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ニュース記事:「太陽というより月」の輝き、彩凪翔 1 Day Special LIVE 「Sho-W!」開演!

彩凪翔はやっぱりショースターだった!

 入団15年目(研究科15年)、宝塚歌劇団雪組の男役スター、彩凪翔(あやなぎ・しょう)主演の1 Day Special LIVE 『Sho-W!』が10月20日に開催される。同時期に予定されていた宝塚ホテル、第一ホテル東京でのディナーショーが、感染拡大防止のため無観客での配信ライブ形式に変更。9月7日に同じ雪組のトップ娘役・真彩希帆(まあや・きほ)がミュージックサロンを行ったのに続き、ディナーショーが無観客配信ライブとなるのは今回が宝塚歌劇団初の試み。

 公演タイトル『Sho-W!』は「ショウ」と読む。彩凪の芸名に掛けると同時に、公演ポスターからも想起される二面性を「W」で表現。セットリストは、彩凪がこれまでの公演で歌ってきた曲からファン時代に想い入れがあった曲、挑戦してみたかった曲をミュージカル、ジャズ、J-POPと幅広いジャンルから選曲。時代背景を踏まえて観客の心にスッと入ることを意識したといい、「よく歌詞を聞いて感じてもらいたい」と力を込める。昼公演(13:45開演)と夜公演(19:45開演)で別の曲を歌うシーンや、彩凪が作詞した曲が披露される場面もある。

 共演する下級生は、研究科9年の綾凰華(あや・おうか)、同7年のゆめ真音(ゆめ・まおと)、同6年の琴羽りり(ことはね・りり)、同2年の音彩唯(ねいろ・ゆい)。「頼もしい下級生」(彩凪)の4名は歌唱に定評のある顔ぶれではあるが、それぞれ彩凪の卓越した男役芸に学びを深めたり、大人っぽい娘役の在り方に挑戦したりと奮闘している。彩凪からは、今回のライブ用のアクセサリーのプレゼントや、本番リハーサル前に手紙が送られるといったサプライズがあったそうで、下級生は更に意気込みを増した様子。

 舞台セットは、仮面をイメージしたセットで中央に月のモチーフを配してあり、公演中に少しずつ変化していく。演出の中村一徳が抱く「太陽というより月」という彩凪のイメージが反映されているという。
 確かに、彩凪はショースターと称され、芝居においても『ファントム』でシャンドン伯爵を好演するなど、キラキラした宝塚らしいスターである一方、極めて控えめな人だ。スター路線を歩んできたにもかかわらず主演作品は実に7年ぶり。組内の男役スターで3番目、4番目格になった2015年頃から、別箱(注:大劇場で行われる本公演以外の公演の意)では常にトップスターと同じチームに振り分けられ、2番手相当の役で芝居・ショーとも作品創りを支えてきた。

 しかし今回、ショースターの面目躍如、堂々の主演である。
 開演直後、スーツスタイルのハット使いで魅せると一気に観客を引き込んだ。ダンスや男役の所作は、生観劇ではなくカメラワークで捉えても美しい。また、以前は苦手な印象であった英語も含め明快な歌唱で、狙い通りにそれぞれの曲の歌詞をきっちりと表現。ライブ配信の最大の利点はカメラ目線が増えることだが、目線使いが劇団でも随一の彩凪らしく、色香のある表情や巧みなカメラ目線、ウインクで観客を魅惑しつつ、時に真っすぐな視線でカメラを捉え、画面の向こうまで歌詞に乗せた想いを届けてみせた。

 合間のMCは、メンバーの発言を上手く引き出しながらも関西人らしく盛り上げ、先日の雪組トップスター・望海風斗のライブ公演『NOW! ZOOM ME!!』で話題となった、観客に向けた胸キュン台詞「愛してんで」も下級生からのラブコールできっちり披露。歌詞を自作した曲『明るい未来へ』は、応援してくれる人への感謝と困難な状況でも前を向こうという想いを込め、「素直な気持ちで直球のメッセージ」を綴った。音楽的パフォーマンス以外の部分でも、彩凪らしさが垣間見えたのが印象的だった。

 舞台の中心に相応しい存在感があり、十分な実力と魅力を有していながらも控え目で、自然と”周りを活かしながら輝く”ことができるスター。それが彩凪翔なのではないだろうか。
 なるほど、「太陽というより月」の人である。

キャプチャ

(宝塚歌劇団公式YouTube掲載の動画 彩凪翔1 Day Special LIVE 『Sho-W!』スペシャルメッセージ よりキャプション撮影)


 ※この記事は、同公演昼の部(13:45開演)を視聴の上で執筆しました。昼の部のMCや、CS専門チャンネルの番組の放送などを参照しています。

(ライター・まつざわ)