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個別と集団どっちの塾に通わせるのがいいのかを4つの視点で考えてみた

「子供を塾に通わせたいけど、どうやって選んだらいいんだろう?」

と、お悩みの方へ。個別と集団の両方の経験を持つぼくから、塾選びのヒントになりそうなポイントをお伝えできればと思います。

ぼく自身は生徒として集団塾を、講師として個別塾を経験しています。東進の映像授業を1年ほど受けたこともありました。生徒側・講師側の両方の視点をわかっているつもりです。

今回比較検討するのは「料金」、「定期テスト対策」、「学力」、「環境」の4つの視点です。さっそく見ていきましょう。

家庭教師に関する経験は無いため、本記事はあくまで塾の形態における比較となります。

料金がお得なのはどっち?

まず気になるのは料金ですよね。よく言われるのは、「集団は安くて個別は高い」という話。実際、支払う月謝は集団のほうが安い傾向があります

なぜなら、先生ひとりが一度に20人を教えるのと、1~2人を教えるのでは、前者の方が「1人の子供が1人の先生を利用する料金」が安くなるからです。塾にもよりますが、1教科あたり2倍くらい料金の違いが出てきます。

では料金面では無条件に集団塾に軍配が上がるのかというと、そうでもありません。

集団塾では授業中にひとりの生徒が講師に質問したり個別のアドバイスをもらう時間がほぼゼロです。授業が終わってから質問しようとしても、先生がすぐに次の授業をしなくちゃいけないのでなかなか聞くチャンスがないなんてことも多いです。集団塾で先生に質問をしたい場合は、その塾の最初の授業が始まる前か、すべての授業が終わったあとに先生を捕まえましょう。

一方で、極端な話ですが、個別塾では授業時間の大部分を質問に使うことも可能なのです。つまり、「講師を使い倒す時間」を考慮した料金だと思えばお得な場合もあります。ぼく自身もよく生徒に質問攻めにあったりしましたし、自発的に議論したいお子さんには個別指導がとても有意義だと思います。

1対1の個別指導なんて80~90分間講師を使い放題ですよ?恐ろしくお得に思えてきます。

定期テストに強いのはどっち?

主に中学校向けのテーマになりますが、学校の定期テストに強いのは集団塾と個別塾のどちらなのかを考えていきましょう。

結論からいいますと、どちらもさほど変わらないです。

学習塾は通常、近隣中学校の定期テストの過去問をストックしてあります。定期テストが近づいてくると対策授業がありますが、どちらのタイプの塾でも学校ごとに過去のテストを参考にして対策をしてくれます。

定期テストへの強さに関して挙げるならば、集団vs個別という軸でみることにあまり意味はないでしょう。ここでは、「生徒数」と「開校してからの年数」で見ることをオススメします。塾の生徒数が多く、開校してからの年数が長いほど複数の中学の過去問のストックが多いことになります。つまり、対策のための情報が多くなり、講師側も中学ごとの定期テストの傾向を肌感覚でつかんでいる可能性が高まります。その結果として、より精度の高い指導を受けやすくなります。

また、開校からの年数を考慮するのは、長年経営できている塾のほうが「いい塾」であり続けている可能性が高いからです。もし評判が悪い塾だったら淘汰されていきますから。

入塾前の学力レベルの違いは?

「うちの子、勉強できないから集団塾についていけるか心配で…。」

ぼくが個別指導の講師をやっていてよく聞く親御さんの悩みです。

結論、どちらの塾でもこの心配はいりません!

というのも、個別塾ならお子さん一人ひとりに合わせて授業を進められることはもちろんですが、集団塾でもたいていは複数のクラスに分かれていて、生徒のレベルに適した指導が受けられます。

ただ、集団塾の難しさとして、授業全体の内容や進度を大きく変えることができない点が挙げられます。

例えば、ケーキを作る場合を考えてみましょう。ケーキを作るどころか、卵を割ることさえ難しいお子さんがいるとします。

個別塾なら「じゃあ今日はケーキ作るのはやめて、卵を割る練習をしながらたまご焼き作っちゃおうか!」と柔軟に対応できます。

一方で集団塾の場合、卵を割ることが難しい子供たちのクラスでも、「(上のクラスはもうケーキ作ってるし、来月までにはデコレーションまで進まなきゃだから、)卵はとりあえずきれいに割れなくていいから焼くところだけやりましょう」となります。

また、ぼくのこれまでの経験から考えると、集団塾は60点とれる子を80点とれるようにするのが得意で、個別塾は40点とれる子を60点とれるようにするのが得意です。それぞれの点数帯で必要となる対策が変わってくるので、それぞれの塾の性質もあいまってこういった傾向が出てくるように感じます。

とはいえ、学力レベルの対応への柔軟さについては個別塾が一歩優れているといえます。一人ひとりに合わせて進めてくれますからね。

ぼくも中3の子に小数や分数を何度も教えたことがありました。個別塾ではこうした対応が日常です。

塾の環境はどんな感じ?

実際に通ってみないとわからない教室の空気感ですが、中高生が通う塾については集団・個別関係なく良くも悪くもその教室のカラーが出ます。こればかりは実際にその場に行って確かめてみるしかないです。

塾の空気を確かめるためには、塾へ相談に行く際に生徒がたくさんいる時間帯に行くことをオススメします!具体的には19~20時くらいです。実際の授業の様子や、講師と生徒のコミュニケーションを見ることで、講師の質やほかの生徒が楽しそうに通塾で来ているかを確認することができます。

ぼくが講師をしていた教室も、教室長が変更になったときにはその都度”教室の空気”がガラリと変わりました。常駐の社員さんが教室に与える影響はかなり大きいです。

実体験ですが、悪い空気の教室にしてしまうと生徒数がドンドン減っていきます笑

集団塾の環境

集団塾の大きな特徴として、競争を意識しやすい環境だということが挙げられます。

同じようなレベルの人たちが同じ教室で切磋琢磨しあう環境は、「テストでいい点をとる」とか「入試のために努力する」といった目標に関してはとても刺激的でいい環境です。イヤでも周りの人のテストの点数を意識するようになり、同じ「勉強」という土俵の上では良い仕組みだと感じました。

ぼくも中学生のときは集団塾に通っていましたが、そういった環境のおかげで自然と努力できました。周りの人に置いてきぼりにされる恐怖がついて回ったことが功を奏したみたいです。笑 みんなピリピリしている感じではなく、授業以外ではわりと仲良しでした。まさに切磋琢磨!

ぼく自身は、自分が通うなら完全に集団塾派です。笑

個別塾の環境

私が講師生活を続けているのが個別指導塾ですが、この個別塾はいわゆる「アットホーム」な環境だといえます。一般に、個別塾はアルバイトが講師をやります。社員さんは教室運営をするのが基本となっています(もちろん授業をするスキルはあります)。

気になるのは、「アルバイトの講師で大丈夫なの?」という点ですが、正直ピンキリです。個別塾の授業の質はどうしても講師自身の個の力に依存します。講師がバイトを始めるにあたって受ける研修で学ぶのは、塾で働く際のモラル・授業の進め方のモデルケース・生徒とのコミュニケーションのコツがメインです。

教室内で講師同士の模擬授業をして練習をしますが、実践経験には及びもつきません。ある程度の経験があり、普段から意欲的に授業をしている講師を選べると最高です。不安をあおる書き方をしてしまいましたが、アルバイトの講師でも基本的に任せて大丈夫だと思います。

もし講師が子供に合わなかったら講師の変更を教室長に相談すれば万事OKです。

塾講師をしようとしている人って、将来教員になることを志望していたり子供が好きだったりするので、お子さんのために努力してくれるはずです。自前で教材や小テストを作ったり、様々な工夫をこらしてくれる講師がたくさんいます。

参考までに今までぼくが出会った中で最悪の講師の例を書いておきます。笑

塾講師になる前は家具屋さんでバイトをしていて、重いものを運ぶ仕事の中で腰を悪くしてしまったことが志望理由。塾講師は座って仕事ができますからね(控えめに言ってありえない…)。
そして働き始めてしばらくしたら、なんの連絡もなしに授業をすっぽかすことがしばしば。生徒が塾に来ているのに講師が来ない状態。ありえないです。ぼくを含め周りの講師陣で急遽その子の授業を代行することが常態化していました。
彼はふわっと辞めていきましたが、当時の教室長がなぜ彼を雇ったのか不思議でなりませんでした。仕事ができない、とかではなく子供がかわいそう!!それに尽きます。

講師の授業の実力もひとつの要素ではありますが、お子さんの視点に立つと、担当講師との相性がすべてといっても過言ではありません。淡々と授業を進める講師が合うお子さんもいれば、雑談多めで進めてほしいタイプのお子さんもいます。

ほとんど一対一に近い状況でコミュニケーションをとりながら毎回の授業を進めていくことになるので、性格的に合わない場合はどうしても塾に通うことがイヤになってきます。どんな講師が担当になるかは、お子さんの性格や希望をヒアリングしながら教室長が相性を考えて決定します。もちろん、ご家庭側からの要望があればいつでも担当講師を変えることができますのでご安心を。

塾へ通ってみて、相性のいい講師とうまくハマってお子さんが「塾に行くのが楽しい!」状態になったら、勝ちです。元々勉強ギライなお子さんでも、「勉強関係なしに塾に行くのが楽しい状態」になれば、塾に通うことが続くので勉強の習慣がついてきます。

講師と生徒との距離感が近い個別塾ならではの強みですね。

 まとめ

集団と個別は一長一短です。「絶対的にこちらが良い!」というよりは子供との相性を考えて選んでみるのがいいのではないでしょうか。

最後に、記事をザッとまとめると次のようになります。

①料金がお得なのはどっち?
・集団の方が安いが、個別はひとりの子供に先生が多くの時間を使える
②定期テストに強いのはどっち?
・どちらも変わらない
・「生徒数」と「開校からの年数」で考えよう
③入塾前の学力レベルの違いは?
・集団:60→80点
・個別:40→60点
にするのが得意
④塾の環境は?
・社員さんの影響で教室のカラーが決まることも多い
・集団:良くも悪くも競争社会
・個別:アットホーム


塾以外にも選択肢があり、家庭教師や通信教材のほうが適しているかもしれません。

今回の記事では、お子さんを塾に通わせたいと考えた際に、集団と個別両方の特徴を挙げながらどのように検討したらよいかをまとめました。一番いいのは、様々な違いを踏まえたうえで、実際に塾の空気をお子さんといっしょに体感してみることではないかと思います。

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