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は・じ・きを覚えさせることの最大の問題点【速さ・時間・距離の公式】[youtube公開]

たびたび巷で話題になる「は・じ・き」の重要性を堀口智之が数字教育の立場から分かりやすく解説します!


みなさんこんにちは、大人の数トレ教室堀口です。

今回は「は・じ・き」の問題について話していきたいと思います。
実は『なぜ「は・じ・き」を覚えさせるのか』というのは、数学教育業界では比較的有名な問題になっているんですね。

この記事の主な内容

「は・じ・き」とは

「は・じ・き」というのは、「速さ」・「時間」・「距離」の関係を表すものなんです。
みなさんはこのような図を書いたことを覚えているでしょうか。


これを使うと速さ・距離・時間の問題がうまく解けるという物なんですね。
多くの方は、小学校である意味強制的に覚えさせられて、これを使って問題を解いたことがあるんじゃないかなと思います。

「は・じ・き」の問題点

そんな中でなぜ「は・じ・き」が問題になっているのかというと、これはある種の「覚えさせる教育」になっていると言われているからなんです。
つまり、「は・じ・き」の構造を理解させずに言葉だけが一人歩きして、「は・じ・き」が何かもわからずに使っているようになっているというわけなんですね。

本当は、

(速さ)×(時間)=(距離)


の式だけを理解していれば、あとはこの式を変形するだけで速さ・距離・時間の関係を導き出せるのですが、短期的に答えを出したいということで、式変形ではなく瞬時に導き出せるものとして「は・じ・き」というのを覚えさせられたわけです。


この問題点としては、ただ単に「は・じ・き」を使っているだけでちゃんと理解しているわけではないので、応用問題が出たときに全く対処ができなくなってしまうことです。

「は・じ・き」にはさまざまな応用がある

また、この「は・じ・き」の関係というのはA×B=Cの形の関係になっているわけですが、これは非常に基本的な形をしているのでさまざまなところで現れます。

例えば、ビジネスでは「売上」は以下のようにA×B=Cの形に分解できますよね。

(売上)=(一人当たりの単価)×(人数)


この式のいいところは、売上を増やしていきたいとなったときに、「一人当たりの単価と人数のどっちを増やしていけばいいのかという議論に持ち込めるところです。


例えば、単価を上げていくとなったら、今まではハンバーガーやチーズバーガーしか売れなかったけど、そこにポテトやドリンクをつけてセットで売ってみたり、一緒に大きなハンバーガを売ったりしたら一人当たりの単価が上がっていくわけです。

もしくは、人数を増やしていくとなったら、低価格帯の商品を出したり、24時間営業に変えてみたりしていくと人数が増えていくわけです。

なので、掛け算に分解することでそれぞれの対策を打つことができるようになるわけです。

「き・は・じ」の問題の本質

これを「き・は・じ」の問題にそのまま適用してみましょう。
例えば、「到着する地点は変わらない」というときに、速さを増やせば当然つく時間は短くなるわけです。逆に遅くいけば着く時間は長くなります。

「き・は・じ」というのは単にこのようなことを言っているだけなんです。
この考え方ができれば、掛け算の形に分解することで物事の構造が見えたり、「何を増やせばどんな量が増えるのか」といった、原因と結果のような法則に結びつけることができるようになるわけです。

なので、(速さ)×(時間)=(距離)というのは、何かを掛け算の形に分解したときの要素分解のようなものに適用できると考えると、非常に応用が効く考え方に繋がっていることがわかると思います。

売上の他にも給料を(給料)=(勤務時間)×(時給)というふうに分解できれば、今自分が何をすべきなのかが見えてきたりと、この式は物事の基礎を形作るようなものになっているので、今回の問題は単なる「き・は・じ」の問題ではないんですね。

そう考えると、今回の問題は非常に本質的で根深い問題なのかなと思います。

「覚えさせる教育」について

ただ、私自身は「き・は・じ」を覚えさせること自体はいいことだと思っています
というのも、数学に対するアプローチとして「覚えさせる教育」というのは一般的なんですね。

例えば、みなさんは中学生の頃、まるで呪文のような二次方程式の解の公式を覚えさせられたと思います。
もちろんこれは式変形で導き出せるわけですが、それだと時間がかかって受験などには適していませんよね。

このように、先を見据えると端的に求めた方がいいということで、こういった「覚えさせる教育」というのは一般的なアプローチとしてあるわけです。
なので、覚えさせること自体は全く問題がないと思っています。

しかし、そこに対して意味を紐づかせるかどうか、つまり、数学というのが現実でどんなことと繋がっているのかというのはあまり語られていないので、そういったことを教育に取り入れていくことができれば、教育がより良いものになっていくのかなと思います。

「は・じ・き」の問題をYouTubeでより具体的に解説しているので、ぜひご覧ください。

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<文/堀口智之>

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