わかってないと損する正しいKPIのトリセツ、そしてNPS
おはようございます。ドドルあおけんです。
昨日の投稿の後、早速JPSから↓の写真が送られてきてニヤリとしました。#イチロー、意味を買う
さて、経営戦略・事業開発の火曜日。今日は昨日のうさぎさんから随分かたくなりますがKPIについてリクルートで数々の新規事業開発を手掛けた中尾隆一郎氏の「最高の結果を出すKPIマネージメント」からそのエッセンスをご紹介したいと思います。
わかってそうでわかっていなかったKPI
KPIって数値目標ぐらいの感覚で軽く考えていたのですが、この言葉のとらえ方は、リクルートの中ではかなり重たい、大事なもののようです。
JPSも、尾原さんもそうですが、結果を出すためにとことん実践的なリクルートの方々を知るにつけ、このリクルートで新規事業を見続けてきた中尾氏の本に興味をそそられ、という流れです。
簡単に意味的なところからおさらいするとKPIは、Key Performance Indicator(キー・パフォーマンス・インディケーター)の略語です。キーを文字通り鍵ととらえるならば、事業を成功に導くための扉を開ける鍵となる指標です。
鍵、というくらいなので、家の鍵が何個もあったら困ってしまうように、KPIについても、絞り込む、1個に決めるということが大事ということです。
だから、経営企画なんかがやっているたくさんの数字を分析して、事業のコンディションを掴むっていうこととは本質的に別だということです。この辺が自分は曖昧な理解でした。
また、営業利益目標10億円、とか、そういうものもKPIとは呼びません。KPIは行動に紐づくもので、行動の指標であるKPIが達成された時に、その結果として達成されるのがゴールである売上や利益で、ここも混同したらいけないです。
だめだめKPIの例
たとえば、あなたが建て替え住宅を売る営業マンだったとしましょう。営業部長がどっかで聞きかじったKPIを我が営業部でも導入するってなった時にこう言い出します。
飛び込み訪問数をKPIに設定する、1日30軒だ!それからそのうち5軒は話をし、最低1軒は玄関をまたぎ、家の中で30分以上話すんだ!
ヒラメ筋営業です。
確かにたくさんの潜在顧客にアプローチすることは大事なのですが、営業人員が限られる中であと1.5倍がんばって働いてはなかなか現実的ではありません。さらに行った後の行動それぞれに目標設定をすると追っかけないといけない数字が増え、それを報告するのも、管理するのも大変になってしまいます。
結果、きちんと報告されない、うそをつかれる、意味がないと陰口を言われる、など目標達成のために導入したにも関わらず、余計なリソースを食った上に、社員がどんどんネガティブになっていくという悪循環が生まれる。これがだめだめ(だけどまあまあよくある)KPIです。
きちんとしたKPI
ちゃんとしたKPIは、一個です。成功の扉を開ける鍵は一個でいいんです。中尾氏は、これを信号に例えています。KPIは行動”パフォーマンス”に紐づくもので、その運動量や活動量を可視化して、今の事業コンディションが目標達成が可能な”青”の状態で運行されているのか、目標達成が怪しくなってきた”黄色”なのか、このままだと無理ゲーになる”赤色”なのか、それがわかる指標でないと意味がないし、それはみんなが集中できる、という意味でひとつでなければいけない、ということなのです。
先の住宅営業の例でいうと、これまでの受注の傾向を分析するとその住宅メーカーの工場を案内する工場見学に家族揃って連れて行くことができた顧客の成約率がいかないグループよりも圧倒的に高いというデータが得られていたとしたら、この場合、何組を工場見学に連れていけるか、がKPIになります。
仮に目標が年間売上10億円、工場見学後の平均成約率が25%、平均の受注単価が2000万円だったとすると、10億円の売上を上げるためには、10億円➗2000万円➗12➗25%で、1ヶ月に17組工場見学にコンスタントに連れていければ、10億円が達成できることになるので、今いる営業リソースでどうやって毎月17組を工場見学に連れ出すかを知恵を絞って考えるということになります。
どうやって効率よくそのお客を見つけるか、工場見学に行ってもらうためにどんな提案をするか、ということに対してさらにブレイクダウンされた目標設定がされることもあると思いますが、KPI、ということでいうとあくまでも、工場に連れて行った組数という行動に紐づく指標になるということです。
KPIを作り、運用するための10のステップ
序盤だと思ったらもう2000字近くなっているので、NPSの話までたどり着くため、中田のあっちゃんばりにここからはエクストリームにまとめてみたいと思います。豊富な事例があって、話もわかりやすいので、目標設定をする機会のある方でまだ読んでない方はぜひ一読を。
それでは10のステップを簡単に紹介していきます。
1. 最終目標の確認
−企業だと営業利益など利益額が多いですね。ダイエットなら体脂肪率等
2. ギャップの確認
−前年の実績+今期の変動要素で、このまま言ったら、という数字をはじいて、目標とのギャップを確認します。
3. プロセスの確認
−モデル化。先程の例でいうと訪問回数✗工場見学率✗成約率・・・というあれです。ここの分解がキレイにできるか、というのが非常に大事。
4. 絞り込み
−最も重要、且つ難しいプロセス。先程でいうと工場に連れていくというアクションひとつに絞る、という決断。
5. 目標設定
−絞り込みができたら具体的な設定。先程だと月17組という数字。
(注)このシンプルな目標設定をする際に、設定者側にこんな簡単な目標設定しているとバカに思われるんじゃないか、という恐れが生まれる傾向あり、とのこと(笑)。設定者側はこれまで賢いと思って生きてきた人が多いようで、そこも意識して、シンプルにすることは難しい、ジョブズを見よ、という認識合わせが重要。2個に増えた時点で2個も10個も同じ。とにかく1個!!
6. 運用性の確認
−本当にロジックあってそうか(それを追うことで#1が達成できるか?)、あっているとして定期的に、できればリアルタイムに確認ができる体制があるのか?というところの裏をきちんととっておく
7. 対策の事前検討
−KPIの信号が赤になる、とはどういうことなのか?、その時どうするのか?を事前に決めておく。仕組みとしては、計画の承認を得る際に、その承認の中に計画のレビューの時期、方法、赤になった時の対応策、その際のピボットの決裁責任者を決めておく。このことで、振り返りを強制的に発生させる仕組みと対策を事前に決めておくことで、何かあってから動くよりも格段に早く軌道修正ができる
8. コンセンサス
−以上のことをきちんと関係者の中で合意するプロセスを踏む
9. 運用
−決めた通りにきちんと運用
10. 継続的に改善
−最初の仮説通りいくことなんてないので、取り組みの結果を分析しながら、どんどん修正。1〜10のサイクルを継続的にぐるぐる回す。そしてそのスピードをできるだけ早くする。
なんとか、KPI終了。
そしてNPS
上のプロセスの一番最初の目標は利益となる場合が多いというお話をしましたが、その利益を中長期でもたらしてくれるのは、ロイヤルカスタマーと呼ばれる上得意客です。
すべての産業がサービス化される中で、売り切りではなく、ライフタイムバリュー(LTV)として、ひとりのお客さんがどれくらい継続的にお金を落としてくれそうか、を経営指標に組み入れる企業が増えています。
このLTVと密接な関係にあるのが、どれだけ自社のことを思ってくれているお客さんかを数値化するNPSです。
このサイトのNPSの説明をコピペします。
NPS®とは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略で、顧客ロイヤルティを測る指標です。
今まで計測が難しかった「企業やブランドに対してどれくらいの愛着や信頼があるか」を数値化することで、企業の顧客との接点における顧客体験の評価・改善に生かされています。
さらに、NPS®は事業の成長率との高い相関があることから、欧米の公開企業では3分の1以上が活用しているとも言われており、日本でも顧客満足度に並ぶ新たな指標として注目を浴びています。
開発したのはコンサル会社のベイン&カンパニーです。
NPSを測るのは結構簡単で、「あなたはこの企業(製品/サービス/ブランド)を友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」という質問を行い、0~10の11段階で評価をしてもらいます。この非常なシンプルな聞き方でスコアを把握します。
このシンプルさはKPIに通じるところがありますね。
この時、どれくらい、9、10(=推奨者/推す人)の人がいるか、というのが、中長期の収益基盤を作る上でとても大事なんですね。
計算方法は割愛しますが、Amazon、Apple、Netflix、リッツカールトンなど多くのグローバル企業が導入していて、大手は3分の1導入しているっていう記事もありました。これを受け日本でも導入が進んでいるようです。
人に薦めるくらい好きにさせる、というのは、製品だけでなく、広告・宣伝・広報・サポートまで企業のそれまでの事業活動のすべての結晶とも言えるため、この指標が重要視されているのだと思いますが、実際にこのスコアが高い企業は業績も良いということです。
KPIとNPSという考え方をしっかり理解して、ツールとして使いこなせれば、事業運営、経営の質は確実に上がっていきますね。
ということで、今日のお話はここまでです。
日報
最後に、仕事の備忘録として。
・パートナー(P)から依頼で急遽Zoomテレカン(1pm)
・上記議事メモをUK側に共有
・デバイス会社の日本代表と電話会議(3pm)
・P案件、社内シンクアップ定例 w. UKチーム(7pm)
→子供乱入、大暴れし、UK側笑顔、あおけん苦笑い
明日のnoteは、EC・ロジスティクスの水曜日。今のところ、D2Cという本のことでも書こうかなと思います。
マーケティングの月曜日
経営戦略・事業開発の火曜日
EC・ロジスティクスの水曜日
DXの木曜日
グローバルの金曜日
文化・教養の土曜日
エンタメの日曜日
それでは、今日もよい一日を。
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