Spin_GOのすすめ1

Spin&Goのすすめ(1/2)

はじめに

 皆さんはSpin&Goについてどんな印象を持っているでしょうか。わざわざ私のnoteを見に来て下さっている方なので、普通の人よりは良い印象をお持ちかもしれませんが、それでも分散の大きな運ゲーだと思っていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。
 しかし、実はspinは他のゲームと比較してもそこまで分散の大きくないゲームなのです。そして、少なくとも私にとっては、PokerStarsの数あるゲームの中で最も時給が出せる美味しいゲームでした。

 この記事(と次回の記事)ではまずspinの基本情報と分散について述べた後、spinのメリット、デメリットを記します。
 spinをプレイしたことがない方、そしてspinについて詳しく知らない方には是非この記事を読んでいただいて、何故私がspinを選んだのか、そしてどういう美味しさがあるのか、知っていただければ幸いです。


 この記事では以下について述べます。

---本記事---
・spinの基本情報
・spinの分散について
---次記事---
・spinの良いところ
・spinの悪いところ

※2年前の情報をメインに書いているので、今は当時と違う点があるかもしれませんが、ご了承ください。
※今はSpin&Go Flashというものがありますが、調べた限りでは初期スタックが浅くなってゲームが早く終わりやすくなったにも関わらず、レーキは変わっていないので1ハンド当たりに求められる成績が上がっているため、弱いプレイヤーが集まっていない限りはこれは微妙なゲームだと思っています。ただ、レーキに勝てるなら低いレートでもゲーム回数を稼げるので良い時給は出るかもしれません。


 この記事にもし人気があれば、初心者がspinを始める際に何から勉強したら良いかという話についても書きたいと思っています。ただ、cashgameほど需要がないのは重々承知しているので、良いなと思ったらnoteのスキ(とTwitterのリツイート)をお願いします。それを見て判断致します。



spinの基本情報

spinの基本情報について以下に箇条書きで記します。

・3players,全員500chip持ち(25bb)でスタートし、最終的な勝者がゲーム開始時に決定されるランダムな賞金を入手する。

・バブルファクターはないのでキャッシュゲームと同様に、純粋なchip収支を追い求めればいい。なので考えることは比較的限られている。

・1gameあたりに稼いだchipEVでITM率が求まり、それとレーキ割合を考慮すれば自身のROIの期待値がわかる。
 例えば1gameあたり50chip稼げるなら、(500+50)/(500*3)= 約36.67%のITM率であり、レーキが6%ならばEVROIは0.3667*(1-0.06)*3-1= 約3.4%になります。

・spinには2種類のEVROIがある。前述したchipEVから計算したEVROIと、純粋にゲームごとのchip期待値に、その時の賞金をかけたEVROIである。
 後者は例えば運よく200倍の賞金のゲームを引けば、そのゲームのchip収支の期待値が±0だったとしても67BIのEVが加算されてしまい、正確な実力がわかりにくい。なので普通は使いやすさの観点からEVROIはchipEVから算出したものを指す。

・4面でプレイすれば、1時間当たり30game(=約660hand)プレイできる。
※zoom4面の場合、同じ程度の負担で1時間約1000handプレイできます。

・よく心配されますが、レーキには勝てるゲームです。私はもちろん、私が教えていた方も8割方レーキには勝っています。(分散を考えると収支が安定するのはROI2~3%以上からですが。)

・HeadsUp(HU)のプレイが最重要。一人が飛んだ場合はずっとHUであるし、3playersの場合もBUが降りたらHUです(それぞれ状況は異なりますが)。2人時のプレイに慣れていない方は、まずHyperHUSNGからプレイするのが良いです。(※HyperHUSNG用チャートはこちら、GTO版は無料です。)
 なお、HyperHUをプレイする場合は、他のプレイヤーが座っている卓ではなく空の卓に着席するように注意してください。基本的には卓に座ってくる弱いプレイヤーを、レギュラーが待ち構えている構図です。また、高レート($30~?今は$15~かもしれません)にはカルテルが存在し、弱いプレイヤーとプレイできないようになっているので気を付けてください。



spinの分散について

 spinの話をすると良く分散について言われます。300BIないといけないだの、10年かけても10000倍を引けないとプラスにならないなど様々な事を言われますし、実際私もspinについて調べる前はそういった印象を抱いていました。
 しかし、実はspinの分散はそこまで大きくないのです。そして、高倍率を引けなくても十分プラス収支になるのです。本記事では実際にそれを数値で説明します。

 ※spinの分散の計算方法については、SwongSimというシミュレータで計算できます。DLリンクも載せておきます。(下記の2+2のスレッド内にあるものです。)
SwongSim: http://www.filedropper.com/swongsim_1
(書いてあるスレッド:https://forumserver.twoplustwo.com/168/free-software/swongsim-roi-variance-simulator-lottery-payout-sngs-2k-post-1468580/)

 以下にこのシミュレータを使って計算した結果を載せます。そしてキャッシュゲーム(zoom想定)の分散も載せて比較しています。
 まずspinの分散をレーキ6%のEVROI3.4%(=+50chipEV/game)でシミュレーションしました。

 比較はハンド数毎ではなくプレイ時間毎で行いました。シミュレーションの結果得られた、spinを20時間(1週間想定)、100時間(1か月想定)、1000時間(1年想定)プレイした際の収支の90%信頼区間が下記になります。

・20時間(600game):-48~92(BI)
・100時間(3000game):-66~263(BI)
・1000時間(30000game):376~1412(BI)
※95%以上の確率でプラス収支にするのに必要な時間
 →約330時間(約10000game)

 ここからわかる通り、spinのバンクロール管理には200BI以上必要というのは迷信です。ウィンレートによりますが、十分な勝ち組であればバンクは100BIあれば十分安定して勝っていけることがほとんどです。


 一方、zoomの場合の90%信頼区間はこちらです。標準偏差は100ハンド当たり80bb、成績は2bb/100handと仮定しています。

・20時間(20000hand):-7.3~11.3(bb/100hand)
・100時間(100000hand):-2.2~6.2(bb/100hand)
・1000時間(1000000hand):0.7~3.3(bb/100hand)
※95%以上の確率でプラス収支にするのに必要な時間
 →約430時間(約430000hand)

 SpinのROI3.4%とzoomの2bb/100handが同じくらいの難易度なのかという話はありますが、zoomと比べてもspinは特に分散が大きいゲームではないということは理解していただけると思います。
 加えてspinにおいて実力を図る基準である、1gameあたりに稼ぐchipEVの値は、下記のようにもっと収束しやすいです。(1gameあたりのchipEVの標準偏差は約440です。下記は前述したものと同じ条件での90%信頼区間を示しています。)

20時間(600game):20~80(chip/game) → EVROI:-2.2~9.0%
100時間(3000game):37~63(chip/game) → EVROI:1.0~5.8%
1000時間(30000game):46~54(chip/game) → EVROI:2.6~4.2%

 このように真のROIが3.4%であれば、spinでは1か月プレイすればEVROIは殆どプラスになるのです(実収支はともかく)。これは精神安定上かなり良いですし、cashgameよりかなり少ない時間で自分の実力が分かるため、レートを上げる場合などに無駄な時間がかからずにすみます。
 (ちなみにcashgameの場合、私のデータだと実収支の標準偏差は100handあたり75bbで、EVの標準偏差は100handあたり67bbでした。cashgameでもEVを見れば少しは早く実力がわかりますが、微々たる差であるためspinほどすぐに実力はわからないです。)

 そして、実収支が悪くてもEVROIによって実力があることが示せれば、ステーキングを行うことで分散を抑えられます(実際私も募っていました)。
 しっかりと立ち回れるならば、spinはcashgame以上に収支を安定させられるゲームなのです。


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 本記事ではspinの基本事項と分散の説明を行いました。説明の通り、spinは実力が短期間でわかりやすいというメリットがあります。また、spinの実収支の分散に関しても、一般に言われるような大きさではないということを理解いただけたと思います。

 次の記事では、spinの分散以外のメリット、そしてデメリットについて記します。この記事を見てspinに興味を持っていただけた方は、是非読んでいただければ幸いです。

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