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音楽を聞くとパフォーマンスが上がる

音楽を聴くと気分が変わります。素晴らしい音楽には感情を動かす力があり、歓喜の涙を流させたり、逆に悲しみの涙を誘ったりすることもあります。

音楽とスポーツ

プロのスポーツ選手は、この音楽が気分に与える効果を利用して、緊張を和らげ、モチベーションを高めています。試合前にロッカールームで、ヘッドフォンをつけている選手の映像を良く目にするのではないでしょうか。

音楽によるパフォーマンスの向上に関してはたくさんの研究があります。例えば、「ロッキー」のテーマを聴いて、1分経ってから60 m走を行うと、音楽なしの場合より、速く走れることが示されています(Hall & Erickson, 1995)。

いやあ、これはアガりますね!(おじさんならね)。確かに速く走れそうな気がします。走るだけでなく、水泳でも音楽を聴くとパフォーマンスが向上します(Smirmaul et al., 2014)。音楽による成績の向上はベンチプレスにも見られます(Ballman et al., 2021)。重量も回数も挙げる速度も上昇するようです。これらの成績の向上は、音楽により、適度に興奮の度合いを高めることで、より良いパフォーマンスが発揮できるために生じます。

パフォーマンスが上がらないこともある

ただし、音楽を聴いてから時間が空きすぎると効果がありません(Yamamoto et al., 2003)。また、音楽の種類にも当然ながら影響があります。例えば、気分が落ち着く音楽を聞くと、かえってパフォーマンスは下がるようです(Karageorghis et al., 1996)。音楽の選定はなかなか難しく、個人の好みがあります。誰でも必ずパフォーマンスが上がる音楽はなかなかないようです。気分が盛り上がるのが大切なので、ひとそれぞれになるかもしれませんが、それに適した音楽を選ぶのが良いと考えられます。

事前ではなく、パフォーマンス中に音楽を聴くとどうなるかも興味があるところですね。それについてはまた別の機会に。

引用文献

・Ballmann, C. G., Favre, M. L., Phillips, M. T., Rogers, R. R., Pederson, J. A., & Williams, T. D. (2021). Effect of Pre-Exercise Music on Bench Press Power, Velocity, and Repetition Volume. Perceptual and Motor Skills, 00315125211002406.
・Hall, K.G., & Erickson, B. (1995). The effects of preparatory arousal on sixty-meter dash performance. The Applied Research in Coaching and Athletics Annual, 10, 70–79.
・Karageorghis, C.I., Drew, K.M., & Terry, P.C. (1996). Effects of pretest stimulative and sedative music on grip strength. Perceptual and Motor Skills, 83, 1347–1352.
・Smirmaul, B. P., Dos Santos, R. V., & Da Silva Neto, L. V. (2014). Pre-task music improves swimming performance. The Journal of sports medicine and physical fitness, 55(12), 1445–1451.
・Yamamoto, T., Ohkuwa, T., Itoh, H., Kitoh, M., Terasawa, J., Tsuda, T., . . . Sato, Y. (2003). Effects of pre-exercise listening to slow and fast rhythm music on supramaximal cycle performance and selected metabolic variables. Archives of Physiology and Biochemistry, 111, 211¬–214.

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