうまく循環させているサービス・プラットフォームとも言えるかも知れません。

これまで「来てもらうか」には予算などリソースを投入していますが、地域から都市へ、地域から地域へ、どのように「送り出すか」にはけっこう無頓着なところも多い気がします。実はそこを丁寧にデザインすることが必要なのかも知れません。それは地域の自治体だけではなくあるいは企業の転勤なども含めて考える余地のある領域だと思います。

みなさんのサービス、地域ではどのような「送り出し」をデザインしていますか?このあたりもお話したいですね。


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