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製造業のプラットフォームは何故難しく、面白い?キャディの挑戦

どうも、キャディで装置事業部の事業部長をしております、幸松と申します。

この度キャディでは、シリーズBラウンドで80.3億円の資金調達を実施しました。(背景やキャディの目指す将来は以下のnoteをご覧ください)

「キャディってすごく成長してそう」
「プラットフォームってキラキラしてるよね」
「とにかくスケールがでかい」

資金調達のニュースの裏で、ありがたくもこんなコメントをもらうことも増えました。ですが、キャディはまだまだ山の一合目にもたどり着いておらず、壮大な挑戦のさなかです。
このノートでは、製造業という業界で、どこも成し遂げていないようなプラットフォームを作ることの難しさ、面白さをお伝えできればと思います。

そもそもプラットフォームの価値ってなんだ

キャディが提供する付加価値は、主に下記の3つです。

matching value (適材適所の効果)
需要に対して、得意な加工会社を適切に結びつける効果。強みがブラックボックスであればあるほど、潜在価値が高い

aggregation value (集約の効果)
ボリュームによって、シナジーを効かせ効率化する効果。供給サイドが分散しているほど潜在価値が高い

technology value (テクノロジーの効果)
テクノロジーの活用によって、取引コストを下げる効果。オペレーションが複雑かつ、IT化が進んでいないほど価値が高い
(キャディのテクノロジーが気になる方はこちら!

特に製造業の少量多品種では、上記の付加価値が高いです。
・少量多品種は図面数が多く、会社によっては一人一日数百枚の図面を扱う
・調達の方は業務で忙しく、仕組み化やノウハウの言語化がし辛い
・町工場は何万社と存在し、かつ強みをうまくマーケできる会社は極まれ
・未だにFAXが使われているなど、調達領域は特にIT化が進んでいない

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故に、4年前キャディの挑戦は始まりました。

製造業プラットフォームの2つの壁

プラットフォームの壁として常に語られるのは、立ち上げ期にクリティカルマスに到達するまでの「鶏卵問題」の解消です。しかし、それをクリアすれば簡単にスケールする状態に手が届くかというとそうではないというのが、また難しさであり面白さです。製造業で直面する壁を2つ紹介します。

壁①:個社最適による横展開の難しさ
特に日本の製造業は、各社の生産性を高めるため、受注・加工・納品に至るまで個社最適化が進んでいます。一つの汎用的なプロセスで無数のデマンドに対応できるわけではありません。そのため無限にデマンドを広げるのでなく、比較的汎用的にアプローチできるニーズを見極めながら、個社に迫っていくことが求められます。

壁②:取引規模に応じた複雑さの増加
①の背景から、絞られたターゲットの取引量を垂直方向に伸ばす戦略が有効です。一方リアルな物を扱う製造業のビジネスでは、取引規模が大きくなると複雑性が跳ね上がります。
・大型取引だと顧客ニーズも多様化してくる
・取消、変更等のイレギュラーの頻度や、影響範囲が増える
・1個の不良、遅延の重みは物量が増えても変わらない。組立や出荷に大きな影響が出る

プラットフォームでの経済性の獲得は言うは易しで、計画と粘り強いアプローチが求められるのです。

強いプラットフォームにするために必要なこと

キャディが受発注事業で目指すのは、冒頭の3つの付加価値が創出されることで、顧客・パートナー企業・キャディの三方良しの構造が生まれ、成長する仕組みができている状態です。
キャディがプラットフォームとしての進化を遂げていくにあたり、必要なのは下記の3点と考えています。

a) プラットフォーム起点で考え続ける
b) 粘り強く仕組み化
c) Dataという資産のフル活用

a) プラットフォーム起点で考え続ける

猛スピードで成長するスタートアップにおいて、短期的な売上の大きさでなく、「その売上がプラットフォームを強くすることに寄与するか」という観点を忘れないことが、何より重要と思っています。
しかし言うは易しで、売上というわかりやすい指標に組織は容易く引っ張られます。その中で組織全体で目線を合わせながら、どのような山の登り方をしていくか、戦略立てていくことが極めて重要になります。

b) 粘り強く仕組み化

オペレーションの複雑さ、横展開のしにくさは、先ほど述べた通りです。新しいニーズが出るたびに、要件が変わる領域も一定あります。その中で、どこはマニュアルで、どこは仕組み化をするのか、テクノロジーと連携をしながら仕組み化を続ける必要があります。
詳しくは、下記noteも是非ご覧ください。

c) Dataという資産のフル活用

キャディはただ顧客とパートナーをマッチングしているだけでなく、特注品であってもあるべき価格を決める独自ロジックを持つのが強みです。この基準の価格があるからこそ、パートナーの強みの把握や、デマンドの取捨選択が効率的に行えます。キャディはこの基準価格を作ったり、それを元にどうプラットフォームを良くしていくか分析する専任チームも持っています。

また、最近はパートナー企業様と生産管理システムを繋ぐツールなども出来てきており、負荷状況の把握など、プラットフォームの付加価値を高めるためのデータが増えていきます。
データをどう蓄積し、どう活用するかの戦略が極めて重要なフェーズです。


おわりに

繰り返しになりますが、キャディはまだまだ山の一合目にもたどり着いておらず、壮大な挑戦のさなかです。

強いプラットフォームを作るためにとは言いましたが、そもそもの難易度がかなり高い挑戦の中、できていないことが山積みです。自分達の未来を信じつつ、まだ達成感を得るには早いという気持ちです。

プラットフォームの付加価値を高める、根幹となる役割を一緒に担ってくれる方、大募集です!

プラットフォームをテーマとした、よりリアルな話はオンラインミートアップでお話しできればと思いますのでぜひご参加ください!