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よよこ、デジタルと出逢う

よよこが契約していたブライダルフォトの会社も
徐々にデジタルカメラの足音が近づき、
いよいよフィルムからデジタルへと移行する話が持ちかけられた。
しかし、初期のデジタルカメラはとにかく高かった。

「やっとフィルムカメラに慣れてきたのにまた買うの?」

それでも時代についていくべく、よよこはデジタル一眼レフの購入に踏み切った。
最初のカメラはD70、DXフォーマットのカメラだ。
液晶は小さく見えづらいが、撮った写真をその場で確認できるのは画期的だった。
デジタルカメラに合わせレンズもDXフォーマットのレンズを購入した。

デジタルの初期はモデルチェンジが頻繁だった。
高い上にすぐモデルチェンジし、フィルムカメラと違いデジタルカメラは
買取額も安かった。

D70→D70s→D200→D300と毎年のように買い替えていった。
そしてとうとうフルサイズFXフォーマットのカメラD700に移行した。
そのころは単焦点のキレのよさと美しいボケ感に魅了され
ボディ3台にそれぞれ28mm、50mm、85mmの単焦点とクリップオンストロボをつけ、首と肩から3台ぶら下げ撮影するのがよよこスタイルになっていた。
広い会場の時は70-200 f2.8が大活躍するが、重すぎるので広い会場以外では使わなかった。

デジタルになってから納品形態もプリントからデータに移行し、
アルバムもプリントを貼るアルバムからデジタル制作がメインになっていった。

デジタルカメラの普及とともに、フィルムでは一球入魂がすべてだったのが
「打てるだけ打つ」という風潮への変化を感じるようになった。
撮る枚数が増えればそれだけ疲労も増すし、機材への負担も増える。
よよこはデジタルになっても「一球入魂」の精神で撮影にのぞんだ。

デジタルカメラは当初はダイナミックレンジが狭く、白飛びに悩まされた。
よよこの印象では「まるでポジフィルムで撮影しているよう」だった。
それでもその場で確認できるため、技術の進化は格段に早かった。

デビューから数年多くの会場を経験したのち、某人気ホテルの専属カメラマンになった。
新規参入だったので期待に胸を膨らませていた。
しかし、現実は違った。
当初は会場スタッフの”アタリ”が強く、そこはまさにアウェイでの試合のようだった。
スタッフが意地悪というのではなく、ホテルのルールをしっかりと守るために調和を乱す可能性は許さないという姿勢だった。
また通常、データの処理は後日自宅や会社で行うのだが、この会場は撮影後に会場内で行いデータの持ち出しは御法度。
長い撮影の後にその場でデータ処理まで行わねばならなかった。
さらに2件連続で撮影を行うケースもあり、朝5時にうちをでて帰りは深夜という日もざらだった。

正直、初めは地獄のようだった。
精神的にも肉体的にもかなり厳しかった。

それでもホテルのルールやしきたりを理解し撮影した写真も評価され、よよこと仲間たちは徐々にスタッフの信頼を得るようになった。

このホテルでの経験はその後のよよこに大きな自信をもたらしてくれた。


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