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【就活】コンサルタントの「楽しさ」「面白さ」「気持ちよさ」【転職】

■ コンサルはヤバいことだらけ?

急に身も蓋もない話で恐縮だが、昼も夜もない激務、(時間単位に換算すれば)薄給、熾烈な出世争いなどなど、コンサル業界には軽からぬマイナスイメージが付きまとっているように思う(※)。

※Googleの検索ヒット件数でみると、
「コンサル and 激務」:188,000件
「コンサル and 薄給」:185,000件
「コンサル and 社内政治」:288,000件
と、なかなかの数である。

残念ながら、国内シンクタンクで数年、外資系のファームに1年余り在籍した私でも、↑の全てに心当たりがある

プロジェクトが炎上していれば予定していた休暇は当然のようにキャンセルになり(というか休暇先の海外でスライドを作る羽目になり※)、その辺も考慮に入れた時間単位のもらいは驚くほど少ない。

※参考記事。ウズベキスタンの夜行列車でスライドを作った話

経営層を見ればプロパー組と他社からの移籍組とが社内の縄張り争いを繰り広げ、本来案件に入るはずだった優秀なメンバーがアサインできずにあわや炎上というインシデントも記憶に新しい。

とはいえ、である。

四苦八苦しながらもコンサルとして働いていると、良いところもあるな、と感じなくもない。

そこで今回はコンサルタントの良いところを、
①楽しさ、
②面白さ、
③気持ちよさ、
という3つの類型で整理して、語ってみたい。
※あくまでも個人的な経験に基づくもので、世のコンサルすべてに当てはまるものではない点には注意されたい。

■ 楽しさ、面白さ、気持ちよさ、という尺度の定義

あくまで根拠のないアイデアだが、「快」の感情は「主観的/客観的」「一時的/持続的」の2軸でマッピングできると考える。いわゆるコンサル的な、「構造化」というやつ

その象限に応じて、①楽しさ、②面白さ、③気持ちよさの3つに整理できると考えている(面白さ、は一時的・持続的の両方に当てはまる概念)。

(コンサルの「快」の概念をプロット)

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言葉で補足するならば、

①楽しさ:主観的かつ持続的。ある経験を継続させたいと思うこと
②面白さ:客観的な概念であり、ある経験によって多くの人の心が動くと思われること(他者の視点を入れ込んだ見方)
③気持ちよさ:主観的かつ一時的な概念であり、一瞬の強烈な快感

といったところか。あくまでも概念的な分類なので、常に峻別できるわけではないけれども。

■ ①コンサルの「楽しさ」

コンサルの楽しさ、それはクライアントが変わっていく過程に立ち会えることに尽きると思う。

ある通信会社の営業チームを支援したときのことだ。

彼らは旧態依然としたいかにも昭和の営業スタイルをいまだに続けていて、
「自社の優れた製品」をいかにトークで売り込むかということを考えていた。

相手の役員から、提案型営業(orコンサル営業)のスタイルを浸透させてくれと要望を受けて臨んだプロジェクトだったが、顧客のニーズを汲み、ソリューションについて仮説を立てて提案していく営業スタイルを腹落ちさせるのに相当の労力を要した。

というか、仮説思考という観念がそもそもなく、「なぜその考え方をしないといけないのか」「今の営業スタイルの何が不適切なのか」
とかなり抵抗を受けた。

それでもシンプルな原則論を毎回しつこく示しつつ、こちらがその原則をしっかり踏まえた資料を作って体現していくことで、徐々にクライアントの言動が変わっていくのが目に見えてわかった。

象徴的だったのがプロジェクト開始から1ヵ月ほど経った定例のミーティングでのことだ。

検討の俎上に上がっていた商品についての議論で、いつもなら商品の細かいスペックの話に落ちがちだったところを、「この商品を入れると何がいいんだっけ?」とクライアント他部門の出席メンバーが営業チームに問いかけたのだ。

商品による提供価値を考えろ、とは我々がずっと言い続けていたことだったので、その瞬間はよく覚えている。お互いの思考のレベル感が合致したことで、以降はより深い対話ができるようになり、営業スタイルの大幅な変革につながった。

週1回、場合によっては常駐で毎日、そんな頻度で顔を合わせるうちに、自分の働きかけで相手に変化をもたらしうるのがコンサルのもっとも楽しいところだ。

転職活動でコンサルティングファームを受けていた時、面接で会った多くのコンサルタントが、顧客の変革の支援が自分の最大の価値だと言っていたが、それは真だと思う。

そしてそのためなら、深夜早朝でも働けるように思える、一番の原動力だ。
(逆に、結果が出ないと存在価値のが問われるので、大変な部分でもあるが…)

■ ②コンサルの「面白さ」

もっとも伝えるべきは、一緒に働く人たちの面白さに尽きるだろう。

キャリアも国籍も多様な人たちが集い、喧々諤々な議論を交わして共に価値を作っていくことは、まさしくコンサルの醍醐味である。




…とは別に思わない。そういうのが味わいたかったら海外留学でもすればいいんじゃないか。

ただ、やはり個性的な人々は大勢いる。おそらく「まともな」日本の会社に勤めていればなかなか出会うことのない、強烈なキャラクターを持った人たちも多い。

そういう意味ではコンサルティングファームはなかなか飽きない職場といえるし、変わった人が好きなら、向いている仕事なんじゃないか。

あくまで風の噂であるが、こんな上司がいたという。

講演会に出るのに直前までネクタイを締めるのを嫌がり、すったもんだの末に部下に命じてデパートに買いに行かせ、あまつさえ部下に立て替えさせたとか。

また、週末部下を自宅近くまで呼びつけて自分の仕事をさせておきながら、自分は日課のジム通いに出かけたとか。




絶対(ぜってえ)に許さねえからな。

こういう光景も、対岸の火事として傍から眺める分にはとても面白いので、性格の悪い人はぜひコンサルになるといい

■ ③コンサルの「気持ちよさ」

考えて準備した策がハマった時、これが一番気持ちいい。

コンサルのすそ野が広がり、営業でも何でもコンサル化してきた昨今とはいえ、この仕事の本義的な価値はどうしても目に見えない知的労働にある。だから考え抜くこと、その結果として相手の行動を促すことに、凄まじく価値が置かれるわけだ。

以前こんなことがあった。

クライアントとのミーティングの準備をしていた時のことである。上司とあらかじめ決めたミーティング資料は1日前に作り終わり、当日の議題や流れも確認済み。どうでもいいけど、議題のことをアジェンダ、っていうとカッコいいよね。

やることないから帰ってもよかったのだが、これまでのクライアントとのやり取りからするに、彼らは自分たちの業界の事例を知りたがるのではないか、とふと思いついた。

そこで一晩かけて、クライアントの属する業界の主要なプレイヤーについて調べ上げ、先進事例を補足資料として表にまとめた。

そして翌日、ミーティング資料を説明しているとクライアントが、「競合他社の事例を知りたいのだけど…」と言い出したのだ。

池井戸潤の企業小説ばりに「そんなこともあろうかと」な瞬間である。その時Excelワークシートを颯爽と開いたときの快感と、クライアントの驚いた顔が想像できるだろうか。

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やっぱり、コンサルは楽な仕事ではない。

平日疲労困憊して、土日をMリーグの役満ダイジェスト動画で潰すこともある。

時には上司を吹き矢で射ってやろうかと思うこともある。

けれども、なんだかんだ元気にやれている気がするのは、そんなコンサルのいいところを曲りなりにも味わってしまったからだろう。

私はあまり長くコンサルを続けるつもりはないのだけど、もしコンサルを辞めて別の仕事をすることになったときに、どんな経験ができているかと、ふと考える。

ついでに上司が仕事を片付けないせいで取引先からガチなトーンで怒られそうなのをどう切り抜けようかとも、考える。

ここまでお読みくださりありがとうございました!


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