融けるデザイン

良い体験ができるプロダクトを、融けるデザインから考える

”インターフェースは「人間の暗黙知を形式知に変換する」役割を持っている。”(P.157)

AR/MR/VRを開発するにあたり、人のふるまいに着目し設計していくことが大事。その上にもう一つの動きを加えることで、さらに良い体験のあるプロダクトにする方法かなと思いました。

はじめに

この note は、融けるデザインを読んで、私が考えたことなどをまとめたものです。

スマホとパソコンのインターフェイス

スマホで主流のフラットデザイン。でもスマホ初期は、スマホもパソコンと同じ、押したら凹むボタンだった。

パソコンで凹むボタンが用いられていたのは、マウスをクリックする(押し込む)動作を、画面上にフィードバックしていたから。

でもスマホの場合は、画面に触れる、あるいは触っているのであって、押しているわけではない。触るという人のふるまいに着目してインターフェイスを設計すると、必然的にフラットデザインが出てきたのだろうと思っている。

AR/MR/VRのインターフェース

AR/MR/VR を考えると、UIやコンテンツは三次元空間に表示することになる。三次元空間に表示しているそれらは、重さもなければ、押し返されることもない。

さらにカオスなのはCGだけのVRの場合で、見えているすべてのものに選択する余地がある。背景である机が触れるのかどうか、どうしたらUIが出てくるのか、ユーザに無限の選択肢を与えた状態から始まってしまう。

現時点ではまだ、多くの人に共通の概念となっている三次元空間上のデジタルインターフェイスはないと認識している。

30個のダミーカーソル実験

筆者の実験の中に、30個のダミーカーソルの中から、自分がマウスで動かしているカーソル1つを見つけるというものがあった。おもしろいことに、すぐに見つけることができるという。経験則的にわかる気がした。

自己帰属感

”体験に直接的なのが自己に帰属した動き”(P.120)

自分のマウスカーソルがどれかわかるのは、自分が操作している、自己に帰属していると認識できるからだと考える。

このことを前提に最初のCGのみVRの問題を考えると、始まった瞬間から操作されてしまうUIを提示することで、提供するVRの開始点を設定することができるなと思った。

自己帰属感の余韻表現

”「動き」というものは、自己帰属する動き、他者を感じる動き、物理現象の動きの3つとして分類できるかもしれない。”(P.120)
”自己帰属感の上の表現を「自己帰属感の余韻表現」と呼んでいる。先ほど3つの動きの種類を紹介したが、これらをうまく組み合わせることで、気持ちよさの新しいレベルを設計できるのではないかと期待している。たとえば、自己帰属感+慣性表現のような物理現象に基づく動きという組み合わせで、うまくボールを投げるかのような体験を可能にするのではないかと考えている。”(P.122)

さらによい体験、気持ちよさのある体験を提供しようと考えたときに、自己だけではなく、他社、物理現象を感じる動きを足すという考えがあるということだった。

アングリーバードみたいなものの気持ちよさは、鳥が飛んで行ってものが崩れる物理現象を表現しているからかと考えられる。他の自分の体験を思い出してみても、なるほどと思うところが多い。

物理的に押し返されないインターフェイス

CG だけでは表示することはできても、物理的に押し返されることはない。そこでフィードバックの一つして、視覚を利用することが考えられる。

Leap Motion のブログがで紹介されていたが、近づくと色が変わったり、光ったりすることは、触っていることがわかりやすい表現だと思った。

これは液体などの流動性が高いものに触れたときに、自身の手が歪んで見えたり、液体の色が付加されたりする過去の経験と外れないからかと思った。

暗黙知が融けているデザイン

”インターフェースは「人間の暗黙知を形式知に変換する」役割を持っている。”(P.157)

暗黙知が融けているデザインであれば、その人自身がよく知らないと思っていても、過去の経験から類推して操作することができ、体験もよく使いやすいものになる。

AR/MR/VRを開発するにあたり、人のふるまいに着目し設計していくことが大事。その上にもう一つの動きを加えることで、さらに良い体験のあるプロダクトにする方法かなと思いました。

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